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【テニスの王子様】青学の2年生という荒れる世代

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リョーマが通う青春学園中等部は、私立の中高大一貫校。入学するためには中学受験を乗り越える必要があるため、青学の生徒は平均的な中学生と比べて、高い学力を持つ「優等生」といえるでしょう。

しかし、その素行を見ると、優等生とはいえないことをやっている生徒も。

特に男子硬式テニス部は、荒れている2年生が多い印象です。

 

今回は、青学テニス部2年生の荒くれエピソードを紹介し、なぜ2年生が荒れてしまうのかを考察します。

仮入部の1年生をカモる林・池田ペア

まずは、テニス部へ仮入部に来た新入生に対して行われた、2年生による卑劣なゲームを紹介します。

仮入部初日。遅れてきたリョーマ、堀尾と初対面を果たしたカツオくんとカチローくん。他の1年生はすでに帰っており、当時コートには4人しか残っていませんでした。

 

そこにやって来た2年生の林くんと池田くん。

2人はリョーマらに「面白いゲームがある」と切り出し、サーブ缶倒しゲームをやらせます。

ルールは、10球サーブを打つまでに、サービスコート内に置かれた空き缶を倒せば賞金1万円というもの。挑戦料は200円で、成功すれば9,800円儲けられるという、一見するとローリスクハイリターンなゲームです。

しかし、ゲームとしての難易度はかなり高く、まだろくに練習したことがないであろう1年生が成功できるわけなし。カツオくん、カチローくん、堀尾の3人は、失敗に終ります。

ゲーム後、200円を支払おうとした堀尾に対し、林くん、池田くんは裏ルールを提示します。裏ルールというか、新入生をカモるためにあえて事前に言わなかったルールですね。

それは、挑戦料200円と別途、1球につき500円を支払うというもの。つまり10球打ったら5,000円払わないといけないのです。中学生にとって、5,000円は大金ですね。

 

もし4人とも失敗すれば、200円×4人分=800円、加えて5,000円×4人分=20,000円、合わせて20,800円が林くん・池田くんの懐に入るはずでした。

しかしリョーマは当時から、アメリカのジュニア大会を4つ制覇するハイパー中学生。

空き缶の中に石が入っていて簡単に倒れないことを見抜いた上で、缶にボールを当てまくり「100球当てたら100万円くれるの?」と、逆に林・池田ペアをイビリ返します。

 

ここに桃ちゃんが割って入り、リョーマと試合をすることになったため、林・池田ペアの卑劣なゲームについては有耶無耶に。

このように、青学テニス部2年生の間では後輩イビリが横行しており、それを隠蔽するような空気ができていたようです。

もしかしたら、過去に林くん・池田くんも同じようなゲームを先輩にやらされ、カモられたことがあったのかも……だとしたら、完全に悪しき伝統が出来上がってますね。

リョーマにボロラケットで試合させた荒井先輩

後輩イビリといったら、この男の存在を抜きに話は進められません。

青学の中で最もレギュラーに近い一般部員こと、荒井先輩です。

 

荒井先輩は、リョーマが桃ちゃんと互角に打ち合ったことを聞き「調子に乗るな」と釘を刺そうとしていました。

しかし、堀尾をリョーマだと勘違いしている間に、レギュラーのスマッシュ練習に割って入ったリョーマ。そして調子に乗った発言を許してしまいます。

直後、リョーマの胸ぐらを掴み怒鳴り始めた荒井先輩ですが、手塚部長に見つかり、リョーマと一緒にグラウンドを20周走らされることになりました。

 

以来、リョーマに目をつけた荒井先輩。

部室のベンチに置いていた自分のジャージをリョーマに尻で踏まれてくしゃくしゃにされたことや(荒井先輩は誰がやったか知らないまま)、リョーマが3本もラケットを持っていることなどに腹を立て、イビリ計画を実行します。

それは、リョーマのラケットを全て隠し、部室にあったボロボロのウッドラケットで自分と試合させて、部員の前で恥をかかせようとする作戦。

 

荒井先輩の作戦に対し、受けて立ったリョーマ。

しかしリョーマといえど、ボロラケットで試合をするのは厳しく、荒井先輩が圧倒的に有利!……と思いきや、リョーマは数球でボロラケットでショットを打つコツを把握し、荒井先輩を負かしてしまいました。

荒井先輩は1年生に敗北、しかもボロラケットを使わせて試合をしたのに負けるという、2年生の恥部になってしまったのでした。

 

以降、原作ではおとなしめだった荒井先輩ですが、青学に侵入しタバコをふかしていた亜久津くんを見つけて注意したところをボコボコにされています(物理的に)。

本物の不良には手も足もでない荒井先輩なのでした……

 

……書いていて思ったのですが、荒井先輩は正義感が強いといいますか、先輩ぶろうとしていただけで、積極的に後輩をいじめてやろうとしてたわけではなさそうですね。

先輩ぶる方法が間違っていたことと、短気で言葉遣いや態度が悪いだけで、先輩としての自覚は強い方な気がしないでもない……

他校生にもケンカをふっかける桃ちゃん・海堂くん

青学の2年生が荒ぶっているのは、この2人の影響が大きいのかもしれません。

2年生にしてレギュラーを務める、桃城武くんと海堂薫くん。

2人は1年生の頃からお互いを意識し、ライバルのような関係性でした。でも「競い合いの中でお互いを高めよう!」というような、前向きに相手を意識していたわけではなく、「こいつには負けない!こいつより自分の方が上だ!」と、ややネガティブな方面で張り合っていた様子。

しかも、顔を合わせるたびに胸ぐらを掴み合い、時には殴り合いに発展しそうなほどケンカをしてしまう険悪さでした。聖ルドルフ戦でダブルスを組んだときは、一触即発の状態でしたね。

 

2人の血の気の多さが発揮されるのは、青学の部内だけではありません。

他校生に対しても、気に入らないことがあればケンカをふっかけます。

 

例えば、テニスのプロ選手が参加するABCオープンの観戦に行った海堂くん。

会場で偶然居合わせた六里ヶ丘中の部員たちが、青学と、立海大の部長・幸村くんの悪口を言っているのを耳にし、顔面をぶん殴りました。

その後、海堂くんが背負い投げされるなどリアルファイトに発展しそうでしたが、立海大の柳生くんが仲裁し、無事テニスファイトで決着をつけることに落ち着きました。

 

全国大会では、六角中を誹謗中傷するような応援を繰り返す比嘉中部員に対し、煽りにいった桃ちゃんと海堂くん。

比嘉中は全員が沖縄武術の心得があり、リアルファイトもかなり強そうでしたが、お構いなしにケンカしようとしていました。

 

暴力事件になりかねないほど荒くれな2人。ここまでに紹介してきた林くん、池田くん、荒井先輩は所詮、部内でイキリ散らしているだけのお山の大将。桃ちゃん・海堂くんとは、荒くれ具合でもテニススキルでも大きく差を広げられています。

手塚くんの肘を負傷させた先輩

思えば、荒れている青学の2年生は、桃ちゃん・海堂くんの世代だけではありませんね。

手塚くんが1年生の頃、利き腕とは逆の手でプレーしていることを知った先輩がブチギレ。ラケットで手塚くんの左腕を殴打する事件が発生しています。

これには、いつも冷静沈着な手塚くんも激怒。テニス部を辞めようとする事態に発展しました。

大石くんと、当時の部長・大和部長の説得で、なんとかテニス部に残った手塚くん。ですが、ラケットで殴られた腕の怪我は古傷となり、手塚くんの膨大な練習量が影響して再発。長い間、手塚くんを苦しめました。

 

テニスラケットは金属製で、ちょっとした武器になります。それで殴ったなんていうのは、ケンカの枠を超えた傷害事件です。

手塚くんを殴った先輩も、おそらく当時2年生だったと思われます。

桃ちゃん・海堂くんの世代だけが特別荒れているわけではなく、「青学テニス部は2年生になると、何らかの問題行為をする部員が出やすくなる」と考えるべきかもしれません。

レギュラーになれないストレスを抱える2年生が多い?

なぜ青学テニス部の2年生は荒れてしまうのか。それは、レギュラーになるかどうかのストレスが最もかかる世代だからではないでしょうか。

 

青学は他校と違い、レギュラーとそれ以外の選手でジャージ・ユニフォームが異なります。レギュラーに選ばれた選手は、かっこいい「青学レギュラージャージ(ユニフォーム)」を着ることが許されるのです。そのためレギュラーは、他の部員とは別格感があります。

 

私のような30歳を超えたオジサンは「別にジャージなんて何でもいいでしょ」と思ってしまいますが、多感な中学生はそうもいきません。

「かっこいいジャージを着てテニスができるかどうか」は、彼らにとって学校生活を謳歌するために必須な、勉学よりも優先すべき死活問題なのです。実際、レギュラー選手は女子からモテモテ(顔面偏差値の高さも影響してそうですが)。

しかも、青学はレギュラー以外の部員専用ジャージ・ユニフォームがあるわけではなく、学校指定のダサいジャージか体操服を着るのがデフォルトのようです。レギュラージャージに憧れる気持ちも分かります。

 

さらに公式戦に出るレギュラーは、練習メニューも特別。

作中では乾くんがほぼ専属でレギュラーのみの練習メニューを考え、一般部員とは完全に別の、ハイレベルなメニューをこなしていました。

それに六角中や不動峰中との練習試合も、参加したのはレギュラーのみだった様子。

アニメでは、関東大会決勝直前に、レギュラーだけ合宿に行っていました。

つまり、普段の練習からしてレギュラーとそれ以外とでは、質が全く違うということです。

このような格差があることで、一般部員は実力が低いとみなされていることを痛感してしまい、一部の部員はテニスをやる気自体失ってしまうのかもしれません。

 

順当にいけば、テニス歴が最も長い3年生がレギュラーの大半を占めると思われます。

ほとんどの2年生は、3年生が引退する夏頃までレギュラー入りはできず、1年生の頃とさほど変わらない練習をさせられるでしょう。

それでも、桃ちゃんや海堂くんのように早いうちから才能を発揮し、3年生の中に食い込んでレギュラーを勝ち取る同級生もいるわけで……荒井先輩たちが焦ったり、腐ったりして1年生に八つ当たりしてしまう気持ちも分から……なくもないけど、分かりたくはない。

その上、昔の手塚くんやリョーマのように、1年生うちからレギュラーを取りそうな逸材が入部してきたとあれば、負の感情が加速してしまうでしょう。

 

せめてユニフォームは統一してあげた方が、もっと部として一体感が出て、荒くれ者も少なくなる気がしますね……

部員が200人以上いる氷帝も、全国最強の立海大ですらも、部員全員が同じジャージ・ユニフォームを着ているので、青学も取り入れてみてはいかがかしら?

筆者にも近い経験がある

筆者が高校生の頃、テニス部で青学の2年生に近い経験をしたことがあります。

うちの部活も青学と同じく、1年の夏までは基礎トレと球拾いだけで、コートでボールを打つことはほぼ無し。

夏〜秋頃になってようやくコートに入れるのですが、次の代の1年生が入部してきたら、指導ということで、2年生も一緒に1年生の練習メニューをこなしていました。

 

しかし、私たちが1年生の頃を思い返すと、1学年上の先輩たちは一緒に基礎トレなどやっておらず、すでにコートで打っていました。

私たちが2年生になっても3年生の多くが引退せず残っており、コートはほぼ3年生が使用している状態。そのため、私たちは2年の夏頃までまたボールを打てず、毎日基礎トレだけをやっていたのです。テニス部ではなく、筋トレ&ランニング部でした。

 

とはいえ、1年生にサーブ缶倒しゲームをやらせたり、ボロラケットで試合させたりなんかはしていませんよ!私は割と人に物事を教えるのが好きなので、ノリノリで1年生に教えていた方でした。が、コートで打てないことに不満を漏らす同級生がいたのも事実。

 

難しい世代ですよね、2年生って。上は先輩たちが詰まってるし、下からは追い上げてくる後輩がいるし。

特に青学のメンバーは中学生ですからね。まだストレスコントロールが難しい年齢だと思います。

竜崎先生は放任気味

「2年生の悪行は、部長である手塚くんが取り締まるべき!」という意見もあるかと思います。が、手塚くんは見た目こそ30〜40代の貫禄があるものの、まだ15歳の中学3年生。部員一人ひとりのメンタルまでコントロールするのは難しいと思います。

 

本来ならば、部で起きている問題は顧問の竜崎スミレ先生が解決しなければならないでしょう。

しかし、竜崎先生はかなりの放任主義。練習にもあまり顔を出していない様子。

これでは、青学の2年生荒くれ問題はいつまで経っても解決しなさそうですね。

 

来年、カツオくんとカチローくんが仮入部の1年生にサーブ缶倒しゲームをやらせたり、堀尾がボロラケットで試合させたりしないか心配です。

『新テニスの王子様』で描かれた1年後の青学の描写を見る限りは、大丈夫そうですね(海堂ストイック派閥、桃城エンジョイ派閥、カツオ汁派閥が生まれ、また別の問題が起きてそうではありますが)。