氷帝の監督・榊太郎先生は「敗者切り捨て」という方針でテニス部を運営しています。
試合で負けた選手は二度と起用しません。200名以上の部員がおり「お前の代わりはいくらでもいる」と言える環境だからこそ体現できる方針でしょう。
しかし榊監督の「敗者切り捨て」は割と甘々で、適用されるかどうかは榊監督の匙加減で変わるようなのです。
そこでこの記事では、氷帝の敗者切り捨て制度の甘々っぷりをまとめました。
氷帝の無慈悲な敗者切り捨て制度
部内戦・公式戦問わず、試合で負けた選手は二度と起用しないのが榊監督の、ひいては氷帝全体の方針。1軍メンバーである正レギュラーも例外ではありません。
作中では都大会の不動峰戦で橘さんに惨敗した宍戸さんが正レギュラーから外されました。
その後、宍戸さんは復帰を目指して猛特訓。部内戦で正レギュラーだった滝萩之介くんを6-1で倒します。この試合の結果、滝くんは正レギュラー落ち。しかし榊監督が滝くんの代わりに正レギュラーに指名したのは宍戸くんではなく、準レギュラーの日吉くんでした。
宍戸さん、滝くんの扱いは、氷帝テニス部がいかに無慈悲なシステムで運営されているかを表していたと言えます。
本当に敗者切り捨て…?
一見すると無慈悲な敗者切り捨て制度ですが、氷帝内で徹底されているかというと実に微妙……
というのも、作中で負けた正レギュラー選手が何のお咎めもなく次の公式戦で起用されているのです。榊監督の采配はかなり甘いように思います。
ここからは氷帝の敗者切り捨てに穴があると言える点をまとめました。
関東大会の青学戦で負けた正レギュラーが全国大会にも出場
関東大会1回戦で青学と対戦した氷帝。結果は2勝3敗1ノーゲームで氷帝の敗北。
この試合で負けたのは、忍足くん、向日くん、ジローくん、日吉くんの4人。氷帝の敗者切り捨て制度に則れば、この4人は正レギュラー落ちとなり、試合では二度と起用されないはずです(忍足くん、向日くん、ジローくんはこの試合で引退だったため、割を食うのは日吉くんだけ)。
しかし、開催地枠で全国大会に出場が決まった氷帝は、青学戦で負けたメンバーも正レギュラーとして公式戦で起用し続けました。敗者切り捨て、敗者は二度と使わない氷帝の無慈悲な制度が適用されなかったのです。榊監督の甘々っぷりが垣間見えます。
ただこの件については氷帝側にも事情があり、榊監督としては「敗者切り捨てなんて言ってられない」状況だったと考えられます。
氷帝が開催地枠に選ばれたのは全国大会直前であり、練習期間はごくわずか。3年生世代はすでに引退済みな一方、他校はバリバリの主戦力たちが出場してくる。
そんな中で全国大会に挑まなければならなくなった氷帝は、即戦力が必要だったはずです。だから青学戦で負けた正レギュラーたちも起用したのでしょう。
開催地枠という例外的な措置で全国大会出場が決まったので、榊監督も例外的に「敗者でも起用制度」を決行した……と考えられます。
新人戦で負けたのに超高待遇を受ける日吉くん
全国大会でも続投した氷帝の正レギュラーについてはまだ擁護できるのですが、難しい選手が1人……それが日吉若、2年、アグレッシブベースライナーです。
日吉くんは1年生の頃に新人戦で赤也くんに4-6で敗北しています。敗者切り捨て制度が発動すれば、日吉くんはこれ以降の試合には出られないはず。
しかし関東大会では控え選手に登録されており、ちゃっかり全国大会にも出場。そして氷帝の次期部長になることが確定しているという超高待遇を受けています。
正直なことを言うと、「日吉くんだけ」が氷帝の敗者切り捨て制度に当てはまっていないんですよね……何なのでしょうこの優遇っぷりは。日吉くんが榊監督の弱みを握っているか、お金を握らせたかとしか思えません。
敗者切り捨てがしっかり適用された宍戸さん・滝くん
日吉くんが優遇される一方、先述の宍戸さん・滝くんにはしっかり敗者切り捨て制度が適用され、超冷遇されていました。
宍戸さんは榊監督に土下座&断髪で覚悟をアピールし、鳳くんと跡部様の後押しがあってようやく正レギュラーに復帰。
宍戸さんが自発的にやったこととはいえ中学生に土下座と断髪させて、それでもレギュラーに使おうとしなかった榊監督、鬼すぎますよ……というか、外部に知れ渡ったら大問題になっちゃいますよ。
そんな宍戸さんに部内戦で敗れた滝くんは正レギュラーから計測係に降格。準レギュラーに混ざってサーブのスピードを測ったり、焼肉大食い勝負の制限時間を測ったりしていました。もう悲惨すぎます(滝くんはイキイキとやっていましたが)。
この扱いの差は一体何なのでしょうか……宍戸さんと滝くんの扱いがひどいというよりは、日吉くんが謎に高待遇を受けている感じですね。
「敗者切り捨て」は極端すぎる
これほど曖昧な制度では、「あいつは負けたのになぜ正レギュラーのままなんだ」みたいな声が間違いなく出てくるでしょう。
その上、ポテンシャルが高く将来的に強くなる可能性がある選手でも負けたら二度と起用しないとなると、氷帝というチームとして成長する機会さえも失ってしまうかもしれません。
結果、負のスパイラルが生まれ、部の崩壊を招くかも?
榊監督、方針をもうちょっと緩めてみるのはいかがですか?
「試合に負けたら即レギュラー落ち。でも部内戦で結果を出せば復帰できる」
このような方針であれば、正レギュラーは危機感を持ちつつ練習に励むでしょうし、負けた選手もさらに強くなって再起でき、氷帝のチームとしての強さを維持できるはず。
氷帝には200名以上の部員がいるからこそ敗者切り捨てを採用しているのだと思います。しかし、数が多ければ質の良い選手がそろうかというとそうでもなく、氷帝の準レギュラーは六角のダビデくん1人に壊滅させられるレベル。
正レギュラーとして関東・全国で戦える選手をバッサバッサと切り捨てるのは危うい判断だと思います。