ハンターハンター407話『交渉』は、エイ=イ一家組長・モレナと第4王子私設兵・ボークセンによる「交渉ゲーム」のルール説明が大半となりました。
エイ=イとモレナを深掘りする準備段階のような一話という印象です。
ただ、突如モレナが切り出した謎ゲームのルールがとボークセンの解釈が複雑で、私自身ちょっと混乱しております……
今回の記事は感想というより、自分の思考を整理するような内容になりますが、お付き合いいただけると幸いです(認識が誤っているところなどがあればコメントで教えてくださいませ)
※ジャンプ本紙の画像は貼っておりませんがネタバレを含みますので、ぜひ本紙を先にお読みください。
- エイ=イ一家に拉致された第4王子私設兵・ボークセン
- モレナが提案した「交渉ゲーム」のルール
- 「交渉ゲーム」子供側のカードの効果
- ボークセンが見抜いた3つの罠
- とある民族の回答形式
- 「交渉ゲーム」親側のカードの効果
- 妙に鋭いボークセン
- ボークセンは「交渉ゲーム」に勝てるのか?
エイ=イ一家に拉致された第4王子私設兵・ボークセン
第3層では、第9王子ハルケンブルグの葬儀が行われ、遺体を入れた棺が第2層へと運ばれていきました。
その最中、警備に当たっていた第4王子ツェリードニヒの私設兵・ボークセンが行方不明に。ボークセンは元々第1層に配備されていましたが、軍学校時代の同級生たちに呼び出され、下層に配置転換された女性兵士です。
ボークセンたちは、ケツモチである第4王子ですらコントロールできなくなったエイ=イ一家に攫われる可能性を危惧し、エイ=イの組員を探すふりをしながら全力で逃げる作戦を決行していました。しかし失敗してしまった様子。
ボークセンが気付くと、すでにエイ=イのアジトの中。そして目の前には組長のモレナがいるというヤバめの状況に……
ボークセンを拉致したのは、エイ=イの組員ドッグマンとソドムでしょう。405話でこの2人はエイ=イの「目的」を達成する念能力を開花させるであろう人物の捜索&拉致に動いていました。
ドッグマンは対象者の得意系統と、念を習得しているかどうかを嗅ぎ分ける能力者。ソドムは念未習得者を拉致できる能力者。ドッグマンがお目当ての人物としてボークセンを見つけ出し、ソドムが拉致したのでしょう。
ただ、これは確定ではありません。モレナは、エイ=イが裏切ったことを知った第4王子がいつ行動を起こすのか把握するべく、王子側の人間(=私設兵)を「恋のエチュード(サイキンオセン)」に感染させようとしていました。
ボークセンは「第4王子の私設兵だから拉致された」だけで、念能力の開花云々は関係ない可能性もあります。
ドッグマンとソドムがアジトにいないことを考えると、彼らは今もアジトの外で捜索中=お目当ての念を開花させる人材をまだ発見できていないとも取れます。エイ=イのお目当ての能力を開花させ得る人材とボークセンは別人かもしれませんね。
あるいは「ボークセンがお目当ての念を開花させれば、第4王子私設兵と能力者両方を一度に取り込めてラッキー」くらいに考えているのかも。
ボークセンがいなくなったことで困惑する同期たち。しかし彼らはあらかじめ「誰かが捕まった場合、一切の交渉連絡、救援行動はとらない」と決めていたそう。つまり知らんぷりを決め込もうと考えていたわけですね。
ただこの判断が本当に正しいのかどうか、彼ら自身迷っている様子……考えを改めて、ボークセンを助けに行くのでしょうか……
ツェリードニヒの学友たち。彼らの行動がボークセン、そしてエイ=イの今後に関わってきそうです。もしボークセンを助けるためにエイ=イのアジトを見つけて乗り込み、救出に成功すれば、ボークセンは後述の「交渉ゲーム」から逃れるチャンス。
そしてボークセンが逃げてしまったら、エイ=イは第4王子私設兵の抱き込み(またはお目当ての能力者の確保)」に失敗したことになり、仕切り直しになってしまうと思われます……いや私設兵がアジトを発見したらツェリードに報告が飛んで、アジトに警察や軍隊が送り込まれることになりますかね。
モレナが提案した「交渉ゲーム」のルール
エイ=イのアジトで目を覚ましたボークセン。眼前にはモレナ、そして組員が周りを取り囲み、武器は全て没収された状況でした。無理やり脱走することはまず不可能。
そんなボークセンに対し、モレナはエイ=イに引き入れる(手早くかつボークセンが納得する形で)手段として「交渉ゲーム」を持ちかけます。
「交渉ゲーム」のルールは主に以下の通り。
- プレイヤー2人が「親」と「子供」に分かれる(親はモレナ、子供はボークセン)
- 親が子供にリクエストを出し、子供がリクエストに対する「結論」に至るまでカードゲームを続ける
- 親は7枚のカードを場に表向きで置く
- 子供は5枚のカードを場に裏向きで置く
- 子供が親のカードを指定し、そのカードの効果に応じて親が答える。指定したカードは墓場に捨てる
- 親が子供のカードを指定して表向きにし、そのカードを墓場に捨てる
- 子供のカードが残り1枚になるまで5と6を交互に行う。子供の手元に最後まで残ったカードが、親のリクエストに対する子供の「結論」になる
さらに前提としてモレナは、
「このゲームからリタイアすると、ボークセンは『イエス』か『ノー』を言う以外、一切の選択が奪われる」
というルールを追加。
もしボークセンが「交渉ゲーム」を途中でやめた場合、その時点でモレナのリクエストに対して「イエス」か「ノー」かでしか回答できなくなるということですね。
後ほど各カードの効果について触れますが、ゲームをしていればモレナの真意や念能力の情報を引き出せたり、無条件でアジトから解放されたりする可能性があります。ゲームをリタイアすることは、すなわちその可能性を捨てるということです。
ボークセンの立場で考えたら、とりあえずゲームに乗るしかありませんよね。ゲームで勝つ以外に帰る手段はなさそうですし。
それに、ヤクザの事務所で組員に囲まれながら、組長に「ゲームをしろ」と言われてるわけですからね。モレナは認めませんでしたが、これはもう立派な脅しですよ、脅し。
「交渉ゲーム」子供側のカードの効果
ここからは「交渉ゲーム」で使われる各カードの効果を箇条書きでまとめていきます。
子供(ボークセン)側のカードから。
- イエス:親のリクエストに「イエス」という結論を出す
- ノー:親のリクエストに「ノー」という結論を出す
- R(リターン):子供の墓場から任意のカードを1枚手元に戻す
- Joker(ジョーカー):「イエス」「ノー」どちらの回答にも使える
- X(エックス):ゲームを無効にし、結論を出さずに離脱できる
この5枚のうち、最後の1枚になったカードの効果が適用されます。
「イエス」と「ノー」はカードに表記された通りの回答を出す効果しかありません。しかし「R」が最後まで残った場合、墓場に行った「イエス」か「ノー」どちらかを手元に戻せ、最終的な結論にできます。つまり好きな回答が選べるということですね。
「Joker」も最後まで残れば「イエス」と「ノー」どちらの回答にも使えます。
しかし、どのカードが残るかは親の選択によって決まるため、子供側は運ゲーを強いられることに……
ボークセンが見抜いた3つの罠
子供側のカードの効果説明を受けたボークセン。その内容を踏まえ、このゲームは子供側が圧倒的に不利だと判断します。
その理由は、3つの罠があるため。
1つ目の罠は「一見すると子供側が有利に思える」こと。
5枚のカードのうち、親のリクエストに対して「イエス」と答えないといけないものは1枚。ということは、モレナが「エイ=イの仲間になれ」というリクエストをしてきたとしても、ボークセンが否応なしに「イエス」と答えなければならない状況は5分の1(20%)の確率でしか訪れません。
しかし今ボークセンがいるのは敵の手の内。もし「ノー」と答えたら何をされるかわかりません。「イエス」と答えるまで拷問される可能性もあるでしょう。ボークセンは自身ではなく身の回りで「不幸」が発生し「イエスと答えておいた方がマシだった」という状況に追い込まれるリスクを予想しているようです。エイ=イの組員に嫌がらせをされるだろうと。
ボークセンの予想は当たっているでしょう。となると、「ノー」のカードも「イエス」と同じ効果になってしまいます。そして「Joker」も「イエス」の効果しか果たさなくなる。
すると5枚のうち3枚が「イエス」のカードとなり、子供側は5分の3(60%)の確率で「イエス」と答えるしかなくなるわけです。
子供側に有利なようで、親側のリクエストが通りやすいこのシステムこそ1つ目の罠。
2つ目の罠は「親が子供のカードを選ぶため、親側がイカサマし放題」なこと。
先述の通り、親が子供のカードを選んでいき、最後に残ったカードが子供の結論になります。子供自身が手元のカードを選ぶわけではありません。
ならば、モレナがカードに細工をしたり、周りの組員がカードを盗み見てモレナに合図を送ったりすれば、モレナはどのカードがどの位置にあるか把握した上で指定可能。
子供側は運ゲーはおろか、親側のイカサマにかけられて意のままに結論を誘導されてしまう場合もあり得るのです。
そこでボークセンは「子供のカードも自分で選ぶ」ことをゲームの参加条件として提案。モレナが了承したため、2つ目の罠は回避できました。
ですがモレナはというと、そもそも小細工したりイカサマしたりするつもりはなさそう。ボークセンが納得する形で仲間にしたいのでしょうね。強引なのは嫌いなのかな?
そして3つ目の罠は……まだ明かされていないという認識で合ってますよね?(ここ自信がない)ボークセンが「最も性質が悪い」と言及したところで途絶えていると読み取りました。
3つ目の罠として考えられるのは、まず「モレナが念能力を使わないとは言っていない」みたいな、念に関することかなと。
もしモレナが操作系の能力者だったら、この手のゲームは非常に有利。しかもボークセンは念の知識が皆無なので、能力を使われているかどうかさえわからない。
そもそもモレナとボークセンでは持っている手札(能力)が異なり、それをゲーム中に行使するかどうかに関するルールがない点が3つ目の罠……なんて妄想しました。
あるいはゲームを進めていった結果、ボークセンにとってエイ=イに入ることがメリットとしか考えられなくなることとか?
今は警戒しているボークセンですが、モレナが開示した情報や目的によっては「勧誘を断る理由なくねー?」となる可能性もゼロではありませんよね。
しかも明らかに不利なゲームを仕掛けられている状態からメリットばかり提示されたら、飴と鞭の要領でコロッと寝返っちゃう……そんな気持ち、わからないでもない。
まだ3つ目の罠の詳細が謎ですが、それも踏まえてボークセンはゲームを受けることに。
とある民族の回答形式
ゲームのルールとは別に、ボークセンは回答形式についてモレナへ質問しました。
とある民族は否定疑問形で質問されたとき、例えば「このゲームでイカサマをしていませんか?」と聞かれた場合に「はい、やっていません」と答えます。
そう、私たちやヨコタニのような日本人の答え方ですね。
この回答は「イエス」なのか「ノー」なのか、両方に受け取れてしまう。そのためボークセンは回答形式のすりあわせをゲーム開始前に行ったのです。
もし「このゲームでイカサマをしていませんか?」と聞かれた場合、やっていなければ「いいえ、やっていません」と答えるよう、モレナと共通の認識を作りました。
英語と同じ形の回答ですね。「Don't you 〜」と聞かれたら、「Yes, I do.」か「No, I don't.」と答えましょうと。
その際、モレナが回答の「主体」が相手にあるか自分にあるかということに言及し、意味深に「私の主体は私」と言い放ちました。何か覚悟を感じさせる一言ですね。
深読みし過ぎかもしれませんが、カキンマフィアや王子、二線者のしきたり、それらに縛られず全て壊そうとしているモレナは、常に自身の意思で動いていることを示唆している……なんてちょっと考察サイトっぽいことを書いてみる。
「交渉ゲーム」親側のカードの効果
「交渉ゲーム」を理解するため、さらに知っておかねばならないのが親側の7枚のカード。
1ターンごとに子供が指定したカードの効果が適用され、親は効果に応じて回答していきます。
それぞれの効果は以下の通り。
- 目的:親の目的(モレナがボークセンをエイ=イのアジトに招待し仲間に誘う理由)を話す
- 力:親の能力(念)について子供が納得するまで話す
- 質問A:内容・数を問わず子供の質問に何でも回答する(「目的」「力」に関する質問は除く)。ただし質問に対する回答は「イエス」「ノー」「イエスアンドノー」の3つのみで行う
- 質問B:質問Aで行った最後の質問に対してのみ、子供の疑問が解けるまで回答する(子供が質問Bのカードを指定できるのは、質問Aを指定した次のターン以降)
- イエス?:子供の手元に「イエス」が最後まで残った場合どうなるのか回答する
- ノー?:子供の手元に「ノー」が最後まで残った場合どうなるのか回答する
- D(取引):親の「小さなお願い」を子供がクリアすることで、子供は任意のカードを墓場から手元に戻せる(子供はお願いを聞いた上で断っても良い。その場合ターンは親に移りDのカードは墓場に行く。子供がDのカードを指定できるのは手元のカードが残り2枚になるまで)
簡単にまとめるなら、
- 1〜6は子供(ボークセン)の疑問に親(モレナ)が答える効果
- 7は子供(ボークセン)が結論を考え直せる機会をもらえる効果
といった感じでしょうか。ゲームを進めていけば、ボークセンがエイ=イやモレナに感じている疑問を解消することが可能なルールです。
7はボークセンに有利なカードのように思えますが、それはモレナが提案する「小さなお願い」次第ですよね……
これは私の勘ですが、モレナは「口と口でキスすること(あるいはモレナの唾液を飲ませること)」を提案するのではないでしょうか?
モレナは自身の念能力「恋のエチュード(サイキンオセン)」で第4王子私設兵を感染させ、第4王子の動きを把握しようとしていました。「D(取引)」の小さなお願いとしてモレナの唾液をボークセンに接種させられれば、モレナはゲームの結果に関わらず目的を達成することが可能です。
もちろんこれは私の妄想であり、「周りの組員に操作系の念能力者がいて、ボークセンを操作する条件を満たす」というような提案をする場合もあるでしょう。
いずれにせよ、念の知識が無いボークセンにとってモレナの「小さなお願い」を受け入れることはハイリスクですね。
妙に鋭いボークセン
拉致されている途中の記憶がなく、しばらく気絶していたと思われるボークセン。しかし目が覚めた途端「交渉ゲーム」の本質をバシバシ見抜きました。
頭キレッキレですね。寝起きなのに。第1層でツェリードニヒを護衛していた私設兵だけあります。他の同期たちとは比較にならないくらい優秀そうです。
さらに「(相手の仕草・表情・声色でわかるから親側の)イエス?・ノー?の質問カードは不要」とのこと。感情まで読み取れてしまうのですか……現にボークセンはモレナの怒りの感情を察知しました。
モレナは世界をぶっ壊そうとしているエイ=イの筆頭ですから、世の中に不満があるはず。その様子は外見からではまったくわかりませんが、ボークセンには筒抜けのようですね。
またモレナの自信やボークセンへの敬意、周りの組員たちの振る舞いなどから「交渉ゲームでイカサマを仕掛ける気がない」ことまで察知。
すごいですね。念能力者並みですよ。センリツが心音を聞いてやっているようなことです。
ボークセンはゲーム中にその優秀さが露呈して、念能力がどうのこうのに関わらずエイ=イの構成員として引き込まれてしまうかも?一応この「交渉ゲーム」、ボークセンの見立てではエイ=イに引き入れるかどうか、性格や知性など仲間としての適性を判断する面接も兼ねているそうなので。
ボークセンは「交渉ゲーム」に勝てるのか?
ボークセンにとって「交渉ゲーム」に勝つことは、「X」のカードを手元に残すこと一択でしょう。つまりモレナのリクエストに対して「イエス」とも「ノー」とも答えず離脱すること。
「イエス」と答えればエイ=イの仲間になり、ツェリードニヒとも、シュウ=ウ&シャ=アとも、幻影旅団とも敵対することになり非常に危険です。「ノー」と答えればボークセン自身が何かされるか、周りの人たちに危害が及ぶでしょう。「イエス」も「ノー」も彼女にとって敗北といえます。
ならば何も回答せずに立ち去ること。それがボークセンの勝利条件!!(できれば「恋のエチュード(サイキンオセン)」に感染せずに)
もし他にボークセンが助かる可能性があるとしたら……同期たちが助けに来てくれるorエイ=イのアジトに来たフィンクス・フェイタンが暴れてる隙に逃げ出す、でしょうか?
でも、メタ的に考えるとエイ=イには幻影旅団(ノブナガ・フィンクス・フェイタン)と戦うという見せ場が控えていると思うので、それまではモレナの想定通りに進みそうな気がします。となると、ボークセンは負けちゃうんだろうな……少なくとも「恋のエチュード(サイキンオセン)」には感染させられちゃうんだろうな……
ハッキリしているのは、「交渉ゲーム」を通してエイ=イの「目的」や「恋のエチュード(サイキンオセン)」の能力の詳細、モレナの素性などが明らかになるでろうこと。
ボークセンの交渉力&質問力に期待ですね!