私の名前はジロギン。

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【怖い話】見られてはいけないもの

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私の名前はジロギン。

 

歯科医師として独立開業して約半年が経った。この半年間は正直、想像を絶するほど忙しかった。開業にあたっての各種手続きもそうだが、何よりもお客さんの数が凄まじかった。私が以前働いていた歯科医院の2倍以上のペースでお客さんがやってくる。しかしまだまだスタッフは少なく、手術ができるのは私ともう1名のみ。お客さんが多いのは嬉しいことなのだが、朝から晩まで毎日休憩時間すら取れないほど治療に追われ、中には長い待ち時間に対して頭にきてしまい、帰ってしまうお客さんもいた。自分たちのキャパを超えてしまうほどのお客さんは、ただ自分たちの首を絞めるだけなのかもしれない、と感じる毎日だった。そんな切羽詰った状況で、こんな出来事に遭遇した。

 

とあるお客さんがやってきた。女性のお客さんで、名前はSさん。年齢は20代半ばで、髪は真っ黒なロングヘアー、会社勤めをしている人だ。どこにでもいそうな、ある意味特徴のない女性で、忙しい私としては、普通ならば印象にすら残らないお客さんだっただろう。ただ、顔の半分を覆ってしまうほどの大きな白いマスクをしていたのが目立った。

Sさんは歯石の除去に来ていた。歯についた汚れを取る治療だ。うちの医院では、歯石の除去には最初は上の歯、次回は下の歯と2回に分けて治療する。Sさんは1回目なので、今回は上の歯のみを治療することにした。

 

・・・しかし、いつまでマスクをしているんだろう?Sさんは私が治療にあたっての諸々の説明をしている最中もずっと大きなマスクをしっぱなしだった。私も職業柄マスクは常につけているが、これではどちらが歯医者かわからない。また、マスクの下の表情が読み取れないので、私はSさんに対して少し不気味な印象すら抱き始めていた。

もしかしたら何か事情があるのかもしれない。大きなほくろがあってできれば隠したいとか、何か傷があって隠したいとか。そう言った事情があることも考えられるので、できればSさん自身でマスクを外してほしいところだった・・・が、診察台に仰向けになっても外さなかった。さすがにこれでは治療はできないので、

 

ジロギン「あのぉ・・・マスクをはずしていただいてよろしいでしょうか?」

 

と私は声をかけた。するとSさんはすんなりとマスクを外してくれた。歯医者に来て、診察台の上に乗っても頑なにマスクを外さなかったSさん。その下に何があるのかと少し緊張してしまった。が、何も隠す必要はない。むしろSさんはとても可愛らしい、綺麗な顔をしていた。マスクで隠してしまうのがもったいないほどだった。

イカンイカン、余計なことを考えると、簡単な治療とはいえ、手元が狂う。ただでさえ疲れているのだから、集中しなければ。私は頭を仕事モードに改めて切り替え、Sさんの治療にあたった。

 

ジロギン「それでは口を大きく開けてください」

 

Sさんは口を開けた。私は照明をSさんの口の中に向けた。その時だった

 

喉の奥に1つの眼球があり、こちらを見ていた。

 

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うわぁぁっ!と私は叫び声を上げ、腰を抜かしてしまった。確かにSさんの喉の奥に目があり、ギョロリとこちらを見ていた。喉の中に目があるなんて、普通ではありえない・・・

 

Sさん「どうしました?何か見えましたか?」

 

ジロギン「あ・・・いえ・・・」

 

Sさんは私に聞いてきた。Sさんは自分の体のことを知っていて私に質問をしたのだろうか?でも今は仕事中、相手が患者である以上、きちんと治療をしなければならない。再度Sさんの口の中を覗きみると、やはり眼球が見えた。疲れていて幻覚が見えているのだろうか・・・いや、確かに眼球がある。喉を塞ぐように眼球が詰まっている。どうやって呼吸しているのだろうか?どうやって食べ物を食べているのだろうか?色々気になったが、一番不気味で不安だったのは、このまま治療をしなければならないということだった。

治療中、Sさん自身は目を閉じていたが、喉の奥の目はずっと私を凝視していた。研修医時代に先輩医師に監視されながら治療したことを思い出したが、その時とは違うプレッシャーがあった。

 

本来2回に分けて歯石の除去を行うが、Sさんの喉の奥を2回も見るのは気が引けたので、1度に上下の歯とも歯石を除去してしまった。Sさんは少し得した表情を見せたが、すぐにその上からまたマスクを被せて表情を隠し、帰って行った。

見てはいけないものを見てしまった。いや、見られてはいけないものに見られてしまった、と言った方がいいのだろうか。あれから1週間ほど経つが、今の所、私の身に変わったことは特に起きていない。