私の名前はジロギン。

HUNTER×HUNTERなどの漫画考察や、怪談・オカルト・都市伝説の考察、短編小説、裁判傍聴のレポートなどを書いている趣味ブログです!

学生時代の同級生が意外な成長をしていて驚くことがある。自分が同級生を驚かせることもある。

 

この記事はフィクションです。書きたいテーマを書きやすく、伝えやすくするために一部物語調で書いています。ご了承ください。

 

 意外な人物が時を経て意外な成長をしていて、ある時自分の前にふと現れるなんていうことがあると思います。

その人物は時として天国の使いとして幸せを運んでくるかもしれません。また時として地獄の使いとして不幸を運んでくるかもしれません。

はたまた、あなた自身が、意外な成長を遂げた人物として誰かに影響を与えるかもしれません。今回はそんな或る日突然起こりそうな現象をテーマに物語を書いてみました。

 

 

成長と復讐

 

私の名前はジロギン。

 

今から大体1年3ヶ月ほど前に遡る。私は「気胸」と呼ばれる、ちょっとした衝撃で肺に穴が空いてしまう病気にかかってしまった。ちょうどジョギングをしていた時に右胸にから背中にかけて痛みが走り、病院へ行くことに。検査してみると気胸という診断結果だった。

 

気胸は手術が必要な病気で、私は検査したその日のうちに手術することになった。私にとっては人生初の手術。不安がなかったというと嘘になるがかなり楽しみでもあった。自分が手術される立場なのに他人事のようでしたが、本当にワクワクしていた。

 

担当の外科の先生はAという先生。A・・・聞き覚えのある名前・・・確かAくんというクラスメイトが高校2年生の時にいた。記憶の片隅にあり、もう取り出すこともないと思っていたAくんの記憶が蘇ってきた。

 

Aくんは根暗な生徒で、クラスでもほとんど誰とも会話することなく1日中昆虫図鑑を眺めて過ごしていた。髪型はいつも寝癖を直しておらず、どことなくクワガタムシっぽくもあった。体はそれほど大きいわけではなく、かといって特別勉強ができたわけでもなく、部活にも入ってたのかいなかったのかすらよくわからない、そんな生徒だった。

私も根暗で友達と呼べる人はごく限られた人しかいなかったが、Aくんとはほとんど話した記憶がない。似た者同士、反発してしまったのかもしれない。磁石のS極同士のように・・・いや、私はどちらかというとMだな。M極同士のように。ないけど。

Aくんはクラスでいじめにあっていた。私はMなのでいじめに参加こそしなかったが、Aくんがいじめられていることは知っていた。殴る蹴る、上履きを隠す、教科書をゴミ箱に捨てる、卒業式でもないのに制服の第2ボタンをむしり取るなど、ひどい有様だった。AくんをいじめていたクラスのBくんやCくんは見るからにSっぽそうだった。AくんもMだったと思うのだが、やはりいじめは辛かったのか、だんだんと学校に来なくなり、転校してしまった。その後Aくんがどうなったのかは全く知らなかった。

 

実際に担当のA先生がやってきて顔を見たところ、やはりそうだ、顔に高校時代のAくんの面影がある。私はA先生から手術の流れなどを聞いた後、本当に先生がAくんなのか確かめてみることにした。

 

 

 

ジロギン

「ねぇ、Aくんだよね?俺のこと覚えてる?高校時代同じクラスだった・・・」

 

Aくん

「・・・ジロギンくんだよね?覚えてるよ。僕の高校生活はあの高校2年の秋で終わってるから、当時のクラスメイトの顔と名前は鮮明に覚えてる。君の担当医に僕が選ばれた時は驚いたよ。」

 

ジロギン

「やっぱりAくんか。医者になってたんだ。相当頑張ったんだね。」

 

Aくん

「あのあと僕は文字どおり勉強しかしない生活を送ってきたよ。そして医者になったんだ。当時のクラスメイト全員、36名に復讐してやるために・・・」

 

ジロギン

「全員?ちょっと待ってよ、全員ってのはおかしくないかい?君をいじめていたのはBくんとかCくんとか一部の人間だったじゃないか!俺なんて君とほとんど話したことすらなかったのに!しかも復讐するために医者になるって努力のベクトルおかしくない?」

 

Aくん

「でも君も僕のことを助けず、いじめを知っていたのに見ぬふりをしていだろう。

いじめみた、見ぬふりするのも、いじめだよ。触らぬ神に祟りなし、君子危うきに近寄らずなんてかっこいい言葉で自分を正当化するのもダメだよ。こういう理屈で、僕はいじめに直接関わっていなかった人間にも復讐することにしたんだ。」

 

ジロギン

「そんな・・・復讐ってまさか・・・」

 

Aくん

「この後の手術、楽しみだね。」

 

Aくんはそう言い残し一時その場を立ち去った。手術の準備に取り掛かるのだろう。

やばい・・・Aくんの『復讐』が私に及ぶとしたらこの手術がまたとないチャンスのはず。絶対にAくんは手術中全身麻酔で意識のない私に何かしてくる。医療ミスと見せかけて殺害するとか?心臓を握って握力を鍛えたりとか?小腸を引きずり出して蝶結びにしてまた元に戻すとか?もう想像するだけで恐ろしかった。

 

 

恐怖の手術

しかしAくんに治してもらわない限りは私の右肺に空いた穴は塞がらない・・・担当医ってチェンジできるのだろうか?そんな相席居酒屋みたいなシステムないよな?担当医に気に入らないもクソもないだろうし。ちくしょう、このまま私はまな板の上のサンマのように腹を開かれ、Aくんの復讐という名のクッキングに身を委ねるしかないのかー?

 

そうこうしているうちについに手術の時間がやってきてしまった。

手術室に運ばれた私。手術室ではBGMとしてビートルズの曲がかかっていた。「Let it be」、好きな曲なのに、今は地獄へのファンファーレに聞こえる、Let it be・・・あるがままでいさせて・・・まさに私はこの後全身麻酔で意識を失いあるがままの状態になってしまう。その間にAくんは何らかの復讐を私にしてくるだろう。それを暗示させるためのBGMなのだろうか!?リラックスさせるためにあるはずのBGMがとんだサイコパスな世界観を産んでやがった。

 

私の口元に呼吸器が取り付けられ、麻酔ガスが投与された。見る見る意識が遠のいていく。私を覗き込むAくんの顔が見えた。マスクをしていて表情はわからなかったが、目の感じからしてマスクの下はニターっと笑っているのだとなんとなくわかった。

「Aくんよ・・・マジでごめん。当時助けられなくて。でも当時俺は部活でやっていたテニスのことばかり考えていてそれどころではなかったし、スクールカーストでは君と同じ一番下の貧民層にいた俺が助けたところで君へのいじめは止まらなかったよ。むしろ俺もいじめられてもっと弾圧される民衆が増えただけだったよ。だから仕方がなかったんだよ。だからちゃんとちゃんと手術して!ね!?ね!?」

と私は心の中でAくんに謝罪と弁解をした。しかしもう遅い、私はもうAくんのまな板の上にいるのだから。

遠のく意識の中で、最後に私が聞いたのは、Aくんの言った

「まず1人目・・・」

という言葉だった。

 

 

目に見えぬ復讐

私が目をさますとそこはさっきまでいた手術室ではなかった。まさか天国!?Aくんに手術中に殺害されて天国に来てしまったのか・・・いや私は地獄に行きそうなものだが・・・といろいろな考えが頭を巡ったが、そこはただの病室だった。手術はすでに終わっていた。

「なんだ・・・助かったのか。驚ろかしやがってAくんのやろう。ちゃんと医者やってるじゃないか!必要以上に不安を煽りやがって、あのクソ名医が!」

と一安心した私。そこにAくんがやってきた。

 

Aくん

「調子はどうかな?まぁまだ術後1時間も経ってないから辛いと思うけど、あと5日は入院してもらうからね。」

 

ジロギン

「わかったよ。それにしてもなんだよAくん!復讐だなんだと言っておいて、ちゃんと手術してくれたんじゃないか!脅かすなよな!・・・もしかしてこのあと病院食の中に少しずつ毒を入れて・・・?」

 

Aくん

「そんなことしないよ。もう終わったから、君への復讐は。」

 

ジロギン

「え?」

 

Aくん

「確かに君の言った通り、君は僕のいじめに直接は加担していなかった、だからこの程度の復讐で済ませることにしたんだ。まぁ命までは奪わないから安心してよ。僕は命を救う医者だしね。じゃ、また明日の朝様子を見に来るから。おやすみ。」

 

ゾッとした。Aくんは私に既に何かをしているらしい。恐怖が付きまとう入院生活の幕開けだった。

 

・・・と思ったけれどなんてことなく5日が過ぎた。Aくんは入院中はきちんとお医者さんとして接してくれたし、私の方も体調に異変は無かったし、可愛い看護師さんとお話もできたしすっかり気胸も治った。まぁ病室が個室だったから入院費がかなり高くなったけど、なんとかことなきを得たようだ。

 

いくらつらい過去があったとしても、Aくんはきちんとプロの医師として働いていたし、なんだかんだ言っても「復讐」なんて中二病じみたことをやるような男にも思えなかった。

 

 

そして先週のこと。私は友人との旅行で海外に行くことになった。もちろん飛行機で。

私が空港の金属探知機を通ろうとした際にブザーが鳴り、探知機に引っかかってしまった。中二病の私はやたらと貴金属をつけたがるので、たまに引っかかる。ベルトやら何やらを外し再度探知機をくぐるも、やはり引っかかってしまった。何度やってもブザーが鳴ってしまう。

衣服の他に原因があるかと空港の人がハンディタイプの金属探知機を使って私の体を調べた。ピーと、右胸のあたりで探知機がなった。何度やっても右胸のあたりで探知機がなる。

右胸のあたりに金属なんてつけてない。ネックレスもつけてないし、胸ポケットに拳銃なんて持ってもいない。何もないはず・・・その時私は嫌な予感がした。穴が空いた私の肺は右の肺だった。

おそらく、私の右の肺の中にAくんの「復讐の結果」があるに違いない。目に見えない復讐。Aくんが「この程度で済ませておく」と言った復讐。

来週、検査に行ってくるつもりだ。

 

 

 

同級生の意外な成長

あなたは学生時代の同級生と連絡を取っているでしょうか?私は大学時代の友人数名と高校時代の友人数名くらいで、その他の同級生は連絡先すら知りません。そんな状態です。私は少ないほうだと思いますが、未だに学生時代の友人と多く会う機会がある方もいるでしょう。

「まさかこいつが」と思う人物が意外な成長を遂げていて、意外なタイミングで自分の前に現れたりします。今回の話ではジロギンの元同級生であったAくんがつらい過去を乗り越えてジロギンの前に医者として現れました。しかしAくんは復讐心にかられ、ジロギンの右肺の中に何らかの医療器具を残したままにしてしまったようです。これはよくないパターンですね。同級生との再会が悲劇を生んでしましました。

学生時代の関係が良ければジロギンは今回のケースを回避できたかもしれません。自分の行為が巡り巡って自分に降りかかってきてしまうこともあります。因果応報、特に人の情念は怖いですね。何をされるかわかりません。だから人と人との関係はなるべく良好のままにしておいて損はないと思います。まぁすっごい難しいですけどね。

 

逆に自分が将来すごい立場になっていて、当時の同級生が「あいつと関係を深めておけばよかった」と思っている場合もあります。これは、自分としては憧れるパターンですよね。そのあと手のひらを返してきたように全然交流がなかった人から連絡があったりするのは少々嫌かもしれませんが、少しだけ、いい気分に浸れるのも確かです。

 

私もまだ20代なので、周りの人々がどんな成長をするのかわかりません。また私自身もそういう大きな成長をしたいとも思っています。油断ならない対人関係、そして自分もまた油断ならない大成長を遂げる人物になれるよう、日々精進していきたいところです。

 

もう一度行っておきますが、この話はフィクションです。

伝えたかったのは最後の部分のみです。

お読みいただき、ありがとうございました。たまにこういう記事も書きます笑