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【テニスの王子様】不動峰・橘さんをザコバナさんと呼ばないで

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不動峰中の主将であり、かつて「九州二翼」と呼ばれた橘桔平さん。

手塚部長や跡部様と同じ「全国区」に数えられるプレーヤーであり、その実力は日本中学テニス界トップクラス!

ですが、インターネットの一部では「ザコバナさん」というあだ名で呼ばれ、弱い認定されている様子。

「いやいや、橘さんはめちゃくちゃ強いぜ!」

不動峰中テニス部員なら口をそろえてこう言うでしょう。私も不動峰中OB(と思い込んでいる)として橘さんの強さを、声を大にしてアピールしたい。

そこで本記事では、なぜ橘さんは「ザコバナさん」と呼ばれてしまうのか。そして橘さんがザコバナさんではない理由をまとめていきます。

橘さんがザコバナさんと呼ばれてしまう原因

一部読者の間では「橘さんは弱い」と評価されているようです。ゆえに「雑魚」と「橘さん」が組み合わさった「ザコバナさん」という汚名で呼ばれている模様。

橘さんがザコバナさんと呼ばれる原因は、彼のネームバリューに対して負け試合が多いことだと思われます。

 

橘さんは、昨年の全国大会でベスト4まで勝ち進んだ獅子学中にて、2年生にして主力選手でした。チームメイトだった千歳くんと橘さんは獅子学中2大エースとして、地元九州では敵なし。その圧倒的な強さから「九州二翼」と呼ばれる有名なプレーヤーだったのです。

このような橘さんに関する情報が都大会の時点で明らかになり、当時読者たちの中で橘さんへの評価は上がりまくっていたと思われます。その一方、橘さんの試合描写がほとんどなかったため、「実力は不明なものの、間違いなく作中トップクラスの選手」という雰囲気だけがただよい続けていたのです。

 

しかし、いざ本格的に橘さんの戦いが描かれ始めると、負け試合が目立つ……

関東大会準決勝の赤也くんとの試合では、1-6で敗北。しかもかなりのケガを負わされ、アニメ版ではしばらく入院生活を送ることになりました。

その後の全国大会で元チームメイトの千歳くんと戦った際は、5-7で惜敗。

このように、強豪ネームド選手との試合では負けばかりなのです。

前評判の高さに見合わない戦績の悪さから、一部読者の間で橘さんは期待はずれな存在と認識されてしまったのでしょう。

橘さんはザコバナさんではない!

たしかに橘さんの戦績は、前評判の高さに見合ったものではなかったかもしれません。

しかし「橘さんをザコ呼ばわりするのは違う」というのが個人的な意見です。

橘さんは描写こそ少ないものの、強豪選手としてひっそりと実績を残しています。

ここからは「橘さんはザコバナさんではない!」と言い張れる理由を紹介していきます。

2年連続で全国大会上位入賞

橘さんは2年生まで九州の獅子学中テニス部に在籍し、エースとしてチームを全国大会ベスト4へと導いています。各チームのエース選手は3年生であることが多い『テニスの王子様』の世界で、2年生にしてエースを務め、全国大会でも勝ち進んだ橘さんのポテンシャルの高さは言わずもがな。

 

橘さんと千歳くんが全国トップレベルの選手だったとはいえ、2人だけが強くても団体戦で勝ち上がれるわけではありません。獅子学中は、橘さん・千歳くん以外にも強い選手が多数いたのだと思われます。

そう考えると橘さんが2年生で全国ベスト4まで勝ち進めたのは彼一人の力ではなく、チームメイト全員の尽力があったのことでしょう。もし橘さんが他のチームに在籍していたら、全国大会に進めなかったかもしれない……そんな疑念を払拭するかのように、橘さんは3年生になっても快進撃を見せます。

 

父親の仕事の都合で東京に引っ越すことになった橘さんは、不動峰中に転校し、テニス部に入ります。しかし不動峰中テニス部は超弱小チームで、地区予選すら勝ち上がれない実力。その上、上級生から下級生への暴力や顧問のパワハラが横行しており、部活として大きな問題を抱えていました。

そんな中で橘さんは1年生を率いて部を再建し、3年生になった年の夏に全国大会ベスト8へ進出。獅子学中のように実績や人材が豊富なチームではなく、全てがゼロからのスタートだったチームをまとめ上げ、1年足らずで全国へ進んだのです。後述しますが、橘さん自身もしっかり勝ち星を上げています。

ゼロからスタートしたチームを全国へ導く活躍をした橘さん。彼は「本物の実力者」と評価するべきではないでしょうか。

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宍戸さんを15分で叩きのめす

地区予選決勝の青学VS不動峰では、シングルス1に出場予定だった橘さん。しかし試合がシングルス1まで回らず、試合をすることなく大会が終了してしまいました。

 

その後の都大会でも初戦以外、橘さんに試合を回すことなく勝ち進んだ不動峰中。初めて描写された橘さんの試合は、準々決勝の氷帝戦シングルス3でした。

ダブルスに準レギュラーを起用していた氷帝に対し、不動峰は前半戦に主力メンバーを集めて速攻を仕掛けます。

2-0で迎えたシングルス3、氷帝にとどめを刺すべく参戦した橘さん。相手はロン毛でイキリ散らしていた宍戸さんです。当時の宍戸さんは、イキっていたものの全国常連校の氷帝でシングルスを任される正レギュラー。準レギュラーたちとは格が違います。

 

初っ端からカウンターライジングで攻めまくり、深い打球で橘さんをベースライン際に足止めさせた宍戸さん。宍戸さんのワンサイドゲームになるかと思いきや、橘さんはわざと攻められているフリをし、宍戸さんを調子づかせていただけでした。一瞬でネットまで詰め寄りウィナーを決め、そのまま6-0で圧倒。

試合前、宍戸さんは「20分で倒してやる」みたいなことを言っていましたが、橘さんによって15分で叩きのめされてしまいました。

「氷帝の正レギュラーになれる」なんてレベルの選手では、橘さんに手も足もでないことが明らかになった一戦です。氷帝の選手で橘さんに勝てるとしたら、No.1の跡部様か、相手のプレーをコピーできる樺地くんくらいでしょう。

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関東大会で六角中の佐伯さんを6-2で倒す

部員が交通事故に巻き込まれ、都大会準決勝の山吹戦は大事をとって棄権せざるをえなかった不動峰。3位で関東大会に駒を進めました。

関東大会では準決勝で立海大に大敗し、不動峰はまたも3位決定戦へ回ることに。相手は千葉県の古豪・六角中。最終試合のシングルス1までもつれる接戦になり、最後は橘さんが佐伯さんに6-2で快勝し、都大会に続き3位入賞を果たしました。

 

「氷帝準レギュラー100人斬り」のダビデくん、そのダビデくんと互角の剣太郎くんを差し置いてシングルス1に入っていた佐伯さんは、六角中の最強選手なのでしょう(たぶん)。全国大会の比嘉中戦でも佐伯さんはシングルス1でしたし、過去にシングルスで青学の不二くんと戦ったことがあるような発言をしていたことからも、シングルスを得意としていることはほぼ間違いありません(なのに関東大会準決勝の青学戦でダブルスに起用されていたのは謎)。

その佐伯さんに2ゲームしか与えず勝利した橘さん。この勝利も「橘さんは強い」と言える根拠の1つです!

 

しかし、この試合を含め佐伯さんの作中での扱いがかなり悪い……彼の不遇っぷりが橘さんにもマイナスに作用しています。

佐伯さんと橘さんの試合を観戦していた千歳くんは「今年の関東はショボかね」「弱くなったばい桔平」と辛辣な感想を述べました。

千歳くんは親友でありライバルだった橘さんを叱咤激励するために、あえて厳しいことを言ったのでしょう。しかし対戦相手の佐伯くんからすると、デカイ九州出身の男にただディスられただけ。

そもそも佐伯さんのプレーの強みも謎。関東大会準決勝で不二・菊丸ペアと対戦した際は、菊丸くんをマークしてプレーを封じたり、持ち前の動体視力で不二くんのつばめ返しを見切ったりしていましたが、こんな一般人レベルのプレーで勝利できるほど『テニスの王子様』の世界は甘くありません。

その後の全国大会比嘉中戦で、利き腕と逆の右腕でプレーしていた甲斐くんに敗北した佐伯さん。利き腕(しかも裏手)でプレーしたときの甲斐くんの強さは、シングルスの公式戦経験がほぼない菊丸くんに負けるレベルだったので、佐伯さんの株も下がりまくり……

思えば、不二くんの弟・裕太くんにも、彼の体を気遣ってあえて手を抜いたとはいえ負けている佐伯さん。

 

このように、The不遇・佐伯さんに勝っても橘さんの評価アップにはつながりませんでした。関東大会でシードに入っている六角のエース(と思われる)佐伯さんを倒すのは、かなりの大金星なはずなんですけどね……

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不二くんを威圧する

全国大会直前、橘さんの家に不二くんが訪れます。

不二くんの目的は、赤也くんにやられた橘さんのケガの様子を確認すること。そして自分の得意技「三種の返し球(トリプルカウンター)」が全国区の橘さんに通用するか試すことでした。

 

千歳くんに叱咤されたことが影響してか、髪を金色に染め上げ獅子学中時代の風貌に近づいた橘さんは、不二くんとのノラ試合を決行します。

全力を出しきれていない様子の橘さんに対し、不二くんは「キミをかい被っていたかな?」と挑発。その挑発に乗るように、橘さんは「猛獣のオーラ」を発動します。

オーラを発動した橘さんに気圧された不二くんは、いきなりサービスエースを許すことに。天才と呼ばれる不二くんが、そう簡単にエースを取られるわけがありません。それだけ橘さんのオーラが凄まじかったということでしょう。

橘さんになんとか喰らいつく不二くんは、スマッシュを得意の「羆落とし」で返しますが、ガットを突き破られてしまいます。

 

橘さんに本気を出させようとしていた不二くん自身、当時は本気で戦えないことに悩んでいました。それでも青学No.2と呼ばれ、全国区プレーヤーに肉薄する実力を発揮していた彼ですら、橘さん相手だと押されてしまうのです。

試合はお預けになりましたが、そのまま続けていたら、橘さんが勝っていたと思われます。

不二くんを倒せた可能性が高い橘さん。やはりザコバナさんなんてあだ名は似合わない……!

昨年の全国準優勝校である牧之藤学園のエース・萩くんを6-0でボコす

関東大会を3位で通過し、全国大会へ進んだ不動峰。初戦は越後平第二というモブ中学校。橘さん含め、チーム全員負けることなく快勝しました。

続く2回戦、相手は昨年の全国大会で準優勝した牧之藤学院。実は牧之藤学院は、橘さんにとって因縁の相手です。

昨年の全国大会ベスト4まで勝ち進んだ学校は立海大、四天宝寺、獅子学、牧之藤学院。このうち立海大と四天宝寺が準決勝で対戦したことが作中で明かされています。ということは、残りの獅子学と牧之藤学院が対戦し、牧之藤学院が勝利したことになります。

橘さんは1年前、牧之藤学院に団体戦としては負けているということですね。

 

完全な無名校である不動峰と昨年準優勝の牧之藤学院。順当にいけば牧之藤学院の圧勝となりそうなところですが、不動峰は実績こそなくても実力は全国レベルのダークホース。

自身のテニスを「スーパーテニス」と称する牧之藤学院の部長・門脇悟くんは、不動峰の2年・伊武深司くんに1-6で惨敗。さらに「何だよスーパーテニスって、普通じゃん」と罵られる始末。シングルス1の橘さんの試合順が回る前に、3-1で不動峰が団体戦として勝利を決めてしまいました。

この試合は2回戦でしたが、シード校である牧之藤学院にとっては初戦のため、団体戦の勝敗が決まっても全試合実施。つまりシングルス1の橘さんVSエース・萩くんの試合も行われました。

萩くんを相手に橘さんは「とどめ刺しちゃるばい」とやる気満々。もうすでにとどめを刺されていた牧之藤学院ですが、萩くんは描写なく橘さんに敗北。スコアは6-0で、一方的な試合だったことは想像に難くありません。

勝ちは決まっていても全く手を抜かない橘さんの姿勢から、牧之藤学院との試合に臨む意気込みは、人一倍強かったように感じます。

 

萩くんの強さは不明ですが、牧之藤学院のエースなのですから、弱いなんてことはないと思われます。忍足従兄弟が電話でケンカしていたとき、謙也くんが関西のスーパールーキー・金ちゃんの凄さをアピールするために「萩くんを倒した」と言っていたことからも、萩くんはそこそこ有名な選手だったのでしょう。

その萩くんをストレートで仕留められる橘さん。もうザコバナさんなんて呼ばせない。

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四天宝寺でも千歳くん以外では橘さんを抑えられなかった

全国大会準々決勝で四天宝寺と対戦した不動峰。シングルス3・ダブルス2とも棄権し、0-2で追い込まれた不動峰は、続くシングルス2に橘さんが登場。相手は千歳くんで、元九州二翼の戦いとなりました。

この試合の結果は、先述の通り5-7で橘さんの敗北。橘さんは奥の手である「猛獣のオーラ」や「あばれ獅子」「あばれ球」で戦いましたが、千歳くんが覚醒した「才気煥発の極み」を打ち破ることはできませんでした。

 

しかし、この試合の橘さんは全力だったかというと微妙なところ。

橘さんは過去に千歳くんの右目にボールを当ててしまい、視力を大きく減退させてしまう事故を引き起こしています。千歳くんは目の治療を続けていたようですが、完全には治っておらず、ほぼ見えないまま試合に臨んでいたのです。

その事実に気付いていたのか、橘さんは千歳くんにとって死角になるフォアサイドに一球も打たずプレーをしていました。千歳くんにとっても、橘さんにとっても、この一戦はハンデを背負っての試合だったわけですね。

 

双方、全力を出せたとは言い切れない試合でしたが、観戦していた四天宝寺の銀さんは「不動峰の大将は千歳でなければ抑えられなかった」と、橘さんを高く評価。ハンデマッチを見てもなお、千歳くん以外の四天宝寺メンバーでは勝てなかったと感じたということでしょう。

正直、百八式波動球を打てる銀さん、スーパーウルトラグレートデリシャス大車輪山嵐を打てる金ちゃんなら橘さんを客席ごと吹き飛ばして終わりだと思うのですが……銀さんが言うのだから、そういうわけにもいかなかったのでしょう。

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U-17日本代表の追加メンバーに選ばれる

U-17日本代表合宿に参加し、勝ち組中学生に残った橘さん。

3番コートとの試合では千歳くんとダブルスを組んで、獅子学中の先輩ペアと戦います。

試合には負けたものの、「猛獣のようなシンクロ」という、千歳くんとのダブルスにおける新たな可能性を見出しました。

 

結果的にU-17日本代表に選ばれることはなかった橘さんと千歳くんでしたが、ケガで離脱したメンバーの代理を務める追加メンバーに選ばれていたことが、『新テニスの王子様』23.5巻にて明かされました。

さすがは全国区プレーヤーの2人。補欠に近い形ではありましたが、日本屈指の強豪中学生として、合宿のコーチ陣から評価されていたということでしょう。やっぱりザコバナさんなんかじゃない!

 

しかし、橘さんと千歳くんは「猛獣のようなシンクロ」がまだ形になっておらず、まずはこれを完成させることが優先と考え、追加メンバーの要請を断ったそう。

おそらく橘さんと千歳くんの代わりに選ばれたのが、氷帝の忍足くんと山吹の千石さんだと思われます。忍足くんも千石さんも決して弱いわけではないのですが、九州二翼に比べると格落ち感は否めない……九州二翼とそれ以下の選手との間には高い壁がありそうですね。

橘さんはちょっと咬ませ犬にされがちなだけ

橘さんは作中最序盤から「全国区プレーヤー」「九州二翼」「昨年全国ベスト4獅子学中の元エース」という、強キャラ感あふれる肩書きがマシマシになっていました。その一方で試合描写がほとんどなかったので、新登場したキャラクターの強さを読者に端的に示すなら、橘さんに勝たせるのがちょうどいい感じだったんですよね。

つまり橘さんは咬ませ犬に持って来いの選手だった。ゆえに負け試合ばかりが目立ち「ザコバナさん」なんていう不名誉なあだ名が生まれてしまったと……

 

でも考えてみてください。スポーツの全国大会で2年連続上位入賞し、そのチームの主力選手だった橘さんが弱いわけがないのです。例えるなら、1年前の甲子園でベスト4、翌年ベスト8の学校の4番バッターでピッチャーみたいな感じでしょう(甲子園は高校野球の大会ですが)。プロからスカウトが来てもおかしくないと思います。

 

橘さんの実績をまとめたこの記事が、「ザコバナさん」と呼ぶ人の目にとまり、考えを改めてもらうきっかけになったらうれしいです。

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