私の名前はジロギン。

HUNTER×HUNTERなどの漫画考察や、怪談・オカルト・都市伝説の考察、短編小説、裁判傍聴のレポートなどを書いている趣味ブログです!

【ハンターハンター】クラピカは憎き幻影旅団にも命を奪う重圧を感じていた!

様々な人間関係で縛られる現代。
関係のもつれなどから

「殺してしまいたい!」

と他人に対して思ってしまう。つまり殺意を抱くということですね。
いけないことですが、誰しも思うことですし、自然なことだと思います。


でも、この殺意の感情に駆られて、実行に移してしまうこと。こればかりは本当にやってはいけません。
それは殺意を抱いた相手に対する非道い行為であると同時に、自分に対しても非情な仕打ちになるからです。

 

ハンターハンターの登場人物の1人、クラピカ。
クラピカの生き様を見えていると、人の命を奪った張本人の心情というものがよく見えてきます。
人の命を奪うことというのは、とても辛く悲しいことで、やってはいけないことだと改めて思います。

 


クラピカとは?

少数民族・クルタ族の唯一の生き残りの少年です。年齢は17〜18歳。
金髪で民族衣装のような着物が特徴的です(物語が進むにつれ、スーツ姿が増えましたが)。

初登場時は二本の仕込み刀で戦うスタイルを基本としていましたが、念能力を覚えてからは、具現化した鎖で様々な系統の能力を使えるようになりました。

 

クルタ族は激しい怒りを感じると目が赤くなる特性を持ちます。これを緋の眼と呼びます。
緋の眼になったクラピカは、本来の具現化系から特質系へと変わり、どの念系統も100%の制度で使える「絶対時間(エンペラータイム)」を発動できます。


しかしこの緋の眼は、ある市場では超高額で取引されるお宝のひとつとされていました。
経緯は未だ不明ですが、凶悪な盗賊組織「幻影旅団」はクラピカ以外のクルタ族を虐殺し、緋の眼を強奪しだとされています。

 

クラピカは一族の仇を討つべく、幻影旅団壊滅を目指して、復讐の念がこもった鎖をもって幻影旅団と戦うのでした。

 

 

 


どれだけ恨んでいる相手でも、
命を奪う重圧は変わらない。


クラピカは最初に打倒する幻影旅団のメンバーをウボォーギンに定めます。
ウボォーギンは人を紙屑のように引きちぎるほどの怪力を持つ大男。念系統は強化系。


「強化系で旅団最強のパワーを誇るウボォーギンに自分の鎖が切られなければ、他の旅団も鎖で捕獲すれば素手でも倒せる」


という理論を証明するために、クラピカはウボォーギンと戦います。

ウボォーギンはクルタ族虐殺に参加していた当事者。まさにクラピカが復讐を向けるべき相手と言えるでしょう。戦闘前より静かな怒りを燃やしていました。

クラピカはウボォーギンに問いかけます。

 

「およそ関わりのない人間を殺す時…お前は、お前は一体何を考え、何を感じているんだ?」

 

と。この問いかけの裏には、「人の命を奪うことなんて真っ当な感情では出来るわけがない」というクラピカの考えがあると思います。
その通りですよね。
しかしウボォーギンの答えは

 

「別に何も」

 

という非情なる答え。
完全に悪人の答えですが、旅団の非情で非道な感じが出ています。これもこれで良いのですが、とても強い考え方ですよね。
ウボォーギンの答えにクラピカは怒り心頭に発しました。

 

「クズめ、死で償え」

 

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クラピカはここでウボォーギンを殺害することを決めたとみて間違いないでしょうね。

 

戦闘に自信ありだったウボォーギンですが、クラピカの念能力は、対幻影旅団のために作られた念。かなり一方的な勝負になりました。旅団メンバー以外に使えないが、旅団を捉えれば念を使えない「絶」の状態にする「束縛する中指の鎖(チェーンジェイル)」で捕らえられたウボォーギン。この状態ではクラピカの鎖を切ることは出来ませんでした。

クラピカは他の旅団メンバーがどこにいるかウボォーギンに吐露させるため、無防備なウボォーギンの体を殴り拷問を始めます。
しかし、

 

「…実に不快だ、手に残る感触、耳触りな音、血の匂い、全てが神経に障る。
なぜ貴様は何も考えず!何も感じずにこんなマネができるんだ!!答えろ!!」

 

とクラピカは人を殺す行為に対して激しい嫌悪感を示します。

結局「律する小指の鎖(ジャッジメントチェーン)」で定められたルールにウボォーギンが反し、念の力でウボォーギンは死亡します。
ウボォーギンが自ら死を選んだ形にはなりましたが、実質的にクラピカが殺害したも同然の状態です。

 


原作だとクラピカはこの後、冷静に行動し、ウボォーギンをその場に埋めて立ち去るのですが、旧アニメ版だと、ウボォーギンが死んだ後、クラピカは顔を押さえてその場に膝をついて倒れこみます。
緋の眼状態を続けると体力を激しく消耗するようですが、この旧アニメ版での描写は体力不足で倒れたというよりは、人の命を奪ったことの重圧にクラピカが耐えきれず、倒れこんでしまったような描写でした。

 

ウボォーギンとの戦闘前や戦闘中は人の命を奪うことに対して嫌悪感を示していたクラピカですが、原作ではウボォーギンの死後サラッと帰ってしまいます。切り替えが早すぎて、クラピカの方が仲間を売らず死を選んだウボォーギンより冷たい印象を受けてしまいます。

 

その一方で、ウボォーギンの死後、クラピカが嫌悪していた人の命を奪うことの重圧に押しつぶされそうになる描写を入れてくれた旧アニメ版は、しっかり回収してくれたなと思います。
このシーンが神回と呼ばれる理由の一つかもしれません。当時のアニメスタッフさんめちゃくちゃ優秀ですね〜。

 


このシーンから思うことは、

 

どれだけ恨んでいる相手であっても、その相手を殺したところで自分が救われることはない。むしろ苦しんでしまう。

 

ということですね。

 

クラピカはウボォーギンを倒した後も他の旅団狙います。
団員のひとりパクノダにもジャッジメントチェーンを仕掛けます。しかし、怒りに任せてその場で殺すことはしませんでした(クラピカは殺すつもりはありませんでしたが、ウボォーギン同様パクノダもルールを破って死を選びましたが)。


こういうことからもクラピカは「怒りや恨みに任せて仇を討ったところでろくなことにはならない」ということに気がついたのではないかと思います。やはりウボォーギンとの戦いの後のクラピカのリアクションが旅団編後半のクラピカの行為に根拠を持たせてくれます。

 

私たちの生きている世の中にも毎日のように殺人事件が入ってきます。
確かに「殺してやる!」って思うことはあっても、その事件の裏では後悔しか残されていないと思います。誰かが救われることはないでしょう。

誰かを殺したいほど憎むことはあるかもしれませんが、その気持ちを行動に移したら苦しむのは自分なのだということを理解したいですね。
そうすれば優しい気持ちで生きられるのではないでしょうか。

 

 

ちなみにクラピカはこの後、旅団を追うために利用していたノストラードファミリーというマフィアの若頭となっています。
しかも若頭となったクラピカの言動からは「多くの無法者を闇に葬ってきたぜ」的な感じがしないでもないです…

そっち側に行ってしまったのか…クラピカさん…

 

 


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