私の名前はジロギン。
今回のアンパンマン考察は、ついに来ました、主人公・アンパンマンに関する考察です!
いつでも明るく笑顔でやさしいアンパンマン。
ですが彼の生き様を考えると、本当はとても悲しい思いをしているのではないと思えてしまいます。
いつも吹き飛ばされるばいきんまん以上に・・・
そこで今回は、
アンパンマンの世界で一番かわいそうなのはアンパンマン自身ではないか?
という点について考察していきます。
アンパンマンの基本情報
ジャムおじさんが作ったアンパンの種に、「いのちの星」が宿って誕生したのがアンパンマンです。
赤ちゃんの姿で誕生し、飛び方を覚えたり、人々を助けることに喜びを覚えたりしながら成長したことで、今のアンパンマンになりました。
頭の中のあんこはつぶあんです。
アンパンマンに年齢はなく、誕生日なども不明です(作者のやなせたかしさんと同じく2月6日とする説や、アンパンマンのアニメ第1回放送日の10月3日とする説などがあります)。
得意技は「アンパンチ」や「アンキック」。その威力は絶大で、ライバルであるばいきんまんのメカごと空の彼方まで吹き飛ばしてしまいます。
アンパンマンが初めて登場した絵本では、アンパンを配る人間でした。
かわいそうなアンパンマン
では、アンパンマンはなぜかわいそうなのかを考えていきましょう。
作中のあらゆるところで、アンパンマンは悲しい思いをしてそうな描写があるのです。
みんなと一緒にごはんを食べないアンパンマン
パン工場には、たくさんのキャラクターが食材や料理を披露しにやってきます。
「てんどんまん」や「てっかのマキちゃん」、「おむすびまん」などなど。
彼らは作った料理をジャムおじさんたちに振舞い、みんな笑顔で美味しく食卓を並べます。ただ一人を除いては・・・
そう、アンパンマンは他のキャラクターたちが作った食材や料理を食べないんですよ。ただ笑顔で見てるだけ。
アンパンマンの公式ポータルサイトにもアンパンマンが食事をしないことについて触れられています。
アンパンマンは頭のあんこがエネルギー源のため、食事の必要はありません。だから誰が持ってきたもの出会っても口にしないようです。
アンパンマンの体の仕組み上、食事できないのならば仕方ないです。しかし、ばいきんまんらと戦い、みんなを無事に救ったアンパンマンにごほうびがないのは虚しいですね。
顔面をえぐって分け与える
やさしいアンパンマンは、困った人がいればいつどこであっても助けの手を差しのべます。 一番わかりやすい例は、道端で「おなかがすいた」と泣いているかばおくんを助けてあげるシーンですね。
アンパンマンは自分でパンを作ることはしませんので、「ぼくの顔をお食べよ」と自分の顔をえぐって渡します。
苦肉の策なので仕方ないとはいえど、自分の顔をえぐって食べさせるのって恐ろしいことですよね。
アンパンマンの言い方も、その怖さを助長してます。アンパンマンは頭部をえぐりながら「顔をお食べよ」と言っており「アンパンをお食べよ」とは言いません。
アンパンマンにとっては、あくまでも「顔を食べさせている」という認識なのでしょう。
「君は無邪気にアンパンを食べているけど、それはぼくの顔だということを忘れないように」 と、食べている本人に罪悪感を持たせようとしているとも取れる言い方ですね。
まぁ、アンパンマンがそんなひねくれたことを考えているとは思えませんがね。
ただ、顔をわけあたえすぎると力が出せなくなってしまうようなので、アンパンマン自身も少なからずネガティブな感情を抱いているはずです。
水という割とどこにでもあるものが最大の弱点
アンパンマンの弱点といえば、水ですね。顔に水がかかるとアンパンがふやけてしまい、無力化してしまいます。
水が弱点って致命的ですよね。水なんてどこにでもあります。雨だって水ですし、なんなら湿度の高い日なんて、空気中に含まれた水だけでパンがふやけちゃいそうです。
あまりにも身近すぎる水が弱点なんて、心の余裕がなくなっちゃいそうです。 常に、周りに水はないか、湿度は低く保たれているかなどを気にしてしまうと思います。
しかし、そんな状況にもかかわらず笑顔を崩さないアンパンマン。その笑顔の裏には暗い心が見え隠れしているような気がします。
アンパンマンに休みなし
アンパンマンに休みなどありません。みんなの平和を守るため、毎日必ずパトロールします。
そう、弱点となる水が空から降り注ぐ雨の日であっても、例外ではありません。 雨の降っている日は、頭から透明のヘルメットのようなものをかぶってパトロールしているようです。戦闘でもアンパンマンが顔を水から守るときなどに、たまにつけています。
アンパンマンは人ではありません。アンパンです。だからと言って毎日働かせるあたり、パン工場もといジャムおじさんの黒さが見えます。
でも仕方がないですね。アンパンマンワールドは、ばいきんまんのように平日も休日も関係なく悪さをし、住人たちを恐怖におとしいれようとする者がいますから。
アンパンマンも「たまには休みたいよぉ」なんて言ってられません。 平和とは、誰かの犠牲の上に成り立っているものです。そう、アンパンマンの休みという犠牲の上に。
ばいきんまんと戦い続ける運命
アンパンマンにとって一番辛いのは、やはりばいきんまんと戦い続ける運命にあるということでしょう。
アンパンマンワールドの時間の概念がわかりませんが、現実の時間だとアンパンマンは数十年にも渡ってばいきんまんと戦い続けています。
繰り返される戦いの運命。アンパンマンはその運命からは逃れられないようです。
しかも、アンパンマンが負ければ、ジャムおじさんたちに危険が及んでしまいます。一度だって負けることは許されません。
ばいきんまんはアンパンマンを倒すべく、次々と新兵器を開発してきます。一方でアンパンマンは己の体一つで戦うのみ・・・圧倒的にアンパンマンが不利と言える状況です。
異常なプレッシャーの中で、アンパンマンは戦い続けています。
アンパンマンよ・・・こんな状況にもかかわらず、なぜ君はいつでも笑顔でいられるんだい?
パン工場での権力はバタコさんより下
アンパンマンにとって自分の顔は生命線です。このアンパンを作っているのは、もちろんジャムおじさんとバタコさんですね。
アンパンマンにとって、この2人は絶対に逆らえない存在でしょう。なんせ、自分の命を握っている存在なわけですから。
ジャムおじさんはアンパンマンの生みの親であり、パン工場の経営者。アンパンマンが逆らえるはずがありません。
ただ、ジャムおじさんがアンパンをスムーズに作れるのは、バタコさんの手助けがあってのことでしょう。アンパンマンからすれば、自分の命(顔)を作る上で、バタコさんもジャムおじさんと同じくらい重要な存在のはずです。
さらに、バタコさんは戦闘中のアンパンマンに向かって出来上がった顔を投げつけ、ほぼ百発百中で古い顔と交換できる「肩」を持っています。
この芸当はジャムおじさんにもできません。バタコさんだからこそできる技です。
アンパンマンはばいきんまんによって顔を濡らされることばかり。つまりバタコさんの肩がなければ、そのままやられている可能性も高いということです。
アンパンマン自身の命、そして仲間たちの命を守るためにも、バタコさんの存在は欠かせません。
パン工場の権力的に、アンパンマンはバタコさんの下、チーズの上といたところでしょう。
力を使えばアンパンマンはパン工場の関係者全員を空の彼方へ吹き飛ばせる。しかし、別の力によってそれができない・・・文字通りの「力」を持つアンパンマンだからこそ抱えるもどかしさでしょうね。
アンパンマンの歌にも悲しさが見え隠れする
アンパンマンの悲しさや苦悩は、作中の描写だけではなく、歌からも見て取れます。
有名なオープニングテーマの「アンパンマンマーチ」
とエンディングテーマの「アンパンマン体操」。
この2つの歌詞の一部に現れているのです。
「愛と勇気だけが友達」と自暴自棄
まずは「アンパンマンマーチ」の歌詞から。これはとても有名な歌詞で
「愛と勇気だけが友達さ」
という部分から見えるアンパンマンの悲しさです。
この歌詞からは、アンパンマンは他者を信じられなくなっており、「オレの友達は愛と勇気だけだよ!他のやつは友達じゃねぇよ!」と、やや自暴自棄になっていそうな気がしてしまいます。
ジャムおじさんやバタコさんは、アンパンマンにとてもやさしく接してくれています。でも、アンパンマン自身が「愛と勇気だけしか友達がいない」と考えているのは、やはり自分の境遇に苦しんでいるからなのでは・・・?
いや、ジャムおじさんやバタコさん、他のみんなは「友達以上の存在」という意味での「愛と勇気だけが友達」というフレーズであって欲しいですね。
胸に傷を負っている
これも「アンパンマンマーチ」の歌詞から。
「たとえ胸の傷が痛んでも」
という部分。
どうやらアンパンマンは胸に傷を負っているようです。ばいきんまんとの戦いの中で受けた傷でしょう。
アンパンマンが服を脱いだら、常人でまず命を落としてしまいそうなほど大きい傷があるかも・・・度重なる戦闘をこなしてきたアンパンマン、致命傷に至る傷の一つや二つあっても不思議ではありません。
アンパンマンが 「これはオレが戦いの中で負った傷さ・・・この傷がうずく時は、やつ(ばいきんまん)が近くにいる証だ」 なんて言い出したら、完全にバトル漫画ですね。
実際、この胸の傷は「心の傷」という意味だと思います。やはりばいきんまんを殴り飛ばすことに、少なからず罪悪感を感じているのでしょう。
ばいきんまんは食事がしたいだけですからね。少しだけでも分けてあげれば解決するものの、悪事を働くばいきんまんは門前払にしなければならない。
アンパンマンは今日も、「2つの胸の傷」に苦しみながら拳をふるっていることでしょう。
「アンパンマンは君さ!」と子供たちに役割を押し付ける
最後は「アンパンマン体操」の歌詞。
「アンパンマンは君さ!」
という部分ですね。
子供の頃は誰しも、アンパンマンが突然自分のことをアンパンマンと言い始めて、驚きとともに混乱した経験があるでしょう。
これは、アンパンマンが自分に課せられた「アンパンマン」という役割を子供達に押し付けて逃げ出したいという気持ちの現れかもしれません。
毎日パトロールをし、ばいきんまんと命がけの戦いをし、その結果アンパンマンが得られるごほうびは無し・・・・
アンパンマンワールドの住人たちが笑顔で暮らせれば、アンパンマンとしては満足なのかもしれません。
しかし、アンパンマン本人があまりにも救われなさすぎて、見ている私たちも悲しい気分になってきてしまいます。 アンパンマンが逃げ出したくなってしまう気持ち、大人になって、自分が働く立場になった今だからこそよくわかります。
でも「アンパンマン」という役割はアンパンマンしかできないのです。元気いっぱいな子供でも無理です。悲しいかもしれませんが、これが運命なのです・・・
アンパンマンはやなせたかしさんが生み出した理想のヒーロー
普段のアニメの描写などを見ると、アンパンマンはかわいそうな役回りをさせられているように感じます。
しかし、このアンパンマンこそが作者・やなせたかしさんの理想のヒーローなのです。
どんな立場になっても「お腹がすいて困っている人に食事をあげる人」こそがやなせ先生の思い描いたヒーローでありアンパンマンなのだそう。
やなせ先生自身が空腹に苦しんだ過去や、従軍経験がアンパンマンと、アンパンマンの示している正義を生み出したのでした。
まとめ
アンパンマンは、毎日苦悩していると思います。それでもなお笑顔を崩さず、当たり前のように人に貢献するアンパンマンは本当にやさしい存在と言えますね。
立派な漢ですよ、アンパンマンは。アンパンマンの苦しみを本当の意味で理解し、分かち合える存在が現れることを祈ります。
いつかはアンパンマンにも、彼自身にとっての幸せが訪れて欲しいです。