ハンターハンターのキメラアント編では、人知を超えた力を持つメルエムや王直属護衛軍のピトー、プフ、ユピーなど敵のレベルが上がり、これまでのどのキャラクターでも太刀打ちできないほどの強さを誇っていました。
味方キャラクターもハイレベルな念能力者(ネテロ会長やモラウ、ノヴ)が登場。強さの基準が大幅に変わりました。
だんだんとレベルが上がっていくのはジャンプのバトル漫画の王道ですね。
しかし、新たに始まったカキン帝国の王位継承戦では、念の存在すら知らない王子やその護衛たちが多数登場。クラピカが1から念を教える展開になってきています。
だいたいジャンプのパターンならば、継承戦の登場人物たちは皆、キメラアントたちよりも厄介な能力を携えていそうなもの。そのパターンからは外れた展開になっていました(今後厄介な能力を身につけるキャラが出てくる可能性はあり)。
今の王位継承戦ならば、私が作中で一番好きなキャラクター
団長の手刀を見逃さなかった人
も結構立ち回れるんじゃないかと思いました。
その点について考察していこうと思います。
- 団長の手刀を見逃さなかった人とは?
- 継承戦は念を使えるだけでも有利
- バショウよりは戦えそう
- 護衛というより暗殺者向き
- ヒュリコフが団長の手刀を見逃さなかった人っぽくなっている
- どうせ念獣にやられる
- まとめ
団長の手刀を見逃さなかった人とは?
出典:HUNTER×HUNTER 11巻60P/冨樫義博
ヨークシンシティ編に登場した軍人のような格好をした殺し屋です。名前は不明で、クロロの恐ろしく速い手刀を監視カメラ越しに見切ったことから、ネットを中心に「団長の手刀を見逃さなかった人」と呼ばれています。
マフィアンコミュニティーのトップ「十老頭」が幻影旅団抹殺のために雇った殺し屋の一人で、同じく雇われた殺し屋たちとは手を組もうとせず、個人行動を望んでいました。
クラピカの見立てでは、キルアの父と祖父にあたるシルバとゼノに「なんとか対抗できそう」なくらいの実力はあるそうです。しかし正直強いのか弱いのか微妙でした。
作中ではクロロの手刀スピードからその実力の高さをいち早く察知。クロロが仕掛けた、殺人中毒者をおびき出すための「血の道標」をあえて辿ることでサシでの決闘をしました。
武器はナイフを使っていたようですが戦闘描写はなく、クロロが何者かから盗んだ念能力の一つ「密室遊魚(インドアフィッシュ)」によって拷問され、念魚に体を食いちぎられたことが原因で死亡しました。
継承戦は念を使えるだけでも有利
先ほどの通り、王位継承戦に参加している王子や護衛たちの中には念能力を使えない者が多いです。念を使えると判明しているのはクラピカやビルなどのハンター協会員(プロハンターたち)、第1王子・ベンジャミンとその護衛、第2王子・カミーラ、その他王子に念を使えることを隠している一部の護衛たちくらいです。
現在クラピカが、念を学びたい王子たちのために、念の指導を開始していますが、王位継承戦においてあらかじめ念を使える状態というのはかなり有利でした。
念能力者と非念能力者では戦闘能力に大きな差があります。オーラを込めた攻撃を非念能力者が喰らえば、死亡するか体の一部を失うほどの重傷を負う可能性があります。
さらにオーラを纏えば、ハンドガンくらいの火力の銃であれば即死は免れます(クラピカは銃を警戒してましたので、オーラの系統や銃の威力によって受けるダメージは変わるようですが)。
ベンジャミンは他の王や護衛が念能力を知らないことを利用して、攻撃に転じるつもりでいたようですので、それだけ有利だったとも言えます。
団長の手刀を見逃さなかった人も、戦闘描写はなかったものの、クロロとの戦い直前にオーラをまとっていることが確認できます。
団長の手刀を見逃さなかった人はシルバ、ゼノとも何とか戦えそうなくらいには強いので、最低でも念の基本くらいは出来ると思われます(念すら使えなければ、世界最強クラスの殺し屋相手に戦うことは不可能です)。
団長の手刀を見逃さなかった人がカキン帝国の王子の護衛として参戦していたのであれば、かなり強い方だったのではないかと思います。さすがにクラピカ、ビスケ、ハンゾーには及ばないにしても、ベンジャミンの護衛クラスには立ち回れたのではないかと。
バショウよりは戦えそう
団長の手刀を見逃さなかった人がどれくらいの強さなのかはわかりません。ただ、今回王位継承戦に護衛として参加しているバショウよりは強いイメージです。
強いというより、戦闘に対して意欲的と言ったほうがいいですかね。
バショウはウボォーギンを始めとする幻影旅団員がマフィア相手に暴れる姿を見て、完全に萎縮し、戦うことすら放棄していました。
一方で団長の手刀を見逃さなかった人は、旅団最強だと思われるクロロに対して果敢にもサシでの戦いに挑みました。
これは判断が分かれるところで、バショウは自分と旅団の実力差をきちんと判断した上で戦わないという冷静な対応ができていたとも言えます。そして団長の手刀を見逃さなかった人は、クロロの実力を正しく判断できていなかったから殺されたと。
バショウの能力「流離の大俳人(グレートハイカー)」は戦闘では少々使いにくい能力です。
出典:HUNTER×HUNTER 8巻60P/冨樫義博
能力発動の手順として、「俳句を書くこと」、「その俳句の内容に能力の制約と効果を含めること」をしなければなりません。さらに、俳句の出来がイマイチだと効力も微妙になります。
能力発動のたびに俳句を書かなければならないのは、戦闘においてめちゃくちゃ不利です。しかも相手が旅団ともなると、0.1秒を争うことになりますので、バショウでは戦うこと自体難しかったでしょう。
能力が戦闘向きでなかったが故にバショウは旅団との戦闘を避けたのだとすると、団長の手刀を見逃さなかった人は戦闘向きの能力を持っていたために、強気でクロロとの戦いに臨めたのだと思います。
いざ戦闘になった時、バショウよりも団長の手刀を見逃さなかった人の方が戦えそうです。強いかどうかは別として。
(個人的に団長の手刀を見逃さなかった人の強さは、グリードアイランドの中にいた猟奇殺人鬼・ビノールトくらいでだったのではないかと思ってます)。
護衛というより暗殺者向き
もし団長の手刀を見逃さなかった人が王位継承戦に参加するとしたら、王子の護衛の一人として参加するのがありえそうですね。
ただ団長の手刀を見逃さなかった人は殺し屋なので、王子を守る側ではなく、むしろ雇い主以外の王子を殺しに行く暗殺者として雇われそうです。
ゾルディック家ほどではないにしても、団長の手刀を見逃さなかった人は殺し屋としてのレベルは高いようなので、念能力者の少ない継承戦ならば暗躍できた可能性は高いと思います。拮抗状態が続く状態であれば、先手を打って攻撃できる部下がいる王子が間違いなく有利になります。
少し話が逸れますが、王位継承戦は王子たちの生き残りをかけたサバイバルだというのに、ベンジャミン以外の王子たちの部下に「他の王子を攻撃するための部下」がほとんどいないのが不思議です。
身の守りを固める部下ならたくさんいますけど、それこそ団長の手刀を見逃さなかった人みたいな暗殺者が少ないです(「11人いる(サイレントマジョリティー)」の能力者みたいな)。
特に、他の王子の抹殺を考えてそうな上位4王子(第3王子チョウライはそこまで残虐ではなさそう)は、念能力者でなくても暗殺専用の部下の方を多く用意してそうなものですが・・・これから出てくるのでしょうかね?
ヒュリコフが団長の手刀を見逃さなかった人っぽくなっている
いくら「団長の手刀を見逃さなかった人が継承戦にいたら・・・」と妄想したところで、彼はすでにこの世にはいません。クロロとの激闘?で亡き者となりました。
ただ、この妄想がやや実現しそうな気配もあります。第1王子・ベンジャミンの部下・ヒュリコフが団長の手刀を見逃さなかった人っぽくなっているのです。
クラピカの提案で、念を学びに各王子の護衛がワブル王子の部屋にやってきたシーン。その中にはヒュリコフの姿もあり、クラピカの鎖や銃の構え方、オーラの様子などからクラピカの得意系統が具現化系だと見切っていました。
その時のヒュリコフがこちら。
出典:HUNTER×HUNTER 35巻195P/冨樫義博
そして団長の手刀を見逃さなかった人がクロロの団長を見切ったシーンがこちら。
出典:HUNTER×HUNTER 11巻54P/冨樫義博
匂う・・・匂うぞ・・・咬ませ犬の道標・・・
ヒュリコフは名前があるので、ちゃんと「ヒュリコフ」と呼ばれていますが、もし名もなきモブキャラだったとしたら、「クラピカのオーラの違いに気付けた人」みたいな名前を付けられていたかもしれませんね。
ヒュリコフから上がれでる咬ませ犬臭は、団長の手刀を見逃さなかった人そのものです。
どうせ念獣にやられる
王位継承戦ならヨークシンシティ編よりはうまく立ち回れそうな団長の手刀を見逃さなかった人ではありますが、殺される運命は避けられなさそうですね。微妙な力で好戦的なんてタイプは、真っ先に死にに行こうとしているようなものから。
団長の手刀を見逃さなかった人は最終的にクロロの念獣「密室遊魚(インドアフィッシュ)」によって殺されました。今回の王位継承戦は、各王子に念獣が付いていて、インドアフィッシュ以上に厄介そうな能力を携えています。
団長の手刀を見逃さなかった人は王位継承戦に参加していても、また念獣の餌食になっていたんじゃないかと思います。私は「運命はどうやっても変えられない」。と思っているタイプなので・・・
というか、ブラックホエール1号内にはクロロも乗り込んでいて、カキン帝国王子たちの宝を狙っています(まずはヒソカ殺害が優先みたいですがね)。
どのみち、王子の宝に関する情報を吐かせるため、団長の手刀を見逃さなかった人を「密室遊魚(インドアフィッシュ)」で拷問して殺す運命が待っていそうです。
まとめ
ヨークシンシティ編でも、マフィアの大半が非念能力者だったので、王位継承戦と変わらない部分もありました。しかし相手が悪かったですよね。幻影旅団はプロハンターでも迂闊に手が出せない危険な盗賊団でしたから。並の使い手では太刀打ちできませんでした。
王位継承戦で争い合っているのは、一応王子たち同士なので、お互いに非念能力者であることが多いです。念を使えて、殺しのプロである団長の手刀を見逃さなかった人でもだいぶ強者だったのではないかと思います。
ただ、これからビスケやハンゾー、クラピカの師匠・イズナビといった実力の高いハンターたちが本格的に動き始めそうですし、旅団も関わってきそうですので、団長の手刀を見逃さなかった人はまたすぐ「なんか強そうだったけど弱かった人」扱いされてしまうことでしょうね。
でもそれでいい。彼は「咬ませ犬で在ること」が仕事なのですから。