アルカをめぐるゾルディック家のキルアとイルミを中心とした抗争は、ゾルディック家に適用される「家族内指令(インナーミッション)」と呼ばれるルールに則って行われました。
このインナーミッションは要するに「家族喧嘩・兄弟喧嘩」の類なのですが、作中でわかっているだけでも凄まじい数の犠牲者がこの喧嘩(イルミとキルアの)によって発生しているのです。
今回はゾルディック家の「家族内指令(インナーミッション)」がいかに危険か、まとめていきます。
家族内指令(インナーミッション)とは?
(引用:HUNTER×HUNTER 31巻114P/冨樫義博)
ゾルディック家におけるルールのひとつです。
家族それぞれの考え方や方針が異なった際に暗黙の了解的に発動されます。
この時はあえて家族で話し合って意見を統合したりなどはせず、自分の望むやり方を通すために最大限の努力をする真剣勝負を行います。
作中ではアルカ(ナニカ)をめぐってのインナーミッションが繰り広げられました。
キルアは「アルカ(ナニカ)の力で瀕死のゴンを救い出したいし、軟禁中だったアルカを自由にしたい」。
シルバやゼノは「アルカ(ナニカ)を自由にコントロールしたいものの、できればキルアに危険がないようにしたい」。
イルミは「ゾルディック家全体に危険が及ぶかもしれないアルカを始末したい」。
このような意見をそれぞれ持っており、各自が命がけで行動していました。
実際に動いていたのはキルアとイルミになるのでほぼ兄弟喧嘩に近かったのですが、その被害が尋常じゃないのです。
多数の一般人犠牲者
アルカをめぐる騒動には全く無関係の一般人まで巻き込まれています。
イルミは自分の仕事中にどうしても人手が必要になった際には「針人間」を使います(仲間はヒソカ以外いないので。厳密にはヒソカとも仲間というよりは仕事上の付き合いがある程度です。仲は悪くなさそうですが)。
「針人間」とは、イルミのオーラが込められた針を刺され、イルミの思いのままに動く人間のことです。
飛行船に乗って逃げたキルアを追跡するために多数の針人間とされた犠牲者が出ました。
(引用:HUNTER×HUNTER 31巻161P/冨樫義博)
ターゲットとなるのはだいたい一般人のようで、この時のインナーミッションでも十数人〜数十人がイルミに操作されたようです。
操作された人間は針が刺さったと同時に廃人同然になってしまいます。
イルミに強力な仲間がいればこんなことにはならずに済んだのですが、ゾルディック家は「暗殺者に友達はいらない」という方針ですので、人手が要る時には念の針で強制的に手伝わせるしかないんですよね。
手っ取り早いしお金もかからないですが・・・恐ろしすぎますわ・・・
ハンターさえも犠牲に
ハンター十ヶ条其乃四では、ハンター同士は互いを狩るべき対象としてはいけないとしていますが、あまりにも悪質な行為を働くはハンターについては狩るべき対象と定められています。
イルミの行為は同胞であるハンターのキルアを攻撃対象にしており、かつ一般人にも犠牲を出す悪質な行為として十分該当するものでした。
ハンターの中にはこういった悪行を働くハンターを取り除くべく、十ヶ条改定やハンター試験そのものの見直しを唱える派閥がハンター協会内にあり、その筆頭が、テラデイン、ルーペ、ブシドラの3名。
彼らは過去に会長のネテロが所属した「清凛隊」を組織し、その力を示し、ハンター十ヶ条見直しをよりアピールするための事例とするためにイルミとヒソカの打倒に挑みましたが全滅しました(本当は針人間を捕獲することに全力でかかれば十ヶ条改定を呼びかける十分な証拠になったのですが、イルミとヒソカを倒すという背伸びをしてしまいました)。
(引用:HUNTER×HUNTER 31巻178P/冨樫義博)
この際に、ブシドラを含むイルミ、ヒソカ打倒に乗り出したプロハンター8名、および、ハンターサイトの公募で集まったプロハンター15名、アマチュアハンター98名の合計121名が少なくとも死亡しています。
さらに彼らの代表であったテラデインまでもヒソカに暗殺されました。
プロアマ問わずハンターにも多数の犠牲者が多数。
アマチュアハンターはさておき、プロハンターが挑んでもヒソカとイルミは無傷でしたので、プロハンターと言ってもピンキリなのだなと思い知らされたシーンでした。
ゾルディック家執事にも犠牲者が
イルミが言及していましたが、インナーミッション内では「家族は殺さない」というルールがあるようです。
イルミがこのルールを口にした裏には「家族は殺さない(アルカは家族とは認められていないから殺すけどね)」という意味合いがありました。
結果的にアルカは死なず、キルアもイルミも死ぬことはありませんでした。
ただですね、このルールは本当に「ゾルディック家の家族」にのみ適用されるルールであり、例えばゾルディック家に使える執事たちには適用外のようです。
作中では、まず執事であるゴトーが犠牲になっていました。
ヒソカと戦闘を行い敗北。そのまま殺害されてしまいました。
ゴトーはキルアをまるで我が子のように感じて優しく接していた執事でしたが、インナーミッション内で邪魔となるのであれば容赦なく始末してしまうのです。
(引用:HUNTER×HUNTER 31巻145P/冨樫義博)
さらにもう一人、ヒシタと呼ばれる執事がイルミの針で操作されていました。
おそらくヒシタも他の針人間同様廃人状態となってしまったことでしょう。
このように、いくら執事といえどもインナーミッションに関われば命を狙われてもおかしくないのです。
イルミはヒソカに「執事は排除していい」と言っていましたので、始末する気満々でした。
(引用:HUNTER×HUNTER 31巻186P/冨樫義博)
ゾルディック家のために従事してきた執事たちですが、こういった喧嘩が起こるたびに巻き込まれて死ぬ危険性まであるとしたらたまったものじゃないですよね。
ゴトーはヒソカ相手だから迎撃したものの、イルミなどの家族が相手であれば手出しできないでしょうから、殺されるしかないと思います。
ゾルディック家の執事には絶対就職したくないですね・・・
関連記事:【ハンターハンター】ゴトーの能力からゾルディック家執事の月収・年収を予想してみた! - 私の名前はジロギン。
ゾルディック家の家族内指令(インナーミッション)に巻き込まれてはいけない…
インナーミッション内で家族は殺さないと言っても、ゾルディック家は全員が暗殺者という特殊な家系ですから「殺さない」の定義が一般人の定義とずれまくってるんですよね。
イルミが狙っていたのは、キルア以外からは家族と認められていないアルカだったとはいえ、車を崖に転落させたり、戦闘兵と化した針人間を使ったり、気まぐれで誰を殺すかわからないヒソカに協力を仰いだりなど、アルカに同伴しているキルアも間違いなく巻き込まれる危険な状態を作り上げていました。
果たしてこれは殺す気が無かったと言えるのか否か・・・一応ヒソカが「キルアを殺すのはアリか?」と聞いた時にイルミはブチギレてましたのでルール通り家族であるキルアは殺す気はなかったようですが。
インナーミッションの存在をキルアが知っていたということは、過去にも何度かインナーミッションが発令された時があったのだと思います。
ほぼ間違いなくキルアは家族に反発したでしょうから、イルミなどと意見が合わないことも多かったはず。
でも昔のキルアは念能力を使えなかったわけで、自分の意見を通すには圧倒的に不利な状況だったことでしょう。
じいちゃんや親父、兄貴は超一流の殺し屋ですからね。キルアがなおさらグレてしまうのが容易に予想できます。
それにしてもゾルディック家のインナーミッションは凄まじいですね。
今回は危険を孕むアルカ(ナニカ)を殺害するという意味で大規模になりましたが、もしかしたら、ごく小規模な家族内の争い、例えば「今日のゴミ出しは誰がするのか」みたいなことでも意見が割れればインナーミッションが発令されるのかも・・・?
だとしたら、はた迷惑すぎますね。いや、そういう日々の小競り合いが起きないようにするためにゾルディック家にはたくさんの執事がいるのかな。