ジャンプ作品の主人公は、相手との年齢差に関わらず呼び捨てにするキャラが多いイメージがあります。
そんな中、ハンターハンターの主人公・ゴンは年上の相手には「さん」をつけて呼んでいますよね。
他の作品の主人公と比較すると、礼儀正しい印象を受けます。
そんなゴンですが、明らかに年上であるカイトのことは呼び捨てです。
でもカイト自身は全く気にしていない様子。礼儀にうるさい人なら、ブチギレてもおかしくなり状況です。
今回はカイトとゴンの関係性について考察してみようと思います。
- カイトと再開した時ゴンは呼び捨てだった
- グリードアイランド以前にカイトとゴンが会ったのは1回だけ
- ハンターハンターの世界に「さん」づけの価値観はあるのか?
- ゴンが「さん」づけする基準のナゾ
- 心の広い男・カイト
カイトと再開した時ゴンは呼び捨てだった
小さい頃、カイトから父親・ジンの話を聞き、2人をハンターとしての目標にしていたゴン。
プロハンターになってからカイトと再開したのは、グリードアイランドをクリアした直後でした。
カイトを見たゴンの発言がこちら。
出典:HUNTER×HUNTER18巻162P/冨樫義博/集英社
呼び捨て!!
後ほど説明しますが、ゴンの性格なら「カイトさん」みたいに呼びそうなもの。
けれどこの時は、街中で小学校時代の同級生に出会ったかのような反応を見せました。
カイトの方は、年下のゴンを呼び捨てしてもそんなに違和感はありません。
しかし、年下のゴンがカイトを呼び捨てにしていることを踏まえると、他の大人たちとは違う関係性が出来上がっているのではないかと予想できます。
私たち読者が知らない間に、呼び捨てし合える深い関係になっていたのかもしれません。
グリードアイランド以前にカイトとゴンが会ったのは1回だけ
ただ、作中の描写だけで見ると、グリードアイランドクリアより前にカイトとゴンが出会ったのはくじら島での1回だけなんですよね。
カイトはゴンの父親・ジンの弟子にあたるので、当時の2人は赤の他人とは言いにくい状態でした。
それでも、初めて会った年上のカイトに対して、ゴンが呼び捨てするのはかなり珍しい状況です。
これは2人の関係性が成り立っているのは「カイトが年下のゴンに呼び捨てされても気にしていない」ことが要因なのではないかと予想します。
許しているけど内心ブチギレ…という心境でもなカイト。
クールな性格の反面、実は超フレンドリーな男なのかもしれません。
ハンターハンターの世界に「さん」づけの価値観はあるのか?
そもそもの話、ハンターハンターの世界に「年上にはさんづけする」ような価値観はあるのでしょうか。
もしなければ、ゴンがカイトを呼び捨てにするのも普通なことだと考えられます。
現実の世界でも、海外では日本ほど敬称や敬語を使わないイメージです。
では、ハンターハンターの世界だとどうなのでしょうか…
じつは作中序盤、レオリオがクラピカに呼び捨てしたことを訂正させようとするシーンがあるのです。(レオリオ19歳、クラピカ17歳)
出典:HUNTER×HUNTER1巻49P/冨樫義博/集英社
レオリオの出身国は16歳から飲酒が許可されているなど、他国と文化に違いがある可能性も否めません。
ただ、後述するゴンが大人に「さん」づけしていることを考えると、ハンターハンターの世界でも年上の人には「さん」づけするのが一般的な価値観と考えるべきでしょう。
クラピカは、外界との交流を制限してきた少数民族クルタ族出身のため、少し価値観が違っていたとも考えられます。
関連記事:【ハンターハンター】3大頼りになる存在「ジョネス戦のキルア」「ドッジボールのヒソカ」あと1人は?
ゴンが「さん」づけする基準のナゾ
私がゴンのカイトに対する呼び捨てに違和感を感じるのは、作中に登場する他の大人への対応と異なっているからです。
多くの場合、ゴンは年上の人を「さん」づけで呼びます。
特に初対面の相手に対しては最低限の礼儀をもって接しているようです。
ただ、カイトの件もそうですし、他にも例外があるようで…
ゴンが「さん」づけする基準自体にナゾがあるんですよね。
まず、ゴンがどんな人に対して「さん」づけをし、どんな人に対して呼び捨てするのか整理してみたいと思います。
悪者以外の年上には「さん」づけする?
先述の通り、ゴンは基本的に年上の人に対しては「さん」をつけて呼びます。
- サトツさん
- ゼブロさん
- ウイングさん
- ぜパイルさん
- ツェズゲラさん
- ゴレイヌさん
- モラウさん
みたいな感じで。
ただ、ゴンと敵対関係にあったり、明らかな悪人に対しては年上でも呼び捨てにしているようです。
例えば、
- ヒソカ
- イルミ
- ゲンスルー
などは呼び捨てしていましたね。
ゴンにとって敵対関係にある人間を呼び捨てするのは、気持ちとしても何となく分かります。
ここら辺の基準は割と分かりやすいです。
年が近い仲間や元ライバルは年上でも呼び捨て?
ただ、ゴンと親しい仲間や、元ライバルから仲間になったキャラについては、年齢にかかわらず呼び捨て&タメ口で接していますね。
- レオリオ(親友枠)
- クラピカ(親友枠)
- ビスケ(本人から呼び捨てを許可された)
- ハンゾー(ゴン曰く「6つくらいしか変わらない」からセーフ?)
- ナックル(元はライバル)
- パーム(しばらく同居してたし恋人っぽかったからセーフ?)
仲間になったら呼び捨てにした方が、お互い親近感がわいて距離が縮まりそうです。
その意識で、ゴンは呼び捨てにしているのかもしれません。
ナックルは仲間になったものの、もともと敵対関係にありました。
当時のゴンはナックルを呼び捨てにしてましたね。
ゴンとしては、最初呼び捨てだったのに途中から呼び方を変えるのは違和感があるのかも。それに一度定着した呼び方を変えるのって難しいですよね。
だからそのままに呼び捨てしているのではないかと予想します。
ミトさんはいつまでも「さん」づけ
このゴンの基準に当てはまらない大人も少なからずいます。
カイトはあまり顔を合わせていないのに呼び捨てにされていたので、今回のテーマにしました。
反対に、ゴンとかなり親しくても「さん」づけで呼ばれているキャラもいます。
ゴンの母親代わりをしている「ミトさん」です。
もう「ミトさん」がキャラクター名なんじゃないかってくらい「さん」づけが定着してますよね。
ジンが連れ帰ってきたゴンの面倒を見ていたミトさん。おそらく十数年の間親子に近い関係だったはず。
ただ、ゴンにとってミトさんは親戚の一人。だから、呼び捨てにはせず「さん」づけしているのだと思われます。
ミトさん自身がゴンの呼び方について何も言っていないので不満はないのかもしれません。
でも、ちょっと心の距離を感じることがあるんじゃないかなと考えてしまいます。
ゴンとしては親戚だから「さん」づけしているというよりは「お母さん」の感覚で「ミトさん」と呼んでいるのかもしれませんね。
「カイトでいいぜ!」みたいな会話をしていた?
さて本題に戻ります。
これまでのゴンの「さん」づけ基準で考えると、カイトも「さん」づけで呼ばれてもおかしくなさそうです。
やはりカイト側からゴンに何らかの働きかけをして、呼び捨てにさせているのではないかと考えるのが自然ですかね。
先ほどまとめたゴンの基準の中で「ビスケは呼び捨てを許可していた」と書きました。
カイトも同様に、くじら島でゴンと会った時「カイトでいいぜ!」みたいなことを伝えていたのかもしれません。
カイトの仲間たちも「カイト」と呼び捨てにしていたので、仲間と認めた人には呼び捨てを許可してそうです。
師匠の息子だから気を遣っていた?
あるいは、ゴンが自分の尊敬する師匠であるジンの息子だから気を遣って可能性も…?
カイトと出会った時のゴンはまだ8〜9歳くらいで、礼儀やマナーを知らなくても不思議ではない年頃でした。
年上の人には「さん」づけするという認識がなく、初対面のカイトに対しても呼び捨てしていたかもしれません。
ゴンの性格上、最初呼び捨てにした人はそのまま呼び捨てし続ける傾向があります(ナックルのように)。
そのためカイトの呼び捨ても定着してしまったことも考えられます。
カイトとしては訂正したかったものの、もしゴンとジンを含め3人で顔を合わせた時、ゴンが自分を「カイトさん」なんて呼んだら、ジンから「オレの息子にさんづけさせてんじゃねー!」と怒られそう…
とか何とかいろいろ気遣って、ゴンの呼び捨てを許可したのかも…?
…なんてことも考えていたのですが、ジンはそんな細かいことで怒りはしませんよね。
息子と元盗賊で死刑囚のレイザーを戦わせるような父親ですし。
もしこの考察が正しかったとしたら、やはりカイトさんの杞憂ってところでしょうか。心配性みたいですから。
出典:HUNTER×HUNTER19巻140P/冨樫義博/集英社
関連記事:【ハンターハンター】憧れのジンがレオリオに殴られた時のサトツさんの心情を考察してみた!
心の広い男・カイト
「カイトがジンのことを気にしてゴンに呼び捨てを許可した」というのはちょっとひねくれた考察かな、と自分でも思います。
やはりカイトがゴンを仲間と認めて呼び捨てを許可していた説が有力ではないでしょうか!
カイトは心の広い男ですね。
プロハンターとしての実力の高さが、その余裕を生み出しているのかもしれません。
ちなみにカイトは、ゴンだけでなくキルアの呼び捨ても全く気にしていません。
さすがカイト、完全に初対面のキルアにも呼び捨てを許可したのでしょう。
でも、キルアは年上だろうが何だろうが「さん」づけすることが少ないので、どの道カイトを呼び捨てしていたかも…
仲間とハントしていたカイトは、年齢差より風通しのいい関係性を重視し、より仕事がしやすい環境づくりを心がけているのかもしれません。
だから誰から呼び捨てにされても気にしない。むしろそのような関係の方が仕事が捗るのであれば大歓迎。
カイトと周囲の人たちとの関わりから、カイトのこんな姿勢が伺えます。
一流のプロハンターになるべくしてなったという感じですかね。