マフィアの依頼で幻影旅団の抹殺に乗り出したゾルディック家のゼノとシルバ。
2人は旅団の団長・クロロと戦闘になりました。
両者とも手の内を明かすことなく、ゼノとシルバの依頼人である十老頭が死んだことで、勝負半ばで終了となりました。
この戦いの時にクロロは「ベンズナイフ」と呼ばれるナイフを使い、シルバの腕を傷つけました。
クロロのベンズナイフには「0.1mgでクジラとか動けなくする薬」が塗られており、本来ならシルバは動けなくなるか、心肺機能まで麻痺する毒であれば死んでいたでしょう。
しかしシルバはナイフの形状を見ただけで毒が塗られていることを察知。
すぐに毒が体に回らないよう処置しました。
出典:HUNTER×HUNTER 11巻99P/冨樫義博
なぜシルバはクロロのベンズナイフの形状を見ただけで毒ナイフだと見抜けたのでしょうか?
この点について考察したいと思います。
ベンズナイフとは
出典:HUNTER×HUNTER 11巻99P/冨樫義博
作中では、クロロが使ったものと、値札競売市でゴンが見つけた2本が登場しました。
ベンニー=ドロンという鍛冶職人が作ったナイフで、熱狂的なファンが多い逸品です。
ただのナイフではなく、ベンニーが殺人を犯し、その時に得たインスピレーションをもとに作られたナイフです。
その数は全288本。つまりナイフの数だけ人が死んでいることになります。
「凝」を使ってナイフを見ると、微弱なオーラをまとっています。
原因は不明ですが、おそらくベンニーはオーラを込めてナイフを作っていたとみられます(芸術的な才能がある人は、無意識にオーラを使って作品を作っていることがあります)。
殺人鬼が作ったナイフのため、ベンズナイフは芸術品として正当な評価は受けていません。
しかし、その貴重さからコレクターがいて、種類によりますが、最低でも500万ジェニーで取引されています。
クロロが使っていたナイフは、シルバ曰く「中期型」のナイフとのこと(詳細は不明)。
切れ味は抜群で、シルバの鉄のように硬い(であろう)皮膚に傷をつけました。
シルバ=ゾルディックとは
出典:HUNTER×HUNTER 11巻94P/冨樫義博
キルアの父にあたります。銀色の髪をした男性です。
暗殺者として自分も稼くかたわら、自分の息子たちも一流の暗殺者にするべく教育を施していました。
キルアはシルバや、兄のイルミによる教育から逃れるために家を出ました。
しかし、シルバのことは尊敬しているようです。
自分より弱い相手や、明らかに格下の相手に対してバカにした態度をとるキルアが尊敬しているということからも、シルバは非常に高い戦闘力を持っていると想定でます。
キルアの話では、シルバはベンズナイフの大ファンのようです。
クロロのナイフを見ただけで種類を見極めていた点からしても、相当のファンでしょう。
ナイフが好きだったり、妻のキキョウとはいまだに仲良しだったり、教育熱心だったりと、殺し屋という面を除くけば、かなり人間臭いキャラがシルバです。
では、なぜシルバがナイフの形状だけで毒ナイフだと気づけたのか、考えていきます。
「ベンズナイフ図鑑」みたいなのがある
ハンターハンターの世界に、超マイナーな図鑑として「ベンズナイフ図鑑」みたいなものがありそうです。
288本すべてのベンズナイフの写真、特徴、製造年月日などがまとめられた図鑑!
熱心なコレクターがいて、数百万という高額で取引されるベンズナイフ。
まとめて図鑑にしている人がいてもおかしくないです!
本じゃなくても「NAVERまとめ」みたいに、
【殺人鬼の傑作】ベンズナイフ全288本まとめ
のようなサイトがありそうですね。
ハンターハンターの世界はインターネットはもちろんスマホまで普及してますから、まとめサイトもある確率は高いです。
シルバもベンズナイフのファンならば、こういう図鑑かサイトは絶対に目を通しているでしょう。
そこでベンズナイフの使い方なども熟知していて、形状から「毒を塗って使う」ことを見極められたのではないでしょうか。
殺傷を狙う形のナイフではないから
私としてはこれが一番の理由だと思います。
クロロのベンズナイフは、戦闘用といますか、殺傷を狙うような形をしていなかったから、毒ナイフだと気付いたのではないかと。
戦いに使うナイフは、刃物で斬り合っても刃が折れないような太くてしっかりした作りをしていると思います。
あと攻撃力を出すためにも、ゴツくしてありそうなイメージです。
しかしクロロが使ったベンズナイフは、いびつな形状をしていて、刃が細かったですよね。
これだと思い切り何かを切ろうとしたら刃の方が折れてしまいそうです。
となると、相手に少なからず手傷を負わせるためだけのナイフと考えられます。
それをわざわざ戦闘で使ったということは、少しでも傷つけられれば、相手を殺傷できる(あるいは動きを奪える)毒が塗られている
とも判断できるでしょう。
シルバの戦闘経験があるからこその判断でもあると思います。
過去に同じような刃物を使い、毒を塗っていた敵と戦ったことがあったのかもしれません。
自分の持っているベンズナイフと形状が似ていたから
シルバ自身もベンズナイフのファンということは、自分もベンズナイフを持っている可能性は高いですよね。作中では登場しませんでしたが。
シルバの持っているベンズナイフもクロロのナイフのような形をしているのかもしれません。
シルバが貴重なナイフを戦闘に使うかどうかはわかりません。
しかしもし使うとしたら「毒を塗って使う」と考えていたとしたらどうでしょう?
クロロのナイフを見たときに、形を生かした最も合理的な殺し方は何かと考えたら、「刃に毒を塗ること」と想定できたのではないでしょうか。
シルバに毒は効くのか?
少し話題が逸れますが、シルバに毒は効くのでしょうかね?
息子のキルアは幼い頃から毒に対する耐性をつけており、トンパの用意した下剤を飲んでも全く効いていませんでした。
キメラアントの毒も効いてませんでしたね。
出典:HUNTER×HUNTER 21巻94P/冨樫義博
同じくゾルディック家の一員で、キルアを指導してきたシルバはというと・・・
クロロのナイフに塗った毒に対して、毒抜きを行っていました。
キルアには厳しくしつけておいて、シルバ自身は「いやいや、毒とか飲んだら死んじゃうから!」というような感じで訓練をしてこなかったのでしょうか?
これには、キルアとシルバの経験値の差が出ていると思います。
毒は必ずしも即効性のあるものとは限りませんよね?
時間を置いてから効き目を発揮する遅効性の毒の可能性もあります。
毒を体内に取り込んだ瞬間は異常がなくても、後々効いてくる可能性は高いです。
この危険性を考えてシルバは毒抜きを行ったのだと思います。
キルアは、その場で「毒は効かない」と断言していましたが、毒の種類ってたくさんあるし、キルアが耐性を持っていない毒もたくさんありそうです。
毒は日夜研究が進められて、最新もものが出来上がっているともいます。
また、ハンターハンターの世界にもまだ見つかっていない動物もたくさんいるでしょう(暗黒大陸に限らず人間界だけでも。プロハンターしか入れない立ち入り禁止区域もあるみたいですからね)。そういった動物が持っている毒にキルアが対応できるとは限りません。
「貧者の薔薇(ミニチュアローズ)」に使われている毒もキルアには効かないのかというと・・・そうではないような気がします(これも考察できそう!)。
シルバもキルア同様、毒は効かないものの、クロロの用意した毒がどのレベルの毒かわからないので、念のため毒抜きをしておいたのだと私は考えています。
まぁ毒ですからね。効かないといえど、すぐに体から抜いた方がいいはずです。
まとめ
本題に戻ります。
シルバがクロロのベンズナイフが毒ナイフだと気づけたのは、
形状が殺傷用ではなかったから
だと、私は思いました。
「ベンズナイフまとめ図鑑」や、「シルバがクロロのものと同じようなベンズナイフを持っている」は作中で描写がないですからね。
あくまでシルバがクロロとの戦いの場で見たナイフの形状から毒ナイフであると想定できたのは、
形状が殺傷に不向き→わずかな傷でも致命傷になる毒ナイフ
と考えたためだと思います。
シルバのベンズナイフ大ファン精神と、戦闘経験が入り混じったいいシーンですね!
こういうわずかなシーンでも、いろいろとイメージさせてくれるのが、ハンターハンターの面白いところだと思います。