私の名前はジロギン。

HUNTER×HUNTERなどの漫画考察や、怪談・オカルト・都市伝説の考察、短編小説、裁判傍聴のレポートなどを書いている趣味ブログです!

異文化の壁


私の名前はジロギン。


私は基本的に土日休みの仕事をしているが、今日は日曜だが特別に仕事が入った。
仕事と言っても、誰もいない休日のオフィスでカタカタとキーボードを叩きながら必要なのかどうかわからない資料を作るとかではなく、仕事に関連するイベントに参加するだけだ。
もちろんその会場でやることもあり、仕事は仕事なのだが、振り替え休日も貰えているので、まぁ大したことではない。

 

 

朝いつもより早く起きて駅へ向かう。
日曜日にスーツを着て朝の街を歩くなんて、今考えると一度も経験がなかった。
でもまぁ、悲しいことに何事も初めて行うと大抵想定外のことが起きるものだ。

 

駅までの道中、工事をしていて歩道が100mくらいに渡って狭くなっている箇所がある。
人が2人並んで歩くといっぱいいっぱいになってしまうくらい狭い歩道だ。サイとか大型の動物なら通れないくらい狭い。本当はその倍くらいの広さがあるはずなのだが、ずっと工事をしていて狭い。

 

私がその道に差し掛かった時、私の目の前を4人の男女が歩いていた。男性2人、女性2人しかも横並びになっていて、完全に道を塞いでいたのだ。狭かっただろうに。
さらに参ったことに、その男女はフランス語らしき言葉で話している。外国の人だった。「すみませぇん」と言って突っ切ろうにも、もしかしたら通じない可能性もある。


さらに今日は日曜日。彼らはもう本当にちんたら歩いていた。確かに多くの人にとっては休日だから、急ぎの予定はないかもしれない。しかし私は仕事だから、出来る限り早く電車に乗って現地に到着していたい。


外国の人だから、異国の人間の事情を汲み取れない部分があって仕方がない。とはいえ私は急ぎたい。
前からも人が歩いてくるので、その4人もちょっと道を開けて人を通すのだが、後ろを歩く私としては、対向から人が歩いてくるので、その開いた道は通れないし、せっかく開いた道も、向かいから来た人が通り過ぎると、外国の人たちはまたその道を塞ぐように4人が横並びになってしまう。
まるでスライムにいくら穴を空けても塞がってしまうかの様に、4人は流動的ながらも横並びを崩さないのだ。

 

せめて言葉が通じれば…そして彼らにちょっと振り返ってもらって、「ああ、後ろからもスーツを着たジャパニーズが歩いてくるんよ。休日もお仕事ご苦労様で〜す」みたいに思ってくれれば良いのだが、恐らく観光で日本にやって来ている彼らにはその意識はないだろう…

 

まさに

異文化の壁

だ。
この4人が私に壁となって立ちはだかっている。200mほどの距離が、無限回廊のように感じる。無理矢理通ろうにも、この4人のうちの女性ですらフィジカルが私より遥かに上なのだ。確実に押し負ける…
弱い…フィジカルもメンタルも弱い…これがジャパンか!?ジャパンは世界じゃこんなにも弱っちいのか!?

 


結局私は異文化の壁を壊せることなく、200mの距離を歩いた。仕事に遅れることはなかったが、自分の無力感を感じた。
グローバル化が進み、ただでさえ価値観の違う個人の人間たちが、育った国すらも違うのが当たり前になってきている。私が考える当然、他人が考える当然、非常に細かいレベルでの異文化が大きな壁を生み、コミュニケーションを多様化、複雑化、させている気がした。
このままでは社会の流れに置いていかれてしまう。

 

彼らがフランス語を話してたということは、もしかしたら英語も通じた可能性はなくもない。話しかける言葉はExcuse meでもSorryでも良かったと思うのだが、「外国の人に声をかける」ということに私は恐れ、壁を感じてしまった。


駅前留学しようかな。