ハンターハンターを読み返していると、やっぱりキメラ=アント王直属護衛軍の強さは際立っているなと感じます。
真っ向勝負で勝つには、ネテロかゴンさんが全力でやりあうくらいしかなかったと思います。
個人的に特に強いなと思うのが、モントゥトゥユピーです。ユピー強すぎるんですよ。正直、念能力なしでもすでに怪物です。
ゴンたち討伐隊の作戦では、シュートが時間を稼ぐうちにナックルの能力「天上不知唯我独損(ハコワレ)」でユピーを強制的な「絶」の状態にして無力化を図ろうとしていました。
でもですね、ユピーを「絶」にしたところで勝てなくね?と思えるほどユピーは強いのです。そんなユピーの強さについて書いていこうと思います。
ユピーは魔獣との混成
作中で登場したキメラ=アントたち、特に師団長以上の上位種たちはキメラアントと人間が合わさってできた新たなるキメラ=アントでした。ですので人の言葉を話せたり、念能力を使えたりします。
ユピーの場合は例外的にキメラ=アントと人間ではなく、キメラ=アントと魔獣の混成生物なんですよね。
(引用:HUNTER×HUNTER 25巻132P/冨樫義博)
魔獣はハンターハンターの世界に存在している生物のことで、一説には暗黒大陸から来たともされています。種によっては人間では太刀打ちできないものもいるでしょう。
ユピーを構成している生物がすでに人間のポテンシャルをはるかに上回る魔獣でしたので、普通に戦っても異常な強さを誇っていたはずなのです。
さらに獰猛なキメラアントと混ざることでより凶暴性を増していたと考えると、ユピーは戦闘に特化したキメラアントだったと言えます。強いはずですね。
ユピーの攻撃は念能力?
ユピーは自分の体を変形させ、多彩な攻撃を仕掛けてきました。
この攻撃が念能力によるものなのか、ただユピーがキメラアントとして持っている能力なのかについての言及はありませんでした。
ただ、ユピーがナックルたちとの戦闘で後半に見せたオーラの放出は念能力によるものだと思われます。
ユピーの能力と性格からしても放出系っぽいので、自分の体を変形させるのが念能力だった場合、放出系の範疇ではない気がします。
放出系と隣り合う強化系の能力の可能性もありましたが、個人的にユピーの体の変形は念ではなくユピーがキメラ=アントとして持っていた能力だと思うんですよね。
例えると、蜘蛛が糸を出したり、サソリが毒を持っていたりというような生物特有の能力ではないかと。
2023年追記
ユピーは変化系の能力者でした。
もちろんユピーもオーラを扱えるので、キメラ=アントとしての能力にオーラを付加して威力を強化していたとも思います。でもオーラを抜きにしたとしてもめちゃくちゃ強いです。
シュートに使った針攻撃なんてシュートじゃなければ避けられなかったと思います。
(引用:HUNTER×HUNTER 26巻36P/冨樫義博)
そもそも「絶」にするのが現実的ではなかった
ナックルはこれまでに5,000回以上の戦闘経験を誇ります。その経験値と能力の関係から、殴ってポットクリンをつけた相手のオーラ量を感覚的に数字化できます。
ナックルはユピーのオーラを感じ取り「底が見えねぇ」と絶望していました。ユピーのオーラ量はこれまでナックルが戦ってきたどの相手を以ってしても足りない量だったのです。
(引用:HUNTER×HUNTER 27巻174P/冨樫義博)
幸いにもユピーはオーラの大量放出を技として身につけてくれたため、ナックルの能力としては追い風になりましたが、それでも「絶」にするまでには及びませんでした。
おそらくオーラ量だけで言えば、護衛軍の中で最も多いのがユピーだと思います。
魔獣との混成ということや、オーラで周囲を吹き飛ばすという技を使うことからも人間との混成のキメラ=アントでは保有できない量のオーラがあったと思います(万単位の人間を操作できるプフと、何日もの間2km範囲の「円」を張り続けられるピトーのオーラ量も化け物クラスですが)。
ユピーを「絶」にする作戦を成功させること自体現実的ではなかったと思います。
なぜユピーを「絶」にする作戦を取ったのか?
モンスター級のオーラを持つユピーを「絶」にするのは悪手とも取れる作戦だったと思います。
しかし、討伐隊にはユピーに関する事前情報がほとんどなかったんですよね。
護衛軍たちの強さは、人間に白旗を上げたコルトからモラウとノヴがなんとなく聞いていました。
コルトも把握していたのは護衛軍の中でも早く生まれたピトーとプフくらいだったでしょう。ユピーは最後に生まれたので、コルトも情報を持っていなかったと思います(姿形くらいは知っていたはずですが)。
さらに、ユピーは何をやっていたのかわからないくらい、キメラアント編序盤では活動していません。囲碁や将棋のプロをメルエムのもとに連れてくるくらいしかしていませんでした。
ピトーは「円」を張っていたことと、直接接触したゴンとキルアの話から強さの想定はできますし、プフもノヴが「円」に触れてその強さに直面していますので、プフについても情報があります。が、ピトーに関しては事前に誰も接触してませんし、強さを測るきっかけがなかったんですよね。
事前情報がなかったので、ユピーを「絶」にするという策を打ってしまったのだと思います。キメラアント編はそう言った「誤算」が連続する点が面白味でもありますが。
ユピーを無力化するにはどうすればよかったのか?
ユピーを「絶」にしたところで、素の戦闘力だけでもシュート、ナックル、モラウ、メレオロンが協力したところで負けていたと思います。
シュートは真っ向勝負で致命傷を負い、ナックルは決定打となる技がなく、モラウは満身創痍、メレオロンは攻撃能力がない。いやはやきついですね。
個人的には、メレオロンの「神の不在証明(パーフェクトプラン)」で気配を消すのをナックルではなくシュートにし、シュートが見えないところからユピーの体をどんどん「暗い宿(ホテル・ラフレシア)」で抉り取っていく作戦が良かったのではないかなと思います。
ナックルの逃げ足があればユピーから逃げるのは問題なくできていたので、囮役をシュートとナックルが交代すれば良かったのではないかなと。
関連記事:【ハンターハンター】シュートとメレオロンが組めばユピーを無力化できたんじゃない? - 私の名前はジロギン。
たらればで語ればなんとでも言えるんですけどね。問題点はユピーの強さが規格外過ぎたという点。
ハンターハンターの世界観的に、ユピーのようなパワーでゴリ押しタイプの敵は搦め手に弱いというのがセオリーです。同じくゴリ押しタイプのウボォーギンはクラピカの策と搦め手によって敗北しました。
シュートもナックルもモラウも搦め手のような能力を使い、ユピーをかく乱しましたが、それでもパワーで押し切ってしまったユピーは作中のセオリーをぶち破るほどの強さだったわけですね。ユピーにはそもそも勝つ、あるいは無力化するのは無理でした。
念能力者同士の勝負で強制的な「絶」にされてしまうのは致命的。ほぼ負け確実ですが、「絶」にされたところでモラウらの一流ハンターたちを相手取り、勝てるほどの強さを持ったユピーは文字通り怪物だったと思います。
ただ忘れてはいけないのが、討伐隊は名ばかりで、実際の所メルエムと護衛軍を分断し、その隙にネテロがメルエムを仕留められれば、王を失った護衛軍は存在意義すらなくなるので、実質人間側の勝ちでした。
ネテロがメルエムを爆撃するまでの間に、メルエムの元に辿りつけなかった時点でユピーは人間側の策に敗れていたとも考えられます。