ハンターハンターに登場する念能力は、強化系、変化系、具現化系、特質系、操作系、放出系の6系統に分類されます。
念能力者はそれぞれ「得意系統」を持っており、その系統は生まれながらに決まっています。100%の威力・精度で扱えるようになるのは基本的に生まれ持った得意系統に属する能力のみ(クラピカのような特例もありますが)で、その他の系統に関しては得意系統と比べると低い精度でしか使えず、念のエネルギーともなるオーラ容量を無駄遣いしてしまう可能性があります。
特に、念を独学で習得した者(カストロなど)は自身の得意系統以外の能力を覚えてしまう場合が多いようです。
しかしキメラ=アント編に登場したパームは、師匠と思われるノヴがいましたが、自身の得意系統は「強化系」なのに「水晶で対象者を探す」という強化系とは思えない能力を取得していました。これはちょっと不思議ですよね。
そこで今回は、パームは強化系なのになぜ強化系とは思えない「発」を習得していたのか?について考えていきたいと思います!
パーム=シベリアとは?
(引用:HUNTER×HUNTER 21巻144P/冨樫義博)
本名:パーム=シベリア。
黒髪の長い女性で(作中でイメチェンしまくりましたが)、初登場時は暗い雰囲気を漂わせ、好きになったゴンなどを追い回すようなストーカー気質な面が見受けられました。
しかし実際のところパームは頼れる味方で、キメラ=アント討伐に関しても身を挺して貢献してくれたゴンにとっての大切な仲間の一人です。
ただ恋心がヒートアップしがちな部分があるだけなのです。
パームはノヴの弟子にあたり、ノヴのことも大好きなようですが、同じくらい尊敬もしていました。
作中でパームはキメラアントに改造されてしまいましたが、以前は「自分の血と水晶を媒介に対象者を見つける」という念能力を使い、遠く離れたキルアとゴンや、ビスケを探し当てることもできました。
パームの得意な念系統は強化系なのですが、この水晶を使った能力は強化系とは思えないのです。
ということは、師匠であるノヴはパームに得意系統以外の能力を開発させてしまったということでしょうか?
さすがにプロハンターとして、師匠として、それはまずいのではないかと思うのですが・・・
パームは強化系
一応前提として説明しておきます。パームが強化系だと判明するのは、ゴンとキルアが初めてパームと出会った時です。
パームとお茶をしながら話していましたが、パームの持っていたグラスに入ったコーヒーが突如として溢れ出しました。
(引用:HUNTER×HUNTER 20巻14P/冨樫義博)
これはパームが感情の高ぶりとともに、水見式の修行と同様「発」を行ってしまったためです。
水がグラスから溢れ出るのは強化系の性質でしたね。
このことからもパームは強化系を得意系統としていることが明らかになりました。
視力の強化?
もしパームの、水晶と血を使った探索能力が「視力を強化して遠くを見ている」のだとしたら、確かに強化系に属する能力と言えなくもないですね。
出血を伴うことと水晶を併用しなければならないことを制約として、視力を強化し、遠くにいる対象者を見つけ出せる的な。
ただ作中に登場する強化系念能力者たちを見ると、強化系能力で強化していたのは明らかに「身体能力」と言えるものであり、例えば腕力、回復力、成長速度など、体に関することがほぼ全てでした。
パームの能力は身体能力を強化した云々のものではないですよね。どちらかというと超常現象と言いますか・・・特質系っぽい感じがします。他の系統にも当てはまりそうにないですし・・・
また、キメラ=アントになったパームとキルアが戦った際、キルアはパームに備わった新たなる念能力である「暗黒の鬼婦神(ブラックウィドウ)」による攻撃を食らい「能力がツボにはまるとこんなに変わるのか」と考えていました。
(引用:HUNTER×HUNTER 28巻68P/冨樫義博)
これは「暗黒の鬼婦神(ブラックウィドウ)」がパームの強化系に合致した能力(髪の成長速度と硬さを強化し身を守る)であったためです。
キルアの心理描写から、これまでのパームの水晶を使った遠隔監視能力は強化系ではなかった(故にキルアは得意系統と合致した能力の威力に驚いた)と考えられます。
パームに先天的に備わっていた能力?
念能力者の中には、ゴンやキルアのように修行の中で能力を身につけた者もいれば、先天的に念能力を身につけている者もいます。作中だと占いの能力を持っていた「ネオン」が該当しますね。
もしかしたらパームも、水晶の能力については生まれながらに持っていた能力の可能性があります。
また、特質系の能力は先天的、あるいは生まれてから育ってきた環境によって発現する場合も多いようです。
パームは強化系ではありますが、生まれながらに特質系の能力として水晶と血を使った能力を持っていたとも考えられます。
血を使うっていうのも、先天的な能力っぽそうですよね。パームのDNAが関係しているのかも。
ただ強化系と特質系は真逆の位置関係にある系統ですので、強化系の能力者が特質系能力を扱えるのかどうかは微妙なところです。
作中でも明らかになってませんね。
しかしまだ否定されてもいないので、パームが強化系にもかかわらず特質系が使える可能性というのも十分ありえます。
ノヴの発言
ここまでの私の見解だと
「パームは得意系統以外の能力を使ってるメモリの無駄遣い!師匠であるノヴは何を教えているんだ!」
と思えてしまいますよね。
これではノヴよりも、強制的に念能力を付与することができるプフの方が師匠として上?みたいなことになってしまいます。
基本的に「発」は自分の得意系統にした方が威力や精度も上がり、燃費もいいです。
しかし、ノヴのとある発言を見ると、ノヴはパームにセオリー通りの念を教えるつもりはなかったのではないかと思えます。
その発言とは「私だけの為に使え」。
(引用:HUNTER×HUNTER 21巻144P/冨樫義博)
すなわちパームの水晶と血を使った能力は「ノヴの要求がないとき以外使うな」ということですね。
ノヴの発言の意図として、もしかしたらパームの能力には使用回数制限などがあるのかもしれませんが、私は「パームの能力はノヴの能力にとってありがたい能力だから」だと思うのです。
ノヴの能力にとってありがたい能力
ノヴの能力は「四次元マンション(ハイドアンドシーク)」で、念空間にマンションを作り出し、ノヴが作った扉から出入りできるというものです。
超便利な能力でどこにでも秘密基地のように拠点を作り出せます。
しかしこの能力の難点として「外の様子が確認できない」ということがあると私は思うのです。
ノヴ自身外の様子を確認するときはマンションの外に出て確認していました。
マンション内にいれば安全ですが、外に出た瞬間を敵に狙われたり、どこに隠れているかバレれて待ち伏せされたりすれば危険が高まります。
(引用:HUNTER×HUNTER 23巻174P/冨樫義博)
そこでパームの能力を使えばどうでしょう。マンションの中にいても、パームの能力があれば外にいる人物の様子を遠隔で探れます。
いちいちノヴが外に出て確認する必要も無くなるわけです。
このコンボのために、ノヴはパームに水晶の能力を使わせていたのではないでしょうか?
むしろパームの得意系統である強化系の能力を覚えさせてしまうと、それこそメモリの無駄遣いで、水晶による探索能力に支障が出てしまう可能性があります。
加えてパームの能力が先天的なものだったとすると、ノヴはパームに特別な能力を教えることなく、そのまま自分の補助として協力してもらっていたという感じになりますね。
パームはあくまでノヴの補佐役(助手)だった
パームが強化系能力者で、しかもかなり好戦的な性格をしているので、まさに「暗黒の鬼婦神(ブラックウィドウ)」のようなバリバリ強化系の能力を覚えて前線で戦わせれば、キルアでも手も足も出ないほどの力を発揮していたでしょう。戦力としては非常に心強いです。
しかしパームはノヴの弟子、というより助手に近い形で協力していて、ノヴの能力のサポートをする形で自身の能力を使っていたのでしょうね。
これだとなんだか「ノヴの都合のいい女」みたいな感じがしてちょっと嫌な気がしますが、ノヴのパームの活用方法は正しい判断であると私は思います。
ノヴの「四次元マンション(ハイドアンドシーク)」はキメラ=アント編のように数名の仲間たちが一緒に入って作戦会議をしたりする拠点にもなる能力です。
ノヴは能力の性質上、そういった複数名で行う任務につくことも多いと思います。
そうなると、「四次元マンション(ハイドアンドシーク)」で隠れている場所が敵などにバレた場合、中で隠れている仲間たちも危険にさらされてしまう可能性があります。
そのような状況を回避するためにも、マンションの中から身を隠した状態で外の様子や敵の位置などを確認できるパームの能力は非常に使い勝手がいいということでしょう。
ノヴだけの利益のためではなく、一緒に任務を遂行する仲間たちを守るためにもパームの能力は重要だったということですね。だとしたらノヴの判断は優れたものですよね。
そして付け加えるならば、パームは女性ですから、ノヴとしても前線で接近戦を行わせるような危険な真似はさせたくなかったのではないかとも思います。紳士的ですね。
パームがノヴに惚れていたのは、そういうところがあるからだったのかもしれません。
・・・ノヴはだいぶツルッツルになってしまいましたが、パームにはそれでもノヴを愛して欲しいです・・・いやでもパームもキメラ=アントになっちゃいましたか・・・ってなんか暗い終わり方になっちゃったな。