ハンターハンターの作中では、戦闘において最強の念系統は「強化系」とされている描写が多数あります。
例えば、自称強化系を極めたウボォーギンは、戦闘能力を幻影旅団の仲間からも高く認められ、マフィアや陰獣との戦いもウボォー1人に任せていました。
さらに、同じく強化系のゴンに対して師匠のウィングさんは「強化系に必殺技は必要ない」と言っていました。
これは、強化系念能力者は体を念で強化して殴るだけで凄まじい破壊力を出せる為です。
クラピカも自身の系統は強化系が良かったらしいですが、これは旅団と戦闘になった時に有利に戦えると考えていた為だと思われます。
しかし、私としては強化系最強説に疑問を感じてしまうのです。
個人的に最強ではないかと思う念系統は
「操作系」
ではないでしょうか。そこで今回は、
「操作系最強説」
を検証してみようと思います。
何故操作系最強だと思うのか?
実質「一撃必殺」
少し語弊がありまして、広く操作系というとモラウのように煙を操ったり、陰獣の蛭のように動物を操ったりする念能力も含まれてしまいます
(モラウは強いですけどね)。
この記事で言う操作系とは、
イルミやシャルナークのように「相手そのものを操作してしまう」能力のことを指します。
何と言っても発動条件の容易さがすごい。
イルミは針、シャルナークは携帯のアンテナを相手に刺せば意識をコントロールできてしまいます。
針などを指すだけで相手の意識が奪える=ほぼ勝利みたいなものです。
操って自ら命を絶たせたり、いつでも殺害可能な状態に追いこんだり出来ますからね。
強化系が相手に接近して殴るだけでも大ダメージを与えられますが、相手がさらに上の強化系の念で攻撃をガードしたり、
クリーンヒットしたりしなければ致命傷にならない可能性があります。
一方で操作系能力者が近づいて針などで一撃食らわせれば、一発で勝負が決まります。
これは強すぎますよね、実際のところ。
ただ、針やアンテナが刺さらないキメラアントのような硬い敵だとイルミやシャルナークでも容易には操作できません
(シャルナークは甲殻の隙間にアンテナを指してキメラアントを操作しようとしましたが、多少傷を負っていました)。
しかし、このような場合でも、プフの「鱗粉乃愛泉(スピリチュアルメッセージ)」ように「鱗粉を吸わせて操る」だったり、
ヴェーゼの「180分間の恋奴隷(インスタントラバー)」ように「キスをして操る」というような条件であれば、相手の硬さは関係ありません。いくら念で守っても無効化できないはず。
強化系以上に「一撃必殺」の言葉が見合うのが操作系ではないでしょうか?
仲間を増やせる
操作系は相手の意識を奪えます。
本来敵であるはずの人間を強制的に味方にしたり、関係のない人間を操作して自分の仲間を大勢増やすこともできます。
特に仲間を増やすのは脅威です。数で押せば、一人では敵わない相手にも勝つ可能性が高くなります。
この応用で、クロロは天空闘技場の観客のコピーを大量に操作し、数の暴力みたいな感じでヒソカを倒しました。
またコピーには「番いの破壊者(サンアンドムーン)」の爆弾もついていたので、数百体の人間爆弾で勝った形です。
さすがのヒソカも惨敗しました。
操られると廃人化
これはイルミの能力でのみ見られた効果です。
イルミの針で刺された人間は、イルミの強力なオーラが注入され、廃人になってしまいます。
恐らく針を抜いたところで再起不能に陥っているはずです。
一度針が刺さったら救い出すことができないのです。
キルアにもイルミの針が刺さっていましたが、一見普通でしたし、針を刺した人間が廃人化してしまうかはイルミのさじ加減だとは思います。
しかしイルミが能力を家族以外の人間に使った後に生きていてもらう必要はないので、針を刺した時点で始末してしまうでしょうね。
このように一撃必殺や、数の暴力など戦闘において異常に有利と思われる操作系。
強化系なんて目じゃない気がします。
何か弱点はないのでしょうか?考えてみました。
考えられる操作系の弱点
条件が満たせないと操作できない
極論を言うと、針やアンテナに刺さらない、鱗粉を吸わない、キスをされないなど、
操作系の能力発動条件さえ防ぐことができれば、操られることはないということです。
それさえできれば、操作系は強化系と真逆に位置する系統であるため、接近戦などは苦手としています。
勝機も見えてくるというわけです。
相手のオーラ量が上回っていると操作できない
これは私の個人的な想像ではありますが、操作系には、「操作相手のオーラ量があまりにも上回っている場合、操作不可能」
くらいの成約があっていいと思います。でなければ、キスさえできればヴェーゼがメルエムやネテロも操作出来てしまうわけです。
メレオロンの「神の共犯者(パーフェクトプラン)」でヴェーゼと共に姿を隠しながらメルエムに接近し、ヴェーゼがメルエムにチューすれば
操って護衛軍も残りのキメラアントも全滅させることができたということになります。
思えば、作中で操作系に操作されたキャラクターって、
・一般人(プフによる東ゴルドーの国民、イルミによる町の人々)
・十老頭(イルミが操作。十老頭は念能力者ではないと思われる)
・マフィア(シャルナークが操作。念能力者ではない)
・キメラアント「ペル」(シャルナークが操作。恐らく弱い兵隊蟻)
・死体(イカルゴが操作。死んでいるので簡単に操作できそう)
・スクワラ(ヴェーゼが操作。スクワラはプロハンターではないが念は使える)
・天空闘技場審判(クロロがシャルナークの能力を使って操作。審判は念が見えるので念能力者だと思われる)
・コルトピのコピー人形(クロロが「人間の証明(スタンプオーダー)」を使って操作。コルトピのコピーは見かけしか真似できないので、死体同然の人形)
多くが念を使えない一般人やそもそも動かない死体、人形、または念を使えたとしてもそれほど鍛えていない能力者に対してしか操作能力は使われていません。
このことからも操作系はあまりにもオーラ量や、念の技術に差があるキャラクターには使えないのかもしれません。
かなり高いレベルで念を使えていたパームもプフに操られていましたが、あれは念能力というより、完全にキメラアントに作り変えられていましたから、
ちょっとこの括りには含められないかなと思います。
愛用品が紛失、破損したら能力が使えない
操作系の念能力者に共通することは、操作する実物、または操作するために使う道具が「愛用品」でなければならないという点です。
ということは、同じ道具でも、自分が使ってきた愛着のある大切なものでないといけないわけです。
一度愛用品を紛失したり壊したりしてしまったら、操作能力は使えなくなってしまいます。
例えばモラウは、愛用のキセルをプフとの戦闘中に奪われてしまい、それ以降煙を操作することができなくなってしまいました。
このように、操作系能力者の道具を奪ったり壊したりすれば能力を封じることができます。基本の念以外使えなくなりますからね。
また新しく「愛用品」を作らなければ能力の復帰もできないのではないかなと思います。
念能力は精神が大きく作用するため、どの程度の使用期間でもって「愛用品」となるかは能力者次第だと思います。
でもイルミは針をほぼ使い捨てのように使用していました。愛着などさそうですが、それもイルミの考え方次第なんでしょうね。
考えられる弱点はこんな所でしょうか。
正直なところ、これらを差し引いても操作系の方が強化系より全然強いと思うのです。
そういえば一つ忘れていました。
クラピカとの戦闘でやられたウボォーギン。彼の帰りを待つ旅団メンバーに対してクロロは
「ウボォーが負けるとしたら操作系か具現化系の能力者」
と語っていました。
理由は、具現化系や操作系は念に特殊能力が付加されている場合があり、相手のパターンにハマると、強化系の物理攻撃主体のウボォーも太刀打ちできない可能性があるからです。
まさにその通りで、クラピカの鎖の特殊能力にやられたウボォー。作中で既に
操作系(具現化系)>強化系
を匂わせる描写はありましたね。
操作系能力者が必ずしも相手を操作可能とは限らないので、広い目で見ると安定的に戦闘で強いのは強化系なのでしょう。
クラピカがウボォーに勝てたのは完全に旅団メンバーに特化した能力にしたためだと思われます。
その他の具現化系では負けていた可能性は高いです。
しかし操作系は、理論上操作条件を満たせば相手の意識を奪えて、その時点で間違いなく勝ちですから、
相手とよっぽど相性が悪くない限り、常に一発で勝負を決めることが可能なのです。しかもほぼノーリスクで。
かなり操作系が強くなていて、バランスがずれているような気がします。
たぶんそろそろ作中で、操作できる条件が厳しくなったり、自分より上手の相手は操作できなかったりといったバランス調整が入るのではないでしょうか。
いやはや、それにしても操作系強いよ、強すぎるよ・・・