私の名前はジロギン。

HUNTER×HUNTERなどの漫画考察や、怪談・オカルト・都市伝説の考察、短編小説、裁判傍聴のレポートなどを書いている趣味ブログです!

【ワンピース】ブルックの「若者たちに取り入ろうとしている感じ」が悲しい。

 

今回はワンピースに関する記事です。これからはワンピースの記事もたくさん書いていくことにしました!いつも書いているハンターハンター記事と合わせてお楽しみいただければと思います。

 

今回取り上げるのは、主人公・ルフィにとって8人目の仲間で、麦わらの一味に9番目に加入した

ブルック

です。ブルックは音楽家として一味の役割を担っています。そして「スカルジョーク」というギャグでムードメイキングもしようと頑張ってくれているのですが、このブルックの頑張りがなんだか見ていて辛くなってくるということを今回は書いていこうと思います。後述しますが、自分をブルックの境遇に置いてみると、悲しくなってきてしまうのです。こういうタイプの悲しみは、ワンピースを読んでいて感じたことはなかったのですが・・・

 

 

 

ブルックとは

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(引用:ONEPIECE 65巻184P/尾田栄一郎)

見た目はガイコツ。しかししっかりと意志を持っており、喋ったり、物を食べたりと、人間さながらの動きを見せるのがブルックです。巨大なアフロも特徴で、毛根が強すぎて、白骨化しても髪が残っていました。基本的に紳士的な振る舞いで落ち着いていますが、ナミのパンツを見ていいか本人に直接許可を得るなどむっつりスケベな面もあります。「ソウル・キング」としてツアーも行う世界的ミュージシャンでもあります。

ブルックは一度死んでおり、悪魔の実の一つ、「ヨミヨミの実」の能力で復活しました。ヨミヨミの実は食べた時はただカナヅチになるだけの実ですが、能力者の死後、その能力が一度だけ発動し、魂だけになってが黄泉の国から現世に帰ってくることができます。ブルックも魂の姿になり現世に復活、すぐに自分の死体に入ればそのまま生き返ることができましたが、ブルックが死んだのが「魔の三角地帯(フロリアントトライアングル)と呼ばれる非常に霧が濃い海域だったため、自身の死体が白骨化するまで見つけ出せず、白骨死体のまま蘇ることになってしまいました。現在は実の効力はなくなり、カナヅチの呪いだけが残っています。

ブルックはかつて西の海(ウエストブルー)のとある国の護衛戦団団長を務めていましたが、後にルンバー海賊団の一員として海賊になりました。ルンバー海賊団はまるで麦わらの一味のように船員たちの仲が良く、ブルックとしても楽しい海賊生活を送ってれていたようです。そんな折、ある強い海賊に襲われ、ブルックもろともルンバー海賊団は死滅。先述の通りブルックは悪魔の実の能力で蘇ったものの、仲間のいない自分の海賊船でルフィ達と出会うまで霧の中を50年近く彷徨い続けることになりました。ルフィたちとは、かつてブルックが旅の途中で出会ったアイランドクジラの「ラブーン」と再会するべく、現在一緒に旅をしています。

ブルックは仕込み杖を武器に、居合抜きのような剣術で敵と戦います。その他にバイオリン使った音の攻撃(2年後はギターも弾けるようになっていました)なども行います。ルフィ達と出会う前から懸賞金3300万ベリーがかかっており(ドレスローザ後に8300万ベリーになりました)、戦闘は十分こせるのですが、新世界の猛者達が相手となると弱気な発言も多く見られています。

 

 

スカルジョーク

ブルックの特徴といえば、自らがガイコツであることや死んでいることを利用したジョークを言うことです。ブルックはこれを「スカルジョーク」と称しています。

「目が飛び出るかと思いました!私、目ないんですけど。」

「死ぬかと思いました・・・あ、私もう死んでました!」

などです。これが面白いかどうかは読者の方々次第だと思いますが、ブルックのキャラ付けとして初登場時から今まで繰り返し行われています。ブルックがこのスカルジョークを仲間たちの前でやっている姿が、私にとっては辛いのです。

「必死に若者たちに取り入ろうとしている感じ」が辛いのです。

 

 

仲間たちとの年齢差

ルフィがイーストブルーで出会った仲間、ゾロ、ナミ、ウソップ、サンジは皆ルフィと年は1〜2歳差くらいです(ソロとサンジがルフィの2歳上、ナミが1歳上、ウソップが同い年)。同世代ですね。中学高校の1〜3年生くらいの年齢差です。チョッパーも人間にすると10代後半くらいなので、まぁ同世代と言っていいでしょう。この時までの麦わら海賊団は部活やサークルみたいな感じですね。その後加入したロビンが少し年上で30歳、フランキーがさらに年上で36歳です。フランキーが仲間になるくらいまでは、感覚的に高校大学を卒業して、就職すると自分たちより10歳20歳上の人たちとも同じ環境で過ごすことになるような感覚がします。読者の成長に合わせて、ルフィの取り巻く環境も変わっているようです。そんな感じで読んでいました。

しかし、ブルックはですね、海で50年近くさまよっており、しかもブルックが亡くなった時点で38歳でしたので、現状ブルックは90歳なのです。いやぁ、だいぶ年上ですよね・・・私は社会人で、ルフィ達とロビンの間くらいの年齢です。学生時代より幅広い年齢の方と接する機会が増えましたが、90歳くらいの方と一緒の環境で何かするという機会はないですね。もし90歳くらいの方とともに過ごすとしたらさすがに年齢差を感じずにはいられないと思います。

本来ならば若者達がお年寄りに歩み寄るべきなのでしょうが、ルフィ達はそんなことお構い無しな人たちですので、大人であるブルックがルフィ達に合わせなかればなりません。個性的過ぎる麦わら海賊団の中で何とか自分も個性を出そうとスカルジョークをしているブルックの心情を考えるととても悲しくなっています。

 

 

ロビンとフランキー

作中でも描写がありましたが、ブルック、ロビン、フランキーは一味の「大人たち」として、ルフィらヤングたちよりしっかりしなければならないみたいな雰囲気があります。この3人はそういう意味でひとくくりにされることも多いです。ブルックも本当はロビン、フランキーのような、ある程度人生経験を積んだ大人たちとつるんでいた方が楽なのではないかと思います。

しかしここでも問題が。ロビンはワンピースの世界で唯一「歴史の本文(ポーネグリフ)」を読み解くことができ、最年少で考古学者になった超天才です。フランキーは古代兵器プルトンの設計図を理解し、サウザンドサニー号というありえないレベルの科学技術を集結させた海賊船を作り上げた天才船大工です。一方でブルックは元海賊、しかも50年くらい何も情報の届かない深い霧の中で過ごしていた海賊・・・スペック差がありすぎますよね・・・

ロビンとフランキーはその分野の権威みたいな存在です。麦わらの一味はルフィみたいに好き勝手生きているやつからロビン、フランキーのような超がつくほど頭のいいやつまでいます。その間でブルックの立ち位置というのはなんとも微妙な位置なのです。あまり無茶できる年齢でもないし、そんなハイスペックなやつらには追いつけないし・・・辛い位置です。

 

 

 

自分の立場に置き換える

ブルックの年齢で今からロビンやフランキーレベルの知識を身につけることは難しいと思います。代わりにブルックは音楽のセンスは凄いですが、そもそもルフィ達って全然船で過ごしている感じありませんし、ブルックの見せ場は少なくなってしまいそうです。ルフィ達って作中時間だと1年も航海してないですし、ブルックとルフィたちって正味2〜3ヶ月くらいしか付き合いがないんですよね。

微妙な立ち位置の中でブルックが海賊団の創設者であるルフィ達ヤング集団に寄せて好き勝手行動したりスカルジョークというふざけたことをしてキャラ付けを狙っているのは仕方のないことだと思ういます。このブルックの立場を自分に置き換えるととても悲しい・・・

例えば、私が20年後くらいに、40〜50歳になって転職した会社が平均年齢25歳くらいの、自分の子供でもおかしくない年齢の社員が大半の会社だったとしましょう。なるべく社内の人と接しないようにしてもいいのですが、仕事をする上で全ての関係を切ることはできません。そうなれば少しでも若者達とコミュニケーションをとりやすくなるよう、最近の若者達の流行が何か調べたり、一生懸命面白いおっさんであろうとすると思うのです。そうなったとき私は、「こんな小僧どもに取り入ろうとして、私にはもうプライドもクソもないな。何やってんだろ。」と落胆してしまう気がします。

ブルックの姿を見ていると、数十年後会社で若者に取り入ろうとしている自分の将来を想像してしまい悲しくなってしまうのです。それにブルックって仲間たちに敬語ですよね。私も自分より年下の上司に敬語を使う日が来るんだろうなぁと思うとなおさら・・・

 

 

それでも

ブルックは50年もの間一人で暗闇の中を過ごしてきました。そんな中で現れたルフィ達はブルックにとって文字通り光明だったわけです。自分に救いの手を差し伸べてくれたのだから、ブルックの心の中には、「こんな小僧どもに取り入ろうとしなければならないなんて」という気持ちはないと思います。

またルフィ達もブルックを仲間として歓迎していますから、年齢差は感じてないでしょう。ルフィはそんなことを気にしないくらい色んな意味で飛び抜けてますし。彼らの間に私が想像したような「年齢差が作る壁」はないでしょう。

しかし、私は一読者として、「自分がブルックの立場だったら」とつい想像してしまいます。ブルックに将来の自分を重ねてしまうと、「若者達との年齢差からくる気まずさ」を第一に感じ取ってしまうのです。そういう気まずさみたいなのがないキャラクター同士の関係がワンピースという作品の魅力の一つだとは思うのですが、私はダメなんですよね。なんでこうなってしまったのだろう、昔はもっと素直に「ワンピースおもしれぇ!」って読めてたのに。もし10年くらい前だったら、ブルックに対して「愉快なガイコツおじさん」くらいな素直な感情を抱いて読めたのかも。だいぶねじ曲がってしまったなぁ。私にはこう・・・ジメッとした感じが性に合っているのかも。それでもワンピース考察は続けますよ!