九州地区を制し、全国大会に進出した沖縄代表・比嘉中。
九州といえば、作中1年前に全国大会ベスト4まで勝ち残った強豪校・獅子学中が所在する地域でもあります。
そんな獅子学中を倒して、比嘉中は九州大会で優勝しているのです。
比嘉中が獅子学中に勝てた要因の一つには、九州二翼と呼ばれた橘さん・千歳くんが他校に転校し、獅子学中が弱体化したこともあると思います。
もし九州二翼が獅子学中に残っていた場合、比嘉中は九州地区を制することができたのでしょうか?
九州二翼の橘桔平・千歳千里とは?
作中時間で約1年前まで、獅子学中テニス部には、絶対的な実力を誇る2大エースがいました。
それが橘桔平(たちばなきっぺい)さんと、千歳千里(ちとせせんり)くん。
2人は2年生にして全国レベルのテニススキルを持ち、九州では敵がいないほど他校選手を圧倒していたようです。その活躍っぷりは九州だけでなく全国的に有名であり、「九州二翼」「九州二強」などと呼ばれるほどでした。
橘さん・千歳くんが主戦力となり、獅子学中は全国大会ベスト4まで勝ち上がる大躍進を見せます。
しかし、ある日の校内戦で橘さんと千歳くんが試合をした際、橘さんの打った必殺ショット「あばれ球(ラケットのフレームで打ち、ボールを分身させるショット)」が千歳くんの右目に直撃。
このアクシデントが原因で、千歳くんは右目の視力を失い、テニスをやめることに。そして友達からテニスを奪ってしまった罪悪感で、橘さんもテニスから足を洗いました。
2人は獅子学中からも転校し、橘さんは東京の不動峰中へ、千歳くんは大阪の四天宝寺中へ移ります。その後、しばらくはテニスをしていなかった2人ですが、千歳くんが四天宝寺でテニスを再開したことを聞いた橘さんは、不動峰でテニス部を再建し、それぞれ別の中学で全国を目指すことになりました。
一方、2大エースを失ってしまった獅子学中は大幅に弱体化。翌年も全国大会に進出できたものの、九州大会では無名の比嘉中に敗北し、全国では氷帝学園にストレートで負けています。
比嘉中とは?
沖縄県の私立中学。中学テニス界で沖縄県代表は26年間九州地区大会止まりで、全国まで進出できていませんでしたが、その殻を破ったのが比嘉中です。
部長の木手永四郎(きてえいしろう)くんが、沖縄各地から沖縄武術の天才児たちを集め、テニスを習得させ、沖縄武術の技を組み込んだテニスを実現。今までにない奇抜なプレーで、九州大会を制覇し、全国大会では古豪・六角中を5タテしました。
比嘉中のレギュラーたちは「縮地法」で、サービスラインからネットまで1歩で近づいているかのように、相手プレーヤーを錯覚させる技術を持っています。最初は錯覚だったはずの縮地法ですが、次第にただの瞬間移動になっていきました。
特に木手くんは全方向に縮地法での移動が可能で、コート上のどこにでも現れる、驚異的な守備力を誇ります。他にも、レギュラーたちが使用する「ビッグバン」「大飯匙倩(おおはぶ)」「海賊の角笛(バイキングホーン)」などの技は、全て木手くんが部員たちに教えた技でした。
絶好調だった比嘉中ですが、全国大会2回戦では青学にストレート負け。この試合で3年生は引退となり、求心力のあった木手くんや、カリスマ性の高いレギュラーたちがいなくなったことで、部員のほとんどが退部。一時、2年生レギュラーだった新垣くんたった1人の部活になってしまいました。
が、新垣くんが個人戦で優秀な成績を収めたことで、辞めた部員は戻ってきてくれ、テニス部は復活したそうです。
比嘉中は九州ニ翼が在籍する獅子学中に勝てた?
では本題に入りましょう。
九州二翼が転校せず獅子学中に残っていた場合、比嘉中は作中のように獅子学中を倒し、九州大会を制することができたのでしょうか?
橘さん・千歳くんに勝てそうなのは木手くんくらい
獅子学中の2大エース橘さん・千歳くんは、ほぼ間違いなくシングルスで起用されるでしょう(OVAではダブルスをしていましたが……)。シングルスで九州二翼に勝てそうな比嘉中の選手は、おそらく木手くんくらい。
橘さんと千歳くんは全国区プレーヤーに数えられ、作中でも上位クラスの実力者。比嘉中のシングルスプレーヤーと思われる田仁志くん、甲斐くんが勝てる相手ではありません。
田仁志くんは、必殺サーブ「ビッグバン」以外、リョーマにほぼ完封されてしまうくらいスキル不足。甲斐くんは本気を出しても、ダブルスプレーヤーの菊丸くんと互角くらい。全国区プレーヤーが相手だったら、一方的に負けてしまうでしょう(田仁志くんはビッグバンでならポイントは取れたかも)。
唯一、九州二翼に勝てる可能性があるとすれば、部長の木手くん。
木手くんは、「無我の境地」の奥の扉を使っていない手塚くんが相手なら、完勝できそうなくらいの強さを誇ります。
手塚くんは無我系の技を使わなくても全国区認定されていたので、木手くんも全国区レベルの力があったと思われます。
木手くんなら、橘さん・千歳くんに肉薄することはできたのではないか、というのが私の意見です。
しかし、後述しますが、比嘉中が獅子学中に勝つには、橘さん・千歳くんとの試合は捨てるのがベスト。木手くんは他の選手に当てて、確実に勝ち星を上げた方が、比嘉中の勝率は大幅に上がります。
団体戦は5試合中3勝すれば勝利なので、全国区2人とバカ正直に戦う必要はありません。
獅子学中はシングルスで向日くんに負ける選手がレギュラーなくらい人材不足
橘さん・千歳くんを除く獅子学中のメンバーは、正直「人材不足」な状況……
一応、全国大会まで勝ち進めるだけの選手はそろっているようですが、「全国大会で勝ち上がる学校」に勝てるメンツとはいえません。
その脆さが露呈しているのが、全国大会の獅子学中VS氷帝。
この試合は一切描写されていないのですが、獅子学中は0-5でストレート負けしています。
出典:新テニスの王子様氷帝学園中等部テニス部ガイド『CALL』83P/許斐剛/集英社
そのうち、シングルス3に出場した獅子学中の宇野木(うのき)という選手は、向日岳人(むかひがくと)くんに2-6で敗北。
向日くんは自称ダブルス専門選手ですが、この試合ではシングルスに起用されています。完全に氷帝の舐めプですね。
ダブルスですら体力不足になってしまう岳人くんを相手に、2ゲームしか取れない選手がシングルスを務めている……獅子学中の選手層の薄さを感じます。
他の試合を見ても、氷帝の最強ダブルス宍戸・鳳ペアは分解され、それぞれ違うペアを組んでダブルスをしています。これも完全に舐めプでしょう。
シングルス2の忍足くんも元々はダブルス専門と言っていましたから、これも舐めプっぽいですね(青学戦ではシングルスをやりましたが)。
シングルス1の大丸さんは、跡部様にストレート負けを喫しています。大丸さんは千歳くんの妹・ミユキちゃん(長い間イップスで全力を出せずにいた小学生)ですら、そこそこラリーができるくらいの実力でしたので、跡部様に瞬殺されたと思われます。
このような獅子学中の選手層の薄さを考えると、橘さん・千歳くんを除くメンバーは、誰一人として比嘉中レギュラーに勝てなかったと思われます。
現に比嘉中は、九州二翼以外で構成された獅子学中に勝って九州大会を制してますからね。それから、青学に0-5で敗れたものの、各試合を見ると互角に近い勝負をしていました。
獅子学中で強かったのは橘さん・千歳くんと前年の3年生か?
昨年の獅子学中が全国ベスト4まで勝ち上がるほど強かったのは、橘さん・千歳くんと、その年の3年生が強かったからかもしれません。
3年生が引退し、2大エースを失って、獅子学中に残されたのは比較的弱い世代だけになってしまったのではないかと思います。
2大エース+前年の3年生が獅子学中にいたら、比嘉中に勝てたかもしれません。
獅子学中は本当に、他校と比較にならないくらい急速に弱体化が進んでしまった感じですね。
ミユキちゃんからも「獅子学中はもうダメ」と言われる始末でしたし……栄枯盛衰とはこのことか……
九州二翼がいても獅子学中は比嘉中に勝てなかった可能性が高い
もし橘さん・千歳くんが獅子学中にいて、比嘉中と戦えば、それぞれシングルスで2勝上げることはできたでしょう。
しかし、他の選手が続かず、比嘉中が残りダブルス2勝・シングルス1勝で団体戦として勝利していたと思います。
全国区プレーヤーがいるチームでも、他の選手の実力が高くないのなら、そこが弱点になります。
そして比嘉中は木手くんという全国区に近い実力者もいますから、彼には橘さん・千歳くんと真正面から戦わずに、他の選手と戦ってほぼ確実に勝ってもらった方が、比嘉中としては有利になるでしょう。
橘さん・千歳くんだけでは、比嘉中レギュラー全員を抑え込むことは難しいでしょうね……
獅子学中にとっては、九州二翼が抜けた穴より、昨年の全国大会ベスト4まで進んだ他のメンツが抜けた穴の方が大きいかも?