私の名前はジロギン。

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陰キャラの私が人生初の音楽ライブに行った結果・・・

 

私の名前はジロギン。

 

先日大学時代の後輩から「これから音楽ライブに行きませんか?」という誘いがった。

本来行くはずだった友人が突如行けなくなってしまいチケットが余ってしまったとのことだった。ライブの開演までは約2時間ほど。場所的には私の家からそれほど遠くはなかったのだが、普通に考えて2時間後のライブに突然行けるほど暇な人間なんて・・・いる。それが私だ。陰キャラの私の休日は、食事と排泄以外は基本的に布団の中でYouTubeの動画を見るだけ。2時間もあれば準備をして余裕でライブにでも地の果てにでも行ける寂しい男なのだ。

 

ちょっと恥ずかしいが、記憶にある限りでは、私にとって初めての音楽ライブになる。行ったのは「東京ガールズミュージックフェス」というライブ。「東京ガールズコレクション」というたくさんのモデルさんが出場するファッションショーの派生で行われたミュージシャンが出演する音楽フェスだ。って多分私よりご存知な人の方が世の中に多いと思うのでこれ以上の説明は野暮だろう。

いやぁ、日陰者の私にとってはまぶしすぎるイベントだった。「私には参加資格なんてないんじゃないか?イベント関係者に『貴様日陰者だな!つまみ出せ!』って警備員を呼ばれるのではないか?」となおさら表情に影を落としていた気がする。それに「ガールズ」ってイベント名なのに私も後輩も男だし、私たちが参加すること自体恥ずかしいことなのではないかと、いろいろ不安になっていた。

 

 

 

まぁもちろんつまみ出されることもなく入場できた。後輩は今までにこういうフェスだのライブだのに多数行った経験があったため、

「ジロギンさんは影から影を渡り歩くような生活しすぎなんですよ。たまにはこういうイベントに行って来てみると価値観かわるかもしれないっすよ!」

と私のモチベーションを上げようと、アドバイスをしてくれていた。私も「初めてだけど大丈夫かもしれないな。そうだよ、こういう光の世界のことって全然知らないもんな。いい経験なるかもしれないよ。」と少し自信が出てきた。

 

実際にフェスが始まってみると、いやはややっぱり私にはダメな世界

そこで今回は、陰キャラの私が初めて音楽フェスに行って感じたことをまとめていこうと思う。私と同じ思いをする方が今後いらっしゃるかもしれないので、参考にしてもらいたい。

 

 

人混みがすごい。

当日はあいにくの雨。正直私は雨が降っていたのなら、仕事でもない限り外出を諦めるカメハメハ大王さながらの思考をしている。多少の雨なら傘をささなくても問題ないのでそのまま外出するが、その時は傘をささなければずぶ濡れになってしまうくらい雨が降っていた。後輩の誘いでなければ絶対に行っていない。

しかし会場付近にはすさまじい人だかりができていた。周囲の道は人でごった返し、会場から100m範囲はフェスを見に来た人たちで通行止め状態になっていた。私ならば絶対に入り込もうとは思わない空間だ。人混みが大の苦手なのだ。全員知っている人だったとしても嫌だ。私のA.T.フィールドはいつでも全開なのだ。しかも雨でみんな傘もさしているしので、なおのこと圧迫感が強かった。

陰キャラの私ならば外出を諦めるレベルの雨でも、会場には1万3000人以上の観客が集まっていたそうだ。スゲェ・・・1万3000人・・・ちょっとした軍隊のようだ。1万3000人の人が雨でもお目当てのアーティストを見るためにやってくるのだ。凄まじい覚悟だ。私には持っていないものだし今後手に入れられるかもわからない・・・ちなみに後輩に聞いたらチケット代は1枚6600円。まぁそりゃ行くわけだな。覚悟だけじゃないようだ。

 

 

どこから声出てるの!?

「ガールズミュージックフェス」だけあって、出場するアーティストも女性ファンが多そうなアーティストが多かったし、やはり観客も8〜9割が女性といった感じだった。私たちのような男だけで参加している人たちは少々肩身が狭かった気がする。

アーティストが舞台に上がり歌い始めるとファンたちが立ち上がってペンライトを親の仇のように振り回すのだが、その時一緒に

キャァァァァ〜ッ!!

という歓声が湧き上がる。キャァァァ〜ッ!って言うかKYAAAAAA!だったかな。これはすごい。すごいエネルギーだ。このエネルギーで4人暮らしの家族が使う2週間分の電力くらいはまかなえそうだ。甲高い声は、瞬間的に楽器やアーティストの歌声を超えて響く。まるで走高跳びのように。

私は今までも、そしてこれからもこんなに甲高い声で叫ぶことはないだろう。多分ガチで幽霊に遭遇しても出ない。なんていうんだろう、こういう高い声を出す器官が備わっていない。男性に子宮がないように、女性に精巣がないように、私には甲高い声援を出す器官がない。

この歓声に対して「うるさい」とは思わなかったが、「こういう声を素直に出せない自分がいかに根暗か」を思い知って少し悲しい気分になった。みんな休日はこういう世界で生きているんだ。そりゃ私みたいなやつは話さなくったって根暗だって一発でわかるよなぁ・・・髪型や服装でごまかせない、芯の根暗さを読み取る術と経験を、光の世界で生きる者たちは備えているようだ。あんな歓声出すことなんて私の私生活では一瞬たりとも無いもん。

 

露骨な格差

今回のフェスは一人のアーティストの単独ライブではなく、複数のアーティストが決まった持ち時間で演奏する、オムニバス形式のライブだった(この表現で合っているのかな?)。後輩が言うには、単独ライブだとファンみんなが同じ目的で来ているので、曲が終わると周りの人たちとハイタッチしたりすることもあるそうだ。みんな同じアーティストが好きなファンなので、意識が共通している。

しかし今回のような形式だと、観客がどのアーティストをお目当てに来ているかはわからないので、意識はバラバラだ。そのためハイタッチするなんてことは起きなかった。が、私としたはもっとショッキングな出来事があったのである。

出場したアーティストは、今の流行りに疎い私でも知っている有名な人からメジャーではないアーティストまでいた。観客は自分のお目当てのアーティストが出てきたときに席から立ち上がり応援するのだが、有名なアーティストになると会場のほぼ全員が立ち上がる。半ば集団心理みたいな感じだろう。しかし逆にメジャーではないアーティストが出てくると・・・

全然立つ人いねぇ〜じゃん!

って衝撃を受けてしまうくらい誰も立ち上がらない。立っているのは本当にそのアーティストのファンだけだ。私も後輩も、こういう閑散とした状態になってしまうと「立ってあげなきゃ悪いな」と思ってしまうタイプなので、全アーティストに対して立ち上がって見ていた。

いやいや、こんなに露骨に格差を生んでしまうのかと正直びっくりした。ニュースなどの芸能情報でよく「会場が一体となって盛り上がりました」みたいなライブの報道を見ていたから、全アーティストに対して観客がファンであろうがなかろうが立ち上げるのかと思っていたが、全然そんなことはなかった。確かに4時間という長丁場のライブだったから、お目当てのアーティストのために体力を温存しておこうという気持ちはわかる。けれどもテレビのミュージックステーションで知らないアーティストが歌っている時にお風呂に入るような感覚で興味を示さないのはどうなのかなとも思った。アーティストは画面ではなく生で目の前にいるわけだし。立ち上がる観客の少なかったアーティストの気持ちを考えると心に突き刺さるものがあった。

まぁ、音楽で食っていくというのも非常にシビアなことではある。「悔しかったら実力で観客を熱狂させてみろ!」ということなのだろう。それにしてもここまでファンかファンじゃないかで露骨に会場の盛り上がりに差が出るとは思わなかった。

 

 

 

華やかそうに見えるが

会場内はカラフルな照明やレーザービームで彩られ、1万3000人の観客たちの声でまさに会場そのものが楽器のように鳴動していた。根暗な私でもやはり「すごくかっこいいな!とても華やかだな!」と思う空間だった。これは間違いない。

しかしその裏で音楽で生きていくことのシビアさも感じた。先述の通り、ファンがつかなければこういう大舞台に立てても現実を突きつけられてしまう。実力がものをいう世界だ。また歌だけでなく踊りもできたり演技もできたり、なおかつルックスも良くてっていう付加価値がいくつもつかないと売れないんだなとも実感した。ルックスなんてどうしようもできないものだ。生まれながらにアドバンテージがあるというのもシビアだと思った。

さらに、グループとして売れたとしても、20人とかそれ以上の人数で活動しているグループもある。人数が増えるほど自分のギャラの取り分も低くなるに違いない。そして個人の仕事量でも格差ができ、収入の差につながる。グループで売れたとしてもそこで個人として頭角を現さなければまともに音楽で食っていけていると言えないのは辛い部分だろう。会場にお母さんが見に来ても「うちの子どこだよ!」と発見できないかもしれないし、「あんた収入いくらなの?」と聞いても「あぁ?月5万だよ!」なんて言われた日にはお母さんも頭がクラクラしてしまいそうである。

そういう中で生き残っていった者だけがライブでも最も盛り上げるメインアーティストになれ、音楽で食っていけるようになれるのだと思うと、華やかで明るい世界の裏に、実は私が暮らす以上に日陰な部分もあるのだなと感じたりもした。

 

 

そして風邪を引く

これは音楽フェスのせいではないのだが、翌日私は風邪をひいた。もともと風邪気味だったのだが、冷たい雨となれない環境で緊張したことから風邪が悪化してしまったようだ。例えると、深海魚が漁船の網に引っかかり、引き上げられる時に急に体にかかる水圧が低くなって目玉が飛び出してしまうような、そんな状態に似ていた。

今回ライブに行ったことで一つ自分の中で違う価値観が生まれたという感覚は確かにあったし、行ってみてよかったなとは思うけれども、やっぱり私にはちょっと性に合わない空間だったなとも感じた。ああいうライブに毎月のように行っている人もいるのだからすごい。私ではできないと思う。いや、私が捻くれすぎか・・・やっぱり日陰が好きな私は家で電気を消してYouTubeを見ているのがお似合いのようだ。

我は光の世界から追放されし闇の亡者。