カイトと共に、キメラ=アントが増殖中のNGLを探索していたゴン・キルア。
途中、カイトの念を察知したピトーが3人の前に襲来します。
ピトーの異常なオーラに気圧されたゴンとキルア。ゴンは臨戦態勢をとりましたが、キルアはゴンを気絶させ、逃げる選択をしました。
このキルアの選択は、カイトから「良い判断だ」と言われていましたが、その後に出会った手練れたちからは、あまり良い評価を得られていません。
個人的にはカイトと同じく、ピトーから逃げたキルアの判断は正しいと思います。その理由をまとめてみました。
モラウ・ノヴにディスられたキルア
ピトーから逃れたキルアは、キメラ=アント討伐のためにやってきたネテロ・モラウ・ノヴと出会います。
一目見ただけで3人の強さを理解したキルアですが、それでもピトーには勝てる気がしないとのこと。
ピトーのオーラを垣間見て意気消沈していたキルアに対し、モラウは以下のような言葉をかけました。
- 念使い同士の戦いで「勝ち目」なんて言っている時点でお前はズレてる
- 相手の能力が分からないのは当たり前
- オーラ総量の多寡で勝負は決まらず、気休め程度の判断材料にしかならない
- 勝敗は揺蕩ってて当然。それでも100%勝つ気で戦うのが念使いの気概
- 相手のオーラに気圧されて逃げた時点でお前は失格。敗者以下
めっちゃディスられてますね。要は敵の強さをオーラの質やら量やらで決めるのは、念能力者の戦い方として二流以下だと。
そしてモラウは、ピトーに対して戦闘態勢に入ったゴンをキルアが気絶させたことを知ると、ゴンの方が見込みがあると評価しました。
ノヴもキルアに「人は得体の知れないものと出逢うと過大に評価してしまうもの。キミはパニック状態になっているから帰れ」的なことを言います。
2人ともキルアを未熟者であり、念能力者としてナンセンスな行動をしているといると見なしていたようです。
ビスケにも厳しく言われたキルア
その後、ビスケと極秘特訓をしたキルア。本気モードのビスケと戦ったようですね。
そしてキルアはビスケに「見切りの早さ」を指摘されます。
キルアは、敵が常に万全なMAXの状態であると考え、互角以上の相手を前にすると勝てる可能性を全て放棄して「どう逃げるか」を考えてしまうと、ビスケは酷評しました。
戦闘能力はそのときの環境や体調によって上下し、格上の敵だとしても、その者がベストな状態でなければ、格下でも勝てる可能性がある。それを諦めてしまうキルアは負け犬の思考をしていると、ビスケは言うのです。
ただし、この思考はキルアが生まれ持っていたものではなく、キルアに戦闘を教えた者によっての植え付けられたものだと、ビスケは付け加えています。
敵をMAXの状態だと考え逃げを選ぶというのは、ピトーを前にキルアが取った行動と同じですね。
実はこのキルアの考え方はイルミが仕込んだ針によるもので、それを取り除くことで解決したのですが、長い間キルアの悩みの種でもありました。
イルミとしては、キルアを強敵と戦わせず死なせないための対策だったようですが、ここぞというときに戦えない呪縛となり、キルアを苦しめていたのです。
ビスケからは、今の状態ではいつか、キルアはゴンを見殺しにするとさえ言われる始末。
書いてて、キルアがかわいそうになってきました。
キルアがピトーから逃げたのは正しい判断だったと思う理由
モラウ、ノヴ、ビスケと、散々な言われようのキルア。
特にモラウの言葉は痛烈ですね。
ただやはり私は、キルアがピトーから逃げた判断は、間違いではなかったと思うのです。
そう考える理由をまとめていきます。
ピトーと戦って勝てる可能性はほぼゼロ
ピトーの力は作中で描かれた通りで、カイトと戦った際は「発」を身に付けていませんでしたが、それでもキメラ=アントの中でトップ。間違いなく、当時のゴンとキルアが勝てる相手ではなかったでしょう。
奇襲により片腕を失っていたとはいえ、シングルハンターのカイトですら殺されてしまうほどでしたからね。
ビスケのいう、MAXの状態ではなかったとしても、ピトーはゴン・キルアを余裕で仕留められていたはず。
実際にピトーは、片腕を失ったカイトと戦うのを優先し、ゴンとキルアはガン無視でした。2人を合わせても、片腕のカイト未満の実力しかないと判断したのでしょう。
仮にゴンとキルアが加勢したとしても、カイトの足手纏いになって、より戦況を悪化させた可能性さえあります。
キルアの判断はカイトを見捨てることになりましたが、残ったとしても戦力として役に立てたとは思えません。カイト1人で戦った方が、生存率は高かったでしょう。
とにかくピトーが規格外過ぎますね。それまでカイト・ゴン・キルアが戦ってきた兵隊蟻全員を合わせても、ピトーの方が遥かに強かったでしょう。
王直属護衛軍には全力のネテロですら勝てるか怪しい
モラウは「オーラの多い少ないは気休めにしかならない」、ノヴは「得体の知れないものに出逢うと過大に評価してしまうもの」と言っていましたが、これは2人がピトーを含む王直属護衛軍を直接見ていない状態だったからこそ言えたセリフだと思います。
ピトー、プフ、ユピーのオーラ量は、人間のそれとは桁外れだったことでしょう。実際にナックルはユピーのオーラ量を、過去戦った5000人の誰よりも多いと推測しています。オーラ量だけで人間を威圧するには十分過ぎたはず。
また、ノヴはプフのオーラに近づき、完全に心が折れてしまいました。
プロハンターの中でもトップクラスの念能力者であろうノヴですら、近づくだけでメンタルをやられてしまうほど、護衛軍のオーラは脅威的ということです(それでもピトーに立ち向かおうとしてるゴン・キルアを、ノヴは改めて高く評価してましたね)。
護衛軍は、人間の念能力者同士の価値観が当てはまる存在ではなかったでしょう。
当時のモラウ・ノヴは人間か、人間界に存在する魔獣との戦闘経験しかなかったでしょうから、ピトーを見たキルアの気持ちを理解しきれなかったのではないかと思われます。
ネテロですらピトーを見ただけで「あいつ、ワシより強くねー?」と評価するほどでしたし、護衛軍&メルエムと間近で接触したコルトはネテロの「練」を見て、「王には勝てないどころか、護衛軍に殺される」と判断していましたからね。
護衛軍は、ビスケとの修行前のゴンとキルアが、どうこうできる相手ではありません。
ゴンとキルアがキメラ=アントになるのは危険すぎる
最悪なのは、ゴンとキルアが捕まってキメラ=アント女王の養分になり、キメラ=アントに転生してしまうか、ピトーとプフに改造されてキメラ=アントになってしまうことでしょう。
ゴンとキルアは、念能力者の中でも高い才能を有し、爆発的に成長した逸材。そんな2人がキメラ=アントになったら、人間側の脅威は増大すると思われます。
少なくとも師団長クラス、あるいは護衛軍並みのキメラ=アントになっていたかも……
そう考えると、カイトがやられてしまったとしても、ゴンとキルアが逃げることには大きな意味があったと思うのです。
ビスケの発言はアドバイス、モラウとノヴの発言は嫌味っぽい
ここまでの理由から、私はキルアがピトーから逃げたのは、カイトと同じく「良い判断」だと考えています。
ただ、ビスケがキルアの「見切りの早さ」を指摘して強く言ったのは、キルアの戦いの根幹に関わる部分だったので、師匠としてのアドバイスの側面が強かったと感じます。
キルアはピトーが相手でなくても逃げ腰になってしまうことがあり、長い間悩んできました。それを自覚し、治すためにはビスケからの指摘が必要だったことでしょう。
ビスケは師匠として、キルアの人生に必要なことを言ってくれたように思います。
ただ初登場時のモラウとノヴの発言は、敵前逃亡したキルアに対して嫌味を言っているように聞こえますね……「お前は念能力者として未熟なんだ」と言っているだけで、アドバイスしているような感じではありません。
2人ともキルアの師匠ではないので、アドバイスする必要もないのですが……「同じことをピトーを目の前にして言えるのか?」と、反論したくなってしまいます。
事実ノヴは、護衛軍に向き合えずに戦線離脱し、再度戦場に戻ってきたときはストレスで禿げてしまってましたからね。実物のピトーを前にしたら、髪だけでなく体ごと消滅していたかもしれません。
モラウ、ノヴの言っていることも間違いではないと思うのですが、キルアが直面したのはピトーという例外中の例外。人間の念能力者相手の理屈は当てはまらないだろうな、というのが個人的な意見です。
マジでカイトだけでなく、ゴンもキルアも捕まってたら人間側は壊滅していたかもしれません……やっぱりキルアの逃げは最善の選択だったと思うんだよなぁ……