私の名前はジロギン。

HUNTER×HUNTERなどの漫画考察や、怪談・オカルト・都市伝説の考察、短編小説、裁判傍聴のレポートなどを書いている趣味ブログです!

【ハンターハンター】ベーチタクルホテルでキルアに刺さった針が発動しなかったのは何故?

 

キルアは師匠であるビスケとの修行の中で「見切りの速さ」を指摘されていました。

念能力者同士の戦いは、力の強弱は明確でもその時の体調や能力の相性で勝敗は変わるもの。しかしキルアは、自分が勝てない相手だと知ると逃げることを考えてしまう癖があったのです。

 

その後、キルアの見切りが速すぎる原因は、兄・イルミがキルアの頭に仕込んでいた針だと判明しました。

 

作中でもイルミの針が発動し、キルアを強者との戦い(危機的な状況)から逃げさせる描写がいくつかありましたよね。

ただ、キルアにとって危機的な状況だったと思われるベーチタクルホテルで幻影旅団に捕まった時は、針が発動してないようなのです。

 

当時のキルアと旅団では、力は旅団の方が上。その状況でもイルミの針が発動しなかったのは何故なのでしょうか?

考察していきます。

 

 

 

 

イルミの針について

まず、キルアの頭に刺さっていたイルミの針についておさらいです。

イルミは、針を刺した人間にオーラを注入し、思い通りに操る「針人間」に変える念能力者です。この能力を応用し、キルアの思考もある程度コントロールしていたと見られます(詳細は不明です)。

 

イルミがキルアに針を刺した目的は、キルアを守るため。

  • 自分より強い者と戦う時は逃げろ
  • 不可解な攻撃を受けたら距離を取れ

などと動きを強制することで、キルアが死なないようにしていました。

 将来、ゾルディック家の後継となるであろうキルアの身を守るため、イルミが監視していたわけですね。

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イルミの針によってキルアが命を落とさずに済んだ場面もあります。しかし、キルアの本心をねじ曲げる指示を出す針は、邪魔でしかありません。

最終的にキルアは頭に針が刺さっていることに感付き、自分で抜くことができました。

 

イルミの針が発動したと思われる瞬間

次に、作中でイルミの針が発動したと思われる瞬間をおさらいしましょう!

その前に1つ確認しておきたいことがあります。

 

ハンター試験の最終試験でキルアがイルミ(ギタラクル)と対戦した時も、キルアは針が発動した時と同じ症状に見舞われていました。

ただ、これはイルミを目の前にしてキルアが感じた恐怖であり、針とは別物と判断します。

 

イルミがキルアに針を刺した目的が「イルミの目が届かない範囲でキルアが死なないようにするため」だとすると、お互いに顔を合わせている状態ならば針を使う必要もないはずです。

 

ひとまずこのシーン以外で、針が発動したと思われる瞬間をおさらいします。

 

ヒソカに切られそうになった時 

幻影旅団のノブナガ、マチを尾行していたのがバレ、アジトに拉致されたゴンとキルア。

その後、ゴンはノブナガとの腕相撲の際中にノブナガを一喝。場が騒然とする中、キルアはヒソカによって首にトランプを突きつけられ、動きを止めてしまいました。

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刃物のように切れるトランプを突きつけられたら動きを止めても仕方ないでしょう。

しかし、キルアは「自分が動かなかったことでゴンが危険な目にあっていたかもしれない」とひどく後悔してしまいました。

 

キルアの「ゴンを守りたい」という本心とは別の動きをとってしまったことから、少なからず針が影響していたと考えられます。

 

余談ですが、この時のキルアはヒソカに守られたとも考えられるんですよね。

 

ヒソカはキルアも、ゴンを同じく今後の成長が楽しみなターゲットの一人としていました。そんな事情を知らない旅団メンバーは、キルアが妙な動きを取れば問答無用で殺していたかもしれません。

ヒソカがキルアに本気の脅しをすることで、キルアの行動を制限しつつ、他の旅団メンバーに狙われずに済むという、Win-Winな行動をとったと言えます。

 

ノブナガに監禁された時

ノブナガとの腕相撲の後、ゴンとキルアは監禁されてしまいます。2人は密室でノブナガと向かい合ったまま長い時間を過ごすことに。

ノブナガとしては2人が何もしなければ殺すつもりはなく、クロロに2人の入団を薦めたいだけでした。

 

しかしキルアは、旅団が探していた鎖野郎(クラピカ)の存在に気づいていたので、そのことが発覚したらゴンもクラピカも殺されてしまうと考えていた様子。

いち早くノブナガを始末し、ゴンだけでも逃がそうとしていました。

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が、イルミの針が発動。ゴンの説得もあって、キルアはノブナガと戦わずに済みました。

まさにイルミがキルアに針を刺した目的通りの展開になったシーンと言えますね。

 

シュートと戦った時

キメラ=アント編の序盤。キルアはネテロの指示の通り、シュートと戦うことになりました。

このシーンでは明確に針が発動している描写がありましたね。シュートの不可解な攻撃に対して逃げるよう針がささやいていました。 

 

もし針がなかったとしても、この時のキルアがシュートに勝てたかは微妙なところ・・・

攻撃が当たればその部分を封印できるシュートの「暗い宿(ホテル・ラフレシア)」はかなり強いですからね。

 

ただあの時はシュートも内心ヒヤヒヤしつつ戦ってたので、キルアが本気で戦えば勝てた可能性も微レ存?

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ラモットと戦った時

最後に針が発動したのは、キメラ=アントの兵隊・ラモットと戦闘になった時。

ラモットは念が使えるようになっており、もともとの身体能力に加え、オーラによって力は何倍にも膨れ上がっていたでしょう。

 

それでもキルアは勝てたんじゃないかと思うのですが(この後、キルアは兵隊クラスのキメラ=アントをザクザク仕留めてますからね)針は発動・・・

過去かつてないほど、キルアは恐怖をあらわにしました。 

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ベーチタクルホテルでは発動しなかった理由

以上のシーンから、キルアに刺さったイルミの針は、キルアが危機的状態に陥った場合に発動すると予想できます。

 

では、幻影旅団に捕まりベーチタクルホテルで縛られていたキルアが、針の影響を受けずに動けたのは何故なのでしょうか?間違いなく危機的状況だったというのに。 

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P氏(パクノダ)の腕の骨と奥歯を折る。

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M氏(マチ)のおっぱ胸を突き刺す。

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この時は暗闇の中だったといえど、当時のキルアよりも確実に強かったであろうパクノダ、マチを冷静に攻撃できています。

針は全く発動していませんでした。

 

 仲間が助けに来るとがわかっていた

ベーチタクルホテルの状況と、過去に針が発動した時の状況とで大きく異なることは、仲間の助けに来るかどうかですね。

 

ヒソカとノブナガの件では、ゴンとキルアだけの状況。ゴンがいるといえども2人の実力では確実に殺される上、助けも呼べない場面でした。

シュートとラモットの件も同様。キルアが完全に一人で戦わなければなりませんでしたよね。

 

ベーチタクルホテルでは、近くにクラピカ、レオリオ、センリツがいてキルアたちを救助しようと動いていることをキルアは知っていました。

そのため、幻影旅団が相手でもキルアは恐怖することなく、針も発動しなかったのかもしれません。

 

こう考えると、針の発動条件は単にキルアが危機的状態に陥った時」というわけではなさそうですね。

 

クラピカは幻影旅団に対してチートという安心感

ゴンとキルアがベーチタクルホテルで捕まる前、クラピカは仲間たちに自分の能力について明かしています。

この段階で、クラピカが幻影旅団に対してチート並に強い能力を開発していることをキルアは理解していたことでしょう。

 

そしてクラピカは幻影旅団の一人であるウボォーギンを1対1で始末しています。これがクラピカの強さを証明することにもなり、キルアに安心感を与えていたはずです。

 

さらにキルアは、父親であるシルバが幻影旅団の暗殺に苦労していたことを知っています。念を学んで半年ほどのクラピカが、熟練の暗殺者である父ですら苦労した幻影旅団暗殺を成し遂げたことから、クラピカに対する安心感は大きかったと思います。

 

この安心感も針が発動しなかった理由につながりそうです。

 

関連記事:【ハンターハンター】シルバはクロロの使った毒を抜かないとダメだったのか?

 

針はキルアの恐怖心に連動して発動する?

先ほどイルミの針が発動する条件を「キルアが危機的状態に陥った場合に発動」と予想しましたが、もっと条件を限定した方が良さそうです。

 

キルアが不安や恐怖を感じる危機的状態に陥った場合に発動

 

とするべきでしょうか。

確かに「危機的状態」って漠然としていて、発動条件としても該当する場面が多そうです。これではキルアが何もできなくなってしまいます。

キルアの実力で勝てそうな相手と戦うとしても、少なからず命の危険があるのなら「危機的状態」ですもんね。

 

イルミの針が発動するかどうかは、キルアの不安や恐怖心に連動していると考えるのが自然かと思います。

不安と恐怖心を増幅させ、キルアにリスクの高い行動を取らせないようにする。それがイルミの針の能力だったのでしょう。

 

仮にキルアが誰に対しても恐怖を感じなかっとしたら、針を刺してもほとんど意味はなかった可能性がありますね。

針の能力だけが行動を制限していたわけではなく、キルアの心理状況も大きく影響していたと思われます。

 

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ただキルアに「恐怖を感じた時の見切りの速さ」を教え、針が発動しやすい状態にしたのはイルミ本人なんですけどね。

 

針はイルミ兄ちゃんの優しさ?

家族の言うことを聞かず、好き勝手に行動してしまうキルアをしつけるなら、イルミの針で完全に操作してしまうのが手っ取り早い方法でしょう。

キルアに針を刺していたことから、イルミとシルバにはそのような考え方が少しはあったと思います。

 

しかし、イルミの針を刺してオーラを注入した人間は、廃人となってしまいます。まだオーラを扱えなかったキルアにそんなことをしたら、もう元には戻せなかったでしょう。

さすがのイルミといえど、実の弟にそこまでするのは酷だと考えていたと思います。でもある程度キルアをコントロールしないと死んでしまうリスクがあることから、妥協点としてあの針を刺したのでしょうね。

 

ビスケはキルアへの教育を「歪な愛」と表現していましたが、まさにその通り。

イルミの針はキルアへの優しさであり、イルミなりの譲歩だったのでしょう。 

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・・・まぁアルカの一件があってから、イルミはキルアのことを完全な木偶人形にしてもいいと考えてしまっているようですけどね。

イルミ兄ちゃんの優しさは、キルアが針を捨てたと同時になくなってしまったのかもしれません・・・