287期ハンター試験の3次試験は、トリックタワーと呼ばれるさまざまな罠が仕掛けられた塔を72時間以内に降りるというものでした。
ゴン・キルア・クラピカ・レオリオ・トンパのグループは道中、懲役100年以上の刑に服す超長期刑囚たちとの命をかけたゲームに臨みます。ゲームは囚人が提案するため、どのような内容かは直前まで不明です。
作中でゴンはセドカンという囚人が提案した「不自由な2択」であるクイズに臨みました。セドカンは体力に自信がないため文字通りゲームに近い内容でしたが、別の囚人であるベンドットとジョネスはデスマッチ(ジョネスは一方的な惨殺)を提案。もしゴンがこの2人とゲームをすることになったら、命がけの戦闘をしなければならなかったでしょう。
当時ほとんど戦闘経験がなかったゴンですが、ベンドット・ジョネスと戦ったら勝つことはできたのでしょうか?考察します。
ベンドットとは?
ベンドットは、トリックタワーで受験生を待ち構えていた超長期刑囚の一人。スキンヘッドに顔の傷が特徴的なマッチョおじさんです。強盗殺人の罪で懲役199年の刑に服していました。
ゴンたちの前に立ちはだかった5人の囚人のうち、最初に勝負を仕掛けたのがベンドット。相手は新人潰しのトンパ。おじさん同士の戦いとなりました。
ベンドットは「どちらかが参ったと言うか死ぬまで戦い続ける」というデスマッチを提案し、トンパは了承。しかしトンパには戦うつもりなど一切なく、勝負開始の直後に土下座しながら「まいったァーーー」と宣言(土下座は不要)。
勝負にならないままベンドットの勝ちが決まりましたが、実はベンドットはある作戦を立てていました。それは、速攻でトンパの喉を潰し、参ったと言えないようにしながら試験終了まで時間稼ぎをするというもの。キルアの見立てでは、ベンドットは元軍人か傭兵であり、拷問などにも精通していた可能性が高いとのこと。
トンパが真っ先に降参していなければ、なぶられ続け、ゴンたち全員試験失格になっていたでしょう。
解体屋ジョネスとは?
解体屋(バラシや)ジョネスは、ベンドットと同じ超長期刑囚の一人。大量殺人の罪で懲役は968年。ザバン市犯罪史上最悪の殺人鬼と呼ばれ、老若男女問わず判明しているだけで146人もの人間の命を奪ってきたパーフェクトサイコ野郎です。
死体は全て50個以上のパーツに分解されていたことから、ジョネスは解体屋と呼ばれ、解体作業は全てジョネスが素手で行っていました。
ジョネスは超人的な指の力で人体を引きちぎり、石の壁まで砕きます。
試験ではキルアと対戦。ベンドットと異なり、「受験生を足止めした時間、1時間につき懲役年数を1年減刑」という試験の恩赦に一切の興味を示さないジョネスは、人肉をえぐることだけしか考えていません。しかし、キルアの肉をえぐろうとした瞬間、逆にキルアに心臓をえぐり出され、潰されてしまいました。
キルア曰く、大量殺人鬼といっても所詮はアマチュアで、元プロの暗殺者である自分とは大きな力量差があったとのこと。キルアの頼もしさを示すシーンになりましたとさ。
ゴンがベンドットかジョネスと戦ったら勝てたのか?
では本題。もしゴンがベンドットかジョネスと戦っていたら勝てたのでしょうか?
戦闘の姿勢に大きな差があった
当時のゴンは、大自然の中でのびのびと育った純朴な少年。もちろん命をかけた戦いなど経験したことはなかったでしょうし、他人の命を奪ったこともなかったはず。ただ運動能力が極めて高い一般少年でした。
そんなゴンは作中中盤ごろまで殺人を良しとせず、自身だけでなくキルアやクラピカにも、人の命を奪わせまいとしていました。
一方で、ベンドットとジョネスは人を殺す気満々。2人とも殺人が関わる罪状で逮捕されていますし、刑期の長さからしても1〜2人殺したなんてレベルではないと思われます。ジョネスは判明しているだけで146人も殺してますから、殺人に対する抵抗感などとうの昔に失っているでしょう。
人の命を奪うつもりのないゴンと、殺人もいとわないベンドット・ジョネス。双方、戦いに臨む姿勢に大きな差がありました。しかもベンドットはおそらく元軍人か傭兵で、ジョネスは大量殺人鬼。殺しのハウツーを熟知しています。
ゴンが戦う相手として、ベンドットとジョネスは危険すぎたと考えるべきでしょう。
ベンドット・ジョネスともデスマッチ以外を仕掛けてくる可能性は低い
そもそもベンドットとジョネスがデスマッチを仕掛けてこなければ、ゴンはセドカンと戦ったときのように勝つことができたかもしれません。ただ、その可能性はほぼ無し……
ベンドットは、明らかに戦い慣れしてなさそうなおっさんのトンパ相手に、問答無用でデスマッチを仕掛けていました。しかもベンドットはトンパの喉を潰して、死なない程度に拷問して時間稼ぎをしようと計画してましたから、誰が相手でも同じことをしていたでしょう。
ジョネスは恩赦に興味なし。目の前の相手の肉をつかむことしか頭になかったので、別の試験を提案する可能性はゼロだったと思われます。
つまりゴンは、ベンドットかジョネスと戦うことになったら、その戦闘内容はほぼ確実にデスマッチになっていたということです。
当時のゴンでは勝てないかも…
人を殺せるだけの精神やスキルを持つサイコおじさんのベンドットとジョネスを相手に、ゴンが勝てた可能性は低かったでしょう。ジョネスの言う「一方的な惨殺」が現実になっていたと思われます。
そもそも、この2人に対してゴンが勝つには相手を殺すしかないため、殺人をするつもりのないゴンに勝ち筋はなかったとも考えられます。
ジョネスの提案(希望)はルールなしの殺し合いだったため、キルアのようにジョネスを殺さない限り止まらなかったはず。
ベンドットの仕掛けた戦いは「参った」と言わせれば勝つことができましたが、ベンドットを殺さずに長時間苦しめるようなことをしても、試験時間が伸びれば減刑される彼らにとって長期戦は望むところ。ベンドット相手にゴンが勝つには、やはり殺すしかなかったでしょう。
ゴンが相当覚悟を決めなければ、ベンドット・ジョネスの突破は無理だったというのが個人的な考えです。それに、ゴンに殺人を強要させるような勝負内容であれば、そもそもレオリオあたりが止めていたとも思います。ジョネスが登場したとき、レオリオは試験自体を投げ出してでも勝負するべきではないと判断していましたし。
ベンドット・ジョネスに対してゴンの勝ち筋があるとすれば…
個人的な結論として、戦闘経験ほぼゼロだったゴンが、元軍人か傭兵のベンドット、大量殺人鬼のジョネスに勝てる可能性は限りなく低かったと思います。
ゾルディック家でゼブロさんの修行を積んだ後なら、ベンドット・ジョネスを軽く押すだけでリングアウトさせることができたでしょう。しかし、囚人たちと戦ったリングの周囲は奈落になっており、落ちたら死ぬことはほぼ確実。殺人をする気がないゴンは、押し出せる力があったとしても実行はせず、自分から棄権していたかもしれません。
もしゴンが「殺人をしない」という信念を折り曲げて、試験を突破することを最優先にしてベンドット・ジョネスと戦ったとしたら……以下のような方法でなら戦闘経験の差を埋められたのではないでしょうか。
ゴン持ち前の運動能力で逃げ回り、隙を見つけて釣竿の針を相手の眼球に刺す
→くじら島で主を釣り上げたときのようなパワーで眼球を引き抜く
→それでも参ったと言わなければもう片方の眼球も同じ手順で釣り上げる
→参ったと言わなくても出血によりベンドット・ジョネスは死ぬ
……うーん、やっぱりゴンがこんな惨たらしいことをするとは思えないなぁ……