クラピカの宿敵である幻影旅団。
全員がA級の賞金首で、熟練のプロハンターですら迂闊に手出しできないほど強力な盗賊団です。
その悪名は世界各地で知られており、闇社会で生きる者たちにとっても、幻影旅団は恐ろしい存在だと認識されています。
実際に団員のウボォーギンがマフィアを虐殺する姿を見て、クラピカをはじめとするノストラード組の面々は戦慄していました。
ある程度の念の使い手なら、その実力差を感じずにはいられないはずです。
しかし、マフィアンコミュニティが誇る実行部隊「陰獣」は、幻影旅団に対して全くビビっていませんでした。
圧倒的な力の差があったにもかかわらず。
そこで今回は、なぜ陰獣は幻影旅団を前にしても臆さなかったのか?を考察します。
陰獣とは
まずは陰獣の簡単な説明から。
「オレは陰獣についてよく知ってるぜ。なぜなら元メンバーだったからな。」
という蚯蚓さんは、成仏しながら読み飛ばしていただいて構いません。
マフィアンコミュニティが有する実行部隊、それが「陰獣」。
コミュニティのトップである十老頭が、各組の武闘派を選出し組織させています。
メンバーは10人。
しかし半数が名前すら明かされないまま退場となりました。
明らかになったのは、
- 地面の中を自由に移動する「蚯蚓」
- 毒を仕込んだ鋭い歯を持つ「病犬」
- 体毛の硬さを変えられる「豪猪」
- 体内に無数のヒルを飼っている「蛭」
- 「不思議で便利な大風呂敷(ファンファンクロス)」を使う「梟」
の5人。
彼らの名前を見る限り、名称不明な残りの陰獣たちも何というか…薄暗くてじめじめした所に住んでる生き物のコードネームが付けられてそうに感じます。
作中で陰獣は、マフィアンコミュニティ主催のオークションを襲撃した幻影旅団と対峙。
蚯蚓・病犬・豪猪・蛭の4人はウボォーギンを行動不能になるまで追い詰めましたが、返り討ちに遭いました。
残りの陰獣は、フェイタン、シャルナーク、マチ、シズクにやられたと思われます(描写なし)。
梟だけは生存していましたが、フェイタンに拷問され、念能力をクロロに盗まれるという散々な状態に。生き残っても地獄でした。
幻影旅団によって滅ぼされた陰獣ですが、後任が選出されたのかなど、その後は分かっていません。
関連記事:【ハンターハンター】陰獣のメンバーまとめ!強さと魅力を紹介
幻影旅団はプロハンターでも敵わない使い手
冒頭で紹介した通り、幻影旅団はプロハンターでも手が出せないほど危険な集団です。
作中では一部メンバーの戦闘シーンが描かれ、それだけでもレベルの高さが伺えました。
団長のクロロは、ゼノとシルバ2人を同時に相手にできるほどの戦闘スキルを持っています。
天空闘技場のフロアマスターに難なくなり、ヒソカが長年付け狙っていることも強さの証明と言えるでしょう。
またウボォーギンは、全キャラを見てもかなりレベルの高い強化系念能力者です。
その力を見たノストラード組の面々は恐怖し、戦闘意欲を完全に失っていました。
そしてフェイタンは、本調子ではない状態でキメラ=アントの師団長・ザザンを単独で仕留めています。
その姿を見たカルト。ゾルディック家で修行を積んだ暗殺者である彼もフェイタンとの実力差を痛感していました。
明らかに、そんじょそこらのプロハンターがどうにかできるレベルではありません。
少なくとも星持ちのハンターでないと相手にならなそうです。
もちろん陰獣はプロハンターと比べて実力はかなり下。
おそらく独学で念を習得したと思われる彼らは、体系的に念を身につけ研ぎ澄ましてきたハンターとは天と地ほどの差があったはずです。
なぜ陰獣は幻影旅団を前にしても臆さなかったのか?
そんな陰獣ですが、幻影旅団の力を見ても全く臆している様子はありませんでした。
例えば、
- ウボォーギンの「超破壊拳(ビッグバンインパクト)」を見ても攻撃をやめない病犬・豪猪・蛭
- 幻影旅団を「脆そうだぜ」と評価した残りの陰獣
こんなにも強気でいられた理由は何だったのでしょうか?
考察していきます。
「陰獣に属している」と言う自信
陰獣は世界中のマフィア(カキン帝国などを除く)が所属するコミュニティのトップが直々に選抜した集団です。
つまり陰獣自体、組織の中ではかなり上位の存在だったと思われます。
闇社会を牛耳るマフィアのトップ層でいられたら、どう感じるでしょう。
多くの人が自信に満ち溢れるのはないでしょうか。
世界中のゴロツキどもの頂点に立っているという支配感。自分が優れているという優越感。そんなものを感じずにはいられないはず。
少なくとも私は感じると思います。
またコミュニティの中でも陰獣の実力は知れ渡っていたようで「陰獣が動く=相当大きな事件が起きている」という認識が広まっていた様子。
それだけ陰獣の力がコミュニティ全体から信頼されていたと考えられるでしょう。
ここまで持ち上げられたら、どんな人でも自信が生まれてくるのではないでしょうか。
陰獣という集団に属していることが彼らの自信につながった。
しかしその自信が目を曇らせ、幻影旅団の実力を見誤る結果になってしまったと思われます。
強くない念能力者との戦いで得た成功体験
陰獣は全員が念能力者だったと思われます。
つまり念を使えない一般人と比較すると、超人的な強さを持っていたということです。
戦闘タイプではなさそうな蛭も、一般人と戦ったら圧勝できるほど強いのでしょう。
ただのヒル飼育おじさんではなかったはず。
関連記事:【ハンターハンター】シャルナークがマダライトヒルの生態に詳しかったのはなぜか?
一方マフィアンコミュニティ全体を見ると、あまり念が浸透しておらず、能力者は少なかった様子。
陰獣がやられた後、十老頭はゾルディック家など外部の殺し屋に旅団暗殺を依頼していました。
またノストラード組も、クラピカなどプロ・アマ問わずハンターをネオンの護衛として雇っていましたし、元から護衛だったダルツォルネやスクワラは能力者としての力は高かったとは言えません。
このことから、例えばマフィア間の抗争が起きた場合、関係する組織全てを見ても戦っているほとんどが一般人。
念能力者がいたとしても、陰獣が出張れば簡単に対処できるレベルの使い手だったのではないでしょうか。
そんな環境でも陰獣には「念能力者と戦い始末した」という成功体験が積み重なっていきます。
本当はもっと強い念能力者が世の中にはいるにもかかわらず、半端な成功体験によって陰獣が最強であるかと錯覚してしまった。
その結果、幻影旅団の力量も測り損なってしまったのではないでしょうか。
みんなで戦っている安心感
幻影旅団に対して、最初に戦闘を仕掛けた陰獣は蚯蚓・病犬・豪猪・蛭の4人。
その後、蚯蚓の連絡を受けて残りの陰獣6人が参戦しました。
陰獣は旅団に対して集団戦を仕掛けようとしていたと見られます。
複数で戦うというのは有効な戦略です。
しかし、これが一種の集団心理を生み出してしまい、旅団の実力を見誤る結果になってしまったとも考えられそうです。
陰獣は全員が念能力者。それが4〜6人も集まれば、かなりの強者集団になります。
少々武装した連中相手なら負けることはありません。
つまり「安心感」を生み出していたと思うのです。
しかもウボォーギンに関しては4対1で、数だけ見れば陰獣が圧倒的に有利。
これにより安心感がさらに高まり「強気」につながったのではないないでしょうか。
蚯蚓・病犬・豪猪・蛭は見事なチームワークでウボォーギンを追い詰めましたが、過剰すぎる自信・強気が「油断」へと変わってしまい敗北。
「集団で挑むとしても、一人一人が気を引き締めなければ全滅する」という悪いパターンにハマってしまったとのだと思います。
弱音を吐けない雰囲気があった
集団でいる時、誰か一人が強気だとその雰囲気ができて弱気な発言ができなくなってしまうことって、ありませんか?
例えば、友人たちとお化け屋敷に入るときや、ジェットコースターに乗るときなど。
弱音を吐くと他の友人から「お前ビビってんのか?」的なことを言われる。
でも弱いなんて思われたくないから、本当は怖いけど「はぁ?何言ってんだ?ビビってねぇし!」なんて返事をしてしまう。
陰獣にもこんな雰囲気があって、心の中では幻影旅団にビクビクだったけど、弱音は吐けなかったのかも…?
特に男子の集団だと、こういう現象が起きがちです。
陰獣も、わかっている構成員の大半が男でしたから、弱さなんて見せられなかった…なんてことを想像してしまいます。
妙な自信が生み出した強気
結論として、幻影旅団を前にしても陰獣が臆さなかったのは「妙な自信過剰」「微妙な成功体験」「集団心理」が原因だったと思われます。
半端に持ち上げられ、半端な実力があった。
そんな連中が群れてしまったがために、相手の正しい実力を測れなかった。
それが強気な態度となって現れたのではないか…というのが私の考察です。
自信を持つことは大切ですが「過剰」になってしまうと、相手をナメてかかってしまうのでしょうね。
病犬が牙に致死性の毒を仕込まなかったのも、その現れかもしれません。
幻影旅団を拷問してオークションの客の行方などを聞き出そうとしていたとも考えられますが。
陰獣は決して弱くなかった。弱くなかったのですが、一番強いかと言われるとそんなことはない。上には上がいる。
そういった客観視が陰獣には必要だったのではないでしょうか。
見習いたい。陰獣の精神力。
しかし私個人としては、陰獣たちの精神力を見習いたいと考えています。
幻影旅団という高すぎる壁。それでも自信を持って挑む…
何といいますか、陰獣はストレスに強そうな人たちですよね。
普通なら萎縮し、逃げ出したくなってしまうことでも、余裕そうな表情で挑む…素晴らしいことです。
このストレス社会を乗り切るには、ちょっとくらい自信過剰な方がいいのかもしれません。
私も仕事をしていると、責任や重圧に負けてしまいそうになることがよくあります。
そんなとき「何だこの仕事?脆そうだぜ!」と言えるくらいの自信があれば、簡単に乗り切れるのかも。
そう、陰獣のように…
あっ、陰獣全滅してましたね。じゃあダメです。やっぱりやめます。