悪人と呼ばれる人々の中にも、自分なりの信念を持って悪の道を行く者もいます。
伝説の海賊「バーソロミュー・ロバーツ」もその1人です。悪事の限りを尽くす海賊でありながら、「準男爵」と呼ばれたバーソロミューの海賊としての気品や信念は見ていて憧れる部分があります。
バーソロミュー・ロバーツとは?
17世紀〜18世紀前半までの大航海時代において名を上げた海賊です。1862年にウェールズにて生まれたとされていますが、その辺はよくわかっていません。
ワンピースに登場する「バーソロミュー・くま」はこのバーソロミュー・ロバーツがモデルと見て間違いないです。まぁ名前だけですが。
海賊と言えばこのバーソロミューの名を挙げる人も多いくらい有名な存在で、当時も自船の乗組員にとってカリスマ的な存在だったとされています。
バーソロミューはイケメンでおしゃれ好きな男だったとされています。真紅の宮廷用半ズボンに飾り帯を身につけ、オーバーコートを羽織り、紅の羽を飾りつけた三角帽子をかぶるなど、おしゃれに気を遣っていたようです。
そんな彼の姿からか、バーソロミューはBlack Bart(ブラックバート)と呼ばれました。「黒い準男爵」という意味です。実際にバーソロミューは爵位を持っていたわけではありません。海賊ですからね。一説に、彼は日焼けをしょっちゅうしていたことからBlack、Bartは彼のバーソロミューというファーストネームの短縮形でもあるため、「色黒のバーソロミュー」というあだ名だったとも言われています。なんかちょっと嫌なあだ名ですね。虐められているのかな?
バーソロミューの伝説
元々バーソロミューはイギリスの奴隷船「プリンス号」に乗る三等航海士でした。1719年にプリンス号は海賊・ハウエル・デイヴィスに襲われます。その際にバーソロミューは「仲間に入れてくださいよ」と言わんばかりにハウエルの部下になります。裏切ったとされていますが、諸説あり、バーソロミューが脅されて船に乗らされたという可能性もあるそうです。
ハウエル・デイヴィスが死亡した後、バーソロミューは残された船員たちをまとめ上げ、海賊デビューします。具体的にバーソロミューが残したとされる略奪について証明できるものがないのですが、
「大砲42門搭載のフランス軍艦を含む16隻の船を4日間で捕獲した」
「1隻の小型船で20隻の船を捕獲した」
など、まずありえないようなものばかりで、あくまで「そんなことをしてきたんじゃないかな?」くらいの域を出ません。最終的にバーソロミューは400隻の船から5千万ポンドを略奪したとされています。当時の貨幣価値的に1ポンドが10万円くらいの価値という情報を見ました。ってことは…いやいや、嘘だろ、500兆円?絶対ないない。国家予算かよ。
バーソロミューはThe house of lordsと呼ばれる20隻からなる海賊艦隊を率いていたともされています。うーん、20隻も一緒に行動できたのでしょうか?これも考えにくいです。
多くの掟を定めた
バーソロミュー
バーソロミューの海賊としての流儀は、船における数多くの掟に現れています。海賊といえばルールからはみ出たアウトローたちの集団というイメージがありますが、バーソロミューは海賊だろうがなんだろうが、組織をまとめるためには掟が必要だと考え、多くの掟を定めて乗組員たちを統制しました。
主な掟として
・乗組員には平等な投票権、投票発起権を与える(当時、海賊船の船長は投票で決められていたとされています)。
・仲間の貴重品を奪った奴は孤島に置き去り!じゃあね!
・賭博行為はダメ!
・夜8時消灯!月明かりでなら酒呑んでていいよ(早寝を強制したというより、明かりで敵船に見つかることを警戒しての掟だと思われます)。
・武器はちゃんと手入れしよう
・女子供を乱暴目的で船に乗せた奴は死ね!
・戦いの中で勝手に降伏した奴は孤島に置き去り!
・船の上で口論になった、岸に着いたときに決闘して白黒つけろ!
・収益はみんなで山分け。もし負傷した人がいたら別途治療してあげるから安心してね。
・休みの日くらいみんなで賛美歌を歌おうぜ!
といった感じです。バーソロミューの船「ロイヤル・フォーチュン」の上ではなんでもありだったわけではないようです。船長も組織のトップとして人をまとめ上げるには、こういった掟を定めないとやっていけなかったんでしょうね。
バーソロミューの最後
1722年2月10日、チャロナー・オウグル率いるイギリス軍艦「HMSスワロー」がバーソロミューの船を発見。HMSスワローはフランスの国旗を掲げた商戦として近寄り、不意打ちを仕掛けようとします。
バーソロミューの部下に元イギリス海軍の者がいて、HMSスワローに気がついたのですが、バーソロミューの船の乗組員たちはベロベロに酔っ払っており、まともに戦える状況ではありませんでした。
バーソロミューは砲撃を受けて死亡。彼の死体は重りをつけて海に投げ捨てられたと言わせています。
いつ何時でも敵船に対応できるよう酒はほどほどにしておくように命令していたバーソロミューさんでしたが、完全に油断していたようですね。酒に飲まれてしまいました。
バーソロミューの魅力は、海賊でありながら、多くの掟を設け、組織作りをしっかり行おうとしていた生真面目さ、スマートさだと思います。悪は悪でも、頭の切れる悪というのは憧れますし、バーソロミューの信念が、この船の掟から感じられる気がします。どんな組織でも掟というものが必要なのだと思います。だからこそバーソロミューは有名になれたわけです。
しかしバーソロミューが多くの人間の命を奪っているのも事実!とても残忍な海賊だったとも言われています。まぁ死んでしまうのは仕方ないことです。カッコいい悪とはいえ、因果応報ってヤツです。
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