私の名前はジロギン。

HUNTER×HUNTERなどの漫画考察や、怪談・オカルト・都市伝説の考察、短編小説、裁判傍聴のレポートなどを書いている趣味ブログです!

【ハンターハンター】ジャジャン拳はチーの方が強そうなのにゴンがグーを多用するのはなぜか?

ハンターハンターの主人公・ゴンの必殺技「ジャジャン拳」!

ジャンケンに見立てて、強化系、変化系、放出系の3つの技を繰り出します。

  • グーはオーラを集めた拳で敵を殴る強化系の技
  • チー(チョキ)はオーラを刃に変化させて敵を斬る変化系の技
  • パーはオーラを飛ばして攻撃する放出系の技

ゴンが最も得意とする系統は強化系ですので、グーを使うことが多いです。チーとパーはやや苦手な分野なのです。

しかしですね、作中の描写から見ると、グーよりチーの方が強くない?と思えてしまうのです。

ということで今回はジャジャン拳はチーの方が強そうなのに、ゴンがグーを多用する理由を考えてみました。

ゴン=フリークスとは?

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(引用:HUNTER×HUNTER 19巻129P/冨樫義博)

ゴンはハンターハンターの主人公です。クジラ島という小さな島で育ち、父親のジンに憧れてプロハンターを目指していました。

野生の中に身を置くような生活をしていたので抜群の身体能力と動物並みの嗅覚など、12歳にして人間離れした能力を持っていました。

誰とでも打ち解け、好奇心にあふれる様子は「ハンターに向いている」と周囲の人間から高く評価されることも多かったです。

 

念能力は、先述のジャジャン拳。技名はナックルが勘違いして決めつけてしまったものですが、ゴンは特に訂正せずそのまま技名にしてしまいました。

ビスケとの修行の中で技のベースが完成し、キメラ=アント編では非常に高い威力で使えるようになっていました。

強化系が得意系統であるゴンは、グーを最も得意としており、グーを使う時に拳に集まるオーラ量は百戦錬磨のプロハンター達をも驚愕させる量で、殴られればひとたまりもない威力です。

 

しかし、作中の描写的にグーよりチーの方が強そうなのです。

キメラ=アントをチーで両断

恩人であるカイトと合流したゴンとキルアは、巨大なキメラアントの痕跡をたどってNGLに入りました。

案の定NGLはすでにキメラアントの侵攻が進んでおり、多大な被害が出ていました。

 

そしてゴンたちは、麻薬工場にてユンジュというキメラ=アントと、その部下2匹と戦闘になります。ゴンは多数の腕が生えてキメラアントを相手取りました。

ゴンが戦ったキメラ=アントは非常に硬い外殻を持ち、ゴンの念を込めたパンチは効かなかったのです。

そこでゴンは殴るのではなく斬るためにチーを発動。キメラ=アントを両断しました。

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(引用:HUNTER×HUNTER 19巻100P/冨樫義博)

グリードアイランド時点でのチーは、戦闘で使い物になるレベルではななかったのですが、短期間で硬いキメラアントを切り裂くレベルになっていました。

キメラ=アントを切り裂くほどということは、人体に対して発動したら余裕で真っ二つでしょう。

この時、キメラ=アントたちは念を使えませんでしたが、念なしでも念の攻撃を耐えるほどの連中なので、強度としてはオーラをまとった人間と同じくらいの強度があったと思います。

それでもお構いなしで切れてしまうのがチーです。

ラモットはグーを耐え切った

先述の戦いの前に、ゴンはキメラ=アントの兵隊長ラモットとも戦いました。

ラモットに対してはグーを胴体にクリーンヒットさせましたが、ラモットを仕留めることはできませんでした(その後キメラアントの巣の中でのたうちまわるくらいダメージがありましたが)。

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(引用:HUNTER×HUNTER 19巻66P/冨樫義博)

当時のラモットは念は使えませんでしたので、兵隊長クラスであれば、キメラ=アント編序盤のゴンのグーは耐え切ってしまうレベルだったということでしょう。

この時点で考えると、おそらくチーの方が攻撃力が高いと思えます。

それを理解した上で、その後の戦闘でゴンはチーを使ったのだと思います。

ゴンの成長率の問題

念能力を100%の精度まで鍛えることができるのは、自分の生まれながらに持つ得意系統のみです。

ゴンの場合は強化系で、ジャジャン拳を構成するチー(変化系)とパー(放出系)については100%の精度で使えるようには、基本的になれません。

さらにゴンは変化系と放出系とでは放出系の方が得意(ビスケの見立て)のようですので、変化系のチーはゴンのスキルツリーの中で最も鍛えにくい系統になります。

 

受験生が得意科目の勉強をして苦手科目の点数をフォローをするように、ゴンも得意系統である強化系のグーを鍛え続けた方が今後の成長率を考えても効率はいいと思います。

おそらくチーは早い段階で成長の頭打ちが来てしまうはずです。

もしかしたらチーはキメラ=アント編序盤の時点でほぼ完成していて、あれ以上の成長が見込めなかった可能性がすらあります。

グーについてはゴンさん化し、ピトーに使ったレベルまでは成長する余地がありますから、キメラ=アント編序盤とは比較にならないレベルまで威力が上がることは間違いないです。

 

ゴンがチーより威力の低いグーを多用していたのは、チーを使ってもこれ以上成長が見込めないので、グーを使って鍛え続けること。そして、念を覚えてさらに強度が上がったキメラ=アントにはチーが効かない可能性を危惧して使わなかったのかもしれませんね。

ゴンさん状態でのチーも見てみたかった

もし仮にチーにもまだ成長の余地があったとしたら、ピトー戦でゴンさん化した時のチーの威力も見てみたかったですね。

ネテロの百式観音に殴られてもろくにダメージを受けないほど硬いピトーを、一撃でボロボロにするゴンさんのグー。

ということは、チーならばピトーを一瞬で切り裂き、バラバラにできていたかも知れません。だとしたらめちゃくちゃ強いですよね・・・ピトーを完全に仕留めきるまでにゴンさんといえどグーを多用した描写がありましたので、高威力のチーならそんなに労せずピトーを倒せたような気がします・・・

 

ただゴンがチー以上にグーを使うのは、自分の力で開発しましたこともあり、愛着があるということもありそうです。

実際グーは多くの使い手たちが驚愕するほどの威力を誇っていたことは間違いないですし、キメラ=アント相手でなければグーを使えばまず死ぬレベルの必殺技であることも間違いないです。

ゴンが戦う目的は殺傷ではない

ゴンは基本的に、敵といえど無条件に殺してやろうという考えは持っていません。

おそらく敵に本当の殺意を向けたのはピトーとの戦いだけでしょう。ゲンスルーも命までは奪いませんでした。

ゴンが念を殺傷目的に使うことはほぼあまりありません。

 

ということを考えると、敵を切断する=殺傷するに直結してしまうチーはゴンとしてはあまり使いたくはない技でしょう。

キメラ=アントに対して使ったのはカイトから「躊躇するな」的なことを言われたからだと考えられます。指示に従っただけです。

 

まぁ、殺そうと思っていたピトーに対してもグーしか使わなかったようですから、おそらくピトーの硬さを打ち破れるレベルでチーは使えなかったと考えるのが自然でしょうかね。やはりゴンは強化系ですので、グーが最も強い技になるのでしょう。

 

斬るという性質上チーの威力は高く見えてしまいます。

ゴンも敵をズバッと斬るためにチーを編み出したみたいですが、あまりにも斬れるので自分でもドン引きしてしまい使用を控えているのかもしれません。

「うわぁ、めっちゃ斬れるし、切断面グロすぎ・・・使うのやめとこ」みたいな。

ゴン的には殺傷は不本意みたいですし、威力も調整でき、弱めれば相手を死に至らしめることの少ないグーで殴る方が好ましいということで多用していると見えます。

グーはゴンの強さと優しさを体現した技

ということでゴンがチーよりグーをよく使う理由の結論は、

チーは斬るという能力の性質上強く見えるものの、ゴンにとっては若干苦手な系統であり、成長はすぐ頭打ちになってしまうので、今後成長率も高い得意系統のグーを多用している。

ということと、

ゴンが念を使う目的は基本的に殺傷ではないので、相手を死に至らしめる可能性の高いチーではなく、威力を調整すれば命までは奪わないグーを好んで使う。

ということではないかと思います。

 

グーはゴン自身の強さそのものでもあり優しさそのものでもある能力のようですね。

ハンターには強さが必要ですが、むやみに命を奪うことは良しとされていないようですから、ゴンの考え方はハンターの考え方そのものだとも言えます。

こういう面からもゴンはハンターに向いていると評価されていたのでしょう。

 

ただキメラ=アント編に関して言うと、このゴンの考え方は正直「良いとは言えない」んですよね。

実際に人間が万単位で死ぬ危機に陥っていながらもゴンはキメラ=アントたちに情けをかけていたわけですから。

カイトとキルア、そしてモラウたちはキメラ=アントを完全に駆除対象と断定し、仕留めるつもりで戦っていました(ナックルは途中で出来なくなってしまいましたが)。

基本的なハンターとしての方針と言いますか、考え方はゴンの考え方が正しいのですが、ハンターの仕事としてキメラアントの駆除を行っている以上は、情けをかけず仕留めるのがプロというものです。カイトもゴンの優しさをむしろ不安視してました。

 

念能力同様ゴン自身のハンターとしての成長もまだ発展途上ということでしょう。

ある意味でピトーを倒すためにゴンさんとなり、容赦なくピトーを仕留めた行為は、ハンターの仕事としては正しい行為です。

しかし、これまでのゴンが持ち合わせてきた何かを同時に失ってしまうような感じもしました。

あの場でピトーを殺していなければゴンが死んでいたとはいえ悲しい結末だったと思います。成長は何かを得て、何かを失うことなのでしょうか・・・

例えるならば、自分の理想を掲げて社会に出てきた新社会人が、社会に蔓延る金、嘘、裏切り、そんなものを目撃し、それまでの理想を捨てて厳しい現実世界に身を置くようになってしまうようなそんな感じですかね。

・・・って暗い話になっちゃった!