私の名前はジロギン。

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もし「透視能力」が使えたらどうする?

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透視能力

本来隠されたり隔たれたりしているものを見透かす能力です。
実在するのかどうかはわかりませんが、世界的に透視能力によるものではないかという現象が確認されています。

例えば封筒の中に入れられたトランプの数字とマークを言い当てたり、写真を見ただけでその人物がどこにいるか言い当てたりなど、透視能力の幅は広いです。

もちろん透視能力を誰しもが持っているわけではありませんが、持っていたら良いなぁと思うことは多いです。私もあります。

もし透視能力を持っていたら、私はどんなことに使うか考えてみました。





まず負けなくなるのがトランプゲームですね。
手札を隠しながら行うゲームにしても、山札からカードを引いていくゲームにしても、カードが見えればいかようにも作戦を練ることが出来ます。

まずは知人に「ババ抜き」を挑み続けます。
ババ抜きなら誰にも負けないという評判を流させるのです。

相手の手札は全て見える状況ならばババ抜きで負けることはありません。

「君はいま左から2番目の位置にジョーカーを持っているな?私にはわかる。ならばそれ以外のカードを引くのが普通だが、私はそのジョーカーをあえて引こう。それでも君の手札がわかる以上は、あとは逆算し、君がまたジョーカーを引かざるを得ない状況を作り出すこともできる!」

という感じでハンデ戦までこなしていきます。
これにより私の評判は広まり、

ジロギン the トランプマスター

として知る人ぞ知る有名人になります。

もちろん知人とトランプをしているだけでは生活できません。
ここで私はギャンブルの聖地・アメリカに渡り、数々のカジノを渡り歩き、透視能力を使ってポーカーの勝負を挑み荒稼ぎします。

仕事も辞め、透視能力で稼いだ金で充分生きていける金額を稼いだ私でしたが、やはりギャンブルで生きていくというのは不安が残るし、この透視能力がいつまで使い続けられるかはわからない。もしかしたら明日突然使えなくなってしまう可能性もないわけではない。

そこで私は、ギャンブルで稼いだ金で土地を買い、そこに7階建ての賃貸マンションを建てます。
そう、家賃収入で生計を立てることを思いついたのです。
場所は二子玉川。住宅地として非常に人気の土地。マンションの部屋自体はそれほど広くはないが、二子玉川という立地から住みたいと考えている人は多い、すなわち確実に住人が入るということ。
ギャンブルという綱渡りのような生活は厳しいので、安定した収入が得られるマンション経営を行い、今後の生活を送ろうと考えます。

大きくないとはいえ、マンション経営のための初期投資は相当な金額に及びましたが、広告宣伝費を多くかけた結果、案の定全70室が満室に。家賃は月18万円〜と高額な設定にしたものの、さすが二子玉川、人が集まる。

多少住人の出入りがあるものの、常に60室以上が埋まっている状態が続き、私は満足。
確かにギャンブルで稼いでいた頃より収入は落ちたものの、当時とは心の余裕が段違い。多少の建物のメンテナンスさえ行っていれば良い。自分の時間も持てている。
そんな生活が約2年ほど続いた。




ある日、私の部屋を訪ねてきたのは2人の刑事だった。
もしかして私の透視能力について聞きに来たのか?捜査協力してほしいみたいな、そういうやつか?いやそれとも、私が巨額の資金を突如得たことを怪しんで事情聴取に来た…?
確かに能力は使ったが、ギャンブルが合法化されてる国で稼いだお金なんだから、何も悪いことではないじゃあないか!

と心配していたが、刑事から出た言葉は意外なものだった。

刑事A「すみません大家さん。最近このあたりで行方不明事件が起きたのご存知ですかね?小学3年生の男の子が行方不明になってるんですよ」

ジロギン「ええ…ニュースになってましたけど…」

刑事B「今回の事件、警察では誘拐事件と見ておりましてね。付近に住む人が男の子を攫って監禁している可能性があるのです。もしかしたらこのマンションにも容疑者がいるかもしれませんので、聞き込みに来たのです。」

刑事A「ということで、各部屋を回らしてもらいます。私たちが尋ねることで不審がる方もいるでしょう、そこで大家さんにも同行していただきたいのです。」

ジロギン「はぁ…各ご家庭のことは私でも把握できておりませんし、私が付いて行ったところで聴取が出来るとも限りませんが、構いませんよ。」


ということで一軒ずつ部屋を回ることになった。

住人A「いや、知りませんけど…このマンションに犯人が住んでるんですか?」

刑事A「いえ、まだそうと決まったわけではないんですけどね、失礼しました…」

これで23軒目、今のところ異常はない。
刑事には黙っていたが、私は一軒一軒部屋ごとに透視能力を使っていた。
正直言ってこれだけはしたくなかった。やはり各住人ごとにプライベートがあるのだから、それを侵すような真似をしてはいけない。だからこれまで2年間、透視能力は使わないようにしていた。

しかし今は使わざるを得ない。これは事件だし、同じマンションに犯人が住んでいるとなれば住人たちの不安も相当なはず。
解決のために能力を使わざるを得ない…

この人は意外と音楽好きなんだ、しかもロック、おとなしそうな女性ではあるが…
この人は犬を飼ってる!うちはペット禁止だけどまぁ良いか、かわいいし。

などと各部屋の人々の見知らぬ一面や、正直目を背けなければならないことなど様々見ていたが、それらしき男の子の姿は見えない。



602号室。
ここに住むBさんは31歳の男性会社員。
かなり良い企業に勤めており、住人たちとの仲も良好。挨拶も欠かさない人で私も多く尊敬する部分のある方だ。
独身であることが不思議なくらい出来た人であったが、一つ不審な行動が目立つ人物でもあった。

別の住人がBさんと出会った。時間は夜の1時過ぎ。上下ジャージ姿だった。
この時ばかりは挨拶を欠かさないBさんが挨拶をせず顔を俯けながらマンションを出て何処かへ走って行ったという。しかもその一回だけでなく、毎日夜の1時過ぎに何処かへ出かけているらしかった。

インターホンを押すとBさんが出てきた。
今日は休日のようだった。

刑事A「警察の者です。お休みのところ申し訳有りません。最近この辺で行方不明事件が起きているのご存知ですかね?」

刑事B「その件で今聞き込みをしておりまして、何か知っていることとかありませんか?」

Bさん「いえ…知らないですね何も。それより、今日は仕事で疲れてまして…明日以降来てもらってもよろしいですか?出来れば夜8時以降だと助かります。」

私は透視能力を使った。この人だけは違って欲しかったが…
いた。未婚の彼の部屋の1番奥。ベッドに寝かされている男の子。多分身長的にも小学3年生くらいだ。
私は意を決した。

ジロギン「あ…やばい…今突然熱中症になってしまった…スミマセンBさん、少しお部屋で休ませてもらえませんか…そう、部屋の1番奥にあるベットの上でねぇぇぇぇっ!」

Bさん「いや!ちょっと!待って!」

私はBさんの部屋に無理矢理入り込んだ!
刑事たちも続けて入り込む!
ベットの上で驚きながらこちらを見つめる男の子がいた。先ほどまでは寝ていたようで状況が飲み込めていない様子だった。




Bさんは警察に連行された。

Bさんは思いを寄せる女性がいた。その女性は仕事終わりが遅いので、Bさんは夜1時過ぎに家を出て、半ばストーカーのようなことをしていた。

しかし女性にはすでに家庭があった。
今回誘拐した男の子はその女性の息子さんだった。Bさんは子供を誘拐して、腹いせに殺そうと思っていたが、いざ誘拐はしたが殺すことは出来ず、困り果てながらも数日間奇妙な同居生活をしていたようだった。

男の子は学校には行っていなかったが、十分な食事やマンガ、ゲームなどを与えられていて、それほど不自由なく暮らしていたようだった。
その証に、Bさんはこの同居中も会社に行っていたので逃げる機会はあったのだが、男の子は逃げなかった。さらに警察の調べでは、男の子はBさんのことを「なんでも買ってくれるサンタさんみたいな人」と称していたという。
Bさんは本当は優しい人なのだが、魔がさしてしまっただけなんだろうなと思った。

しかし罪は罪。きちんと裁かれなければならない。
 


 
刑事A「そういえば大家さん、なんでBさんの家に男の子がいるとわかったんですか?」

ジロギン「何でですかね?大家の勘ですかね?そういうのがあるのかわかりませんけど。」

私は透視能力については話すことはなく、この能力ももう使うことがないように祈るばかりであった。




しかし今回の一件から、住人の70%以上が転居してしまい、空室が埋まらなくなってしまった。
ビルの維持が出来なくなり、私はすぐに透視能力を解禁し、ギャンブルに明け暮れ、負けはしないものの、いつ能力が使えなくなるかという不安から酒を飲み、またギャンブルをし、という生活に陥り、金はあれども心の余裕はない生活を送ることになりましたとさ。





透視能力はかなり役に立つものだと思いますが、やはり行き過ぎた能力を持っていると落ちぶれてしまうんだろうなという結末を思い浮かべてしまいます。

特に犯罪に近い行為をすれば、間違いなくそういう結果になると思いますね。
正しく使いたいものです。まぁ使えないんですけどね。

ただ金稼ぎには使いますよ!私は間違いなく使いますね!ギャンブルやらマンション経営やらは本当にやるだろうなと思います。
ロクでもない考え方してるなと反省…しません!!





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