私の名前はジロギン。
先日、いつもブログを読ませていただいているMilkさんとツイッターでお話していた中で、
「もし今の記憶を保ったまま過去に戻れたらどうするか?」
という話題になった。
早速Milkさんがそのテーマで記事を書いてくださった。
なるほどなるほど・・・やはり誰しも過去に戻ってやりたいことがあるはずだ。
しかしMilkさんはとても冷静な考え方をしていらっしゃって、読んでいて、納得するところが多かった。
そしてユーモラスで面白い。その辺を忘れないのもさすがである。
Milkさんとは同じテーマで私も記事を書くことをお約束していたので、
早速書いてみた。とはいえ、Milkさんの記事の完成度にははるかに及ばないので、そんなに期待しないでほしい。
私も高校時代に戻ることにした。
ここからはいつも通り、私の妄想を全面に押し出して書いていこうと思う。
私の名前はジロギン。
昨日まで会社員として過ごしていたが、この度高校2年生の12月に戻ってきた。
突如何者かに矢で刺されたことをきっかけに「記憶を保ったまま時を巻き戻す能力」が目覚めた。この能力のことを「スタンド」と呼ぶ者もいるそうなのだが、今日はそんなことはどうでもいい。
今でこそめっきりだが、実は高校までは年1回くらいは女の子から告白されることがあった私。風貌や性格もそんなに変わっていないのだが、当時は部活としてやっていたテニスに打ち込んでいた。やはりスポーツに一生懸命な男はモテるのだろう。しかしそんなことにも気づかず当時の私は本当にテニスが大好きで、テニスが彼女状態だった。だから女の子からの告白はお断りしていた。多分彼女ができてもテニスを優先してしまう異常な状態だったからだ。
しかし非常に後悔していることがある。それが
高校2年生の12月頃に告白してくれた同じ部活の女の子との話だ。
まずは事の顛末を話そうと思う。
当時はまだLINEなんて便利なものはなかったから、メールでやりとりしていた。
私が次の試合に出る選手を決める部内戦で負けていじけていた時にその子から初めてメールが来た。そろそろ引退する時期も近づいてきていたので、1試合1試合が大切だった。そのため、その敗北は私にとって非常に心苦しいものだった。
その子、便宜的に「過去子」と呼ばせてもらう、過去子からのメールはそんなやさぐれた私を励ましてくれるような内容で、私としても非常にありがたいメールだったのだ。
そう、過去子はやさぐれていた私を助けてくれた子だったのだ。それまで告白してくれた子とは、私の中で印象が全然違った。
何度か連絡を取り合っているうちに、私の同級生と、過去子と別の同級生の女の子が付き合っていたのだが、四人でディズニーランドに行く運びになった。
しかし、向こう方の関係がすでによろしくなかったようで、四人でのデートは破綻となってしまった。でも、これも過去子から誘ってくれたことなので、私は
「もし二人だけでもよかったら、行かない?」
と提案。しかし過去子からは
「いきなり二人だけだと恥ずかしい」
と連絡が来た。若かった私はそこで、
「そうか・・・じゃあまた今度ね」
と言って諦めてしまった。
うおぉい!ちょっと待て過去の私!そこは強引でも誘うべきじゃあないか!
その後私は受験に突入してしまい、テニスから受験一筋男に変ぼう。過去子とは連絡を取ることはなかった。
今の記憶を引き継いだ私ならあの時
「大丈夫だよ!行こう!」
ともう一押しできた!そうしたらデートできたし、私はテニスもそうだしブログもそうだし、好きになってしまうとクソがつくほど一途なのだから、過去子とは未だに付き合っていたかもしれない!なんてチャンスを逃してしまったんだ!
あの時のもう一押し、もう一押しをするために私は過去に戻ってきた。
今は24歳、当時は17歳だったから7年前だ。
12月4日・・・くらいだったと思う。時刻は16時。ちょうど授業が終わって部活が始まる時間帯だ。テニスをやるのも7年ぶりくらいだ。過去子との事の前にまずテニスがうまく出来るだろうか・・・?
動く・・・動く!足も腕も!大丈夫だ!テニスはできる!引き継いだのは記憶だけで、体は当時のまま!
17歳!全盛期の肉体を取り戻した!気持ちがいい・・・またこんな風にテニスができるなんて・・・って待て待て待て。ふぅ〜、危ない。またテニスにゾッコンになってしまうところだった。今回は過去子との件で戻ってきたのだ。二の舞になってしまう。なんていい女なんだ・・・テニス。男のアレみたいな名前ではあるが。
確かこの日に私は試合で負ける。今でも試合内容を覚えている。多分記憶にある通りに打てば勝つこともできるだろうが、おそらくそれでは過去が変わってしまって、過去子からのメールが来なくなってしまうかもしれない。
確実に負けなければ・・・そしてオーバーリアクションで悔しがるのだ!「オーバー悔し」を過去子に目撃してもらうのだ。
その後試合を行った。私は頑張ったけど負けた感を出し、
「なんでだよぉぉぉ!俺は頑張ってきたのによぉぉ!これがぁ!これが才能の差なのかぁぁ!?神よぉぉ!!」
と大げさに叫んだ。もちろん過去子の方をチラ見する事も忘れずに。そして過去子もそんな私を見ていた。大丈夫だ、これで家に帰った後に過去子からメールがくる。運命通りだ。
その夜我が家にて。過去子からメールが来た。
過去子
「ジロギン先輩!試合お疲れ様でした。試合見てました!負けちゃいましたけど、いい試合だったと思います!」
よし、思惑通りだ。正直飛び上がるように嬉しいが、ここは試合に負けて残念がっている感じを出さなければならないなぁ。
ジロギン
「過去子ちゃん、メールありがとう!試合見てたんだね。いやぁ、派手に負けちゃって、恥ずかしいなぁ。」
いい感じだ。「負けたけど、一応後輩の前では明るく振る舞う強がりな私」・・・どうだ!?過去子!?
過去子
「〇〇先輩(私が負けた相手)は本当に強いので、そんなに気にしなくても大丈夫です!また一緒に練習しましょう!」
いい子じゃあないか過去子!多分私が出会った女性の中でも1、2を争うほどいい子だ。見た目は17歳、中身は24歳と若干おっさん化がしている私がこんな子を手にしていいのだろうか・・・いや、ならば私は何のために過去に戻ってきたのだ!いいんだ!いいんだよ!私!
ジロギン
「ありがとう!過去子ちゃんと練習したら、きっとうまくなれる気がするよ!
負けちゃったのは悔しいけど、悔しさをバネに、絶対強くなってやる!!」
過去子
「その意気です!私もジロギン先輩に追いつけるように頑張ります!」
ジロギン
「明日も練習ガンバロー!!」
こんな感じだ。いいねぇ、多分このやり取りも当時よりうまく返信できている気がするぞ、多分だけど。
さて明日が楽しみだ。
しかし問題はここからだった・・・翌朝、学校にて。
数学の先生
「よーし、じゃ授業始めまーす。席についてくださーい。じゃ教科書32ページ、サインコサインタンジェントのところね!」
し、しまったぁ〜!体は17歳のままだからテニスは全盛期のレベルでできたが、頭の中は24歳の私だ!クソ!授業内容なんて全部記憶の彼方にすっ飛んじまって、1ミリも覚えてねぇよ!しかも私は数学が大の苦手!そうだ、私はこのあと待ち構えている冬休み前の中間試験、数学のテストで100点満点中2点を取るんだ!そういう運命になっているんだ!それで冬休みに特別課題を出されるんだよなぁ・・・やばいぞ、勉強しないとだぁぁぁ!!!
その日は部活も早々に引き上げた。試験まであと2週間ほどしかない。死ぬほど勉強しなければ、24歳の脳では間違いなく2点どころか0点を取ってしまうだろう。
そう思い、数日間、過去子そっちのけで勉強をしてしまった。
ある日の夜、過去子からメールが来た。
過去子
「ジロギン先輩!最近部活に来てないようですけど、大丈夫ですか?」
過去子よ・・・私はそれどころではないのだ。このあと試験、そして受験も控えている。恋も部活も勉強も何もかも絶好調!というわけにはいかないのだ。あれは学習教材についている漫画だけの話なのだ!
ジロギン
「心配してくれてありがとう。ちょっとね、風邪気味でね、インフルエンザかな?過去子ちゃんも気をつけてね。俺には近寄らないほうがいいよ!」
冬場の言い訳としてインフルエンザは最強だ。そしてこれで過去子はしばらく私から離れるだろう。テニスで食っていく気は無かったが、これからの人生もやり直すのであれば、試験や受験は怠るわけにはいかない。生活に支障が出る。社会の厳しさも私は知っている。
試験でいい結果を出す、受験して大学に入る、そして働く・・・これは結局過去子を助けることにもなるのだ。過去子は私のお嫁さんになるのだからね!だから今は我慢していてくれ・・・
過去子
「そうなんですね・・・もし風邪が良くなったら、〇〇ちゃん(過去子の同級生)と△△先輩(〇〇ちゃんの彼氏で私の同級生)と四人でディズニーランド行きませんか!?」
来た!ターニングポイント!しかし過去子よ・・・君たちは現役で勉強しているから余裕だろうが、俺は、本当の24歳の俺は、仕事と称してパソコンの前に座って、たまーにお客さんのところに出かけて、家に帰っては嬉々としてブログを書いているだけの愚か者なんだ。だから勉強しなければ、今後の人生に関わってくるんだよ。わかってくれるね。
ジロギン
「いやぁ・・・どうかな・・・?あと1年半くらい良くならないかも笑なんてね!」
頼む・・・私も悔しいのだが・・・今だけでいいから・・・引いてくれ・・・
この試験さえ乗り切れば、ディズニーランドでも、ディズニーシーでも、群馬ドイツ村でもどこへでも行ってやるさ!
過去子
「それはないですよ!笑 12月10日に行こうかなってなってるんですけど・・・?」
く・・・くそお!なんでわかってくれないんだぁ!ううう!クソォ〜!!
ジロギン
「もう俺に構わないでくれよ!こっちは勉強してんだぁ!」
・・・・・・・・・・
やってしまった。以降、過去子から連絡が来ることは無くなってしまった。
これではあの時の二の舞じゃあないか。いや二の舞どころかもっとひどい結果になってしまった。
なんて馬鹿な男なんだ私は・・・また過去子とうまくいくこともなかったし、勉強もできないし。
ちくしょう・・・しくじってしまった・・・でも!もしかしたら、もう1回戻ったら、やり直せるかもしれない!今度は大学受験終了直後の、頭脳がピークの時に能力を使って12月4日に戻ろう!そうすればテストも少なくとも今回よりは頑張れるはずだ!
次こそは絶対にうまくいく!間違いない!
(引用:ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 28巻201P/荒木飛呂彦)