都内某所の地下鉄駅だ。
地上に出るまで数回エスカレーターを乗り換える。階段で登ると息切れしてしまう。まだ年齢的に若いのに、情けない。
初めのエスカレーターを乗り、2つ目のエスカレーターに乗る。
2つ目のエスカレーターの途中に「それ」がある。
シミ
上りエスカレーターの左側。
石のような質感の壁になっているのだが、
その一部分にシミがある。
手のひらより小さいシミ。
シミというより「濡れている」に近い。
石に水をかけたように、一部分だけ色が違う。
他の部分と比べて明らかに濃い。
最初に見かけたときはなんてこともなく見過ごしていたが、さすがに1ヶ月、半年、そして1年経っても残っていたら気にするなという方がおかしい。
その駅は比較的多くの人々が使う駅であるため、清掃員の方も多い。
毎日清掃している人たちであれば、そのシミに気がつかないことはまずないはずだ。
しかしあのシミは未だに残り続けている。
一度そのシミが薄くなっていたことがある。
しかし消えたわけではない。さらに言えば翌日にはシミは復活していました。
考えられるのは、
「落ちない何かが付着している」
例えば…血。
だとしたら何か恐ろしいことがそこで起こったに違いない。あまり考えたくないが、そのシミの位置が、エスカレーターに立った時に大体頭の位置くらいにあるのも想像を駆り立てられる…
他には
「誰かが塗っている」
清掃員の方が掃除を終えた後にご丁寧に誰かが塗っているのかもしれない。
なぜそんなことをしているのか、まったくわからない。本当にそんなことをしている人がいるとしたら、他人の習慣の不気味さを感じる。
そのシミに触ってみたら何かわかるかもしれないが、触りたくはない。気味が悪いのもそうだが、触ったら、そのシミに触ること以上に危険なことに触れてしまう気がするから。