キルアの兄であるイルミは、顔を変形させ「ギタラクル」としてハンター試験を受けていました。
受験理由は「仕事の関係上、資格が必要になったから」とのこと。
出典:HUNTER×HUNTER 5巻9P/冨樫義博/集英社
イルミはキルアより一回り年上。もしキルア同様、幼少期から暗殺の仕事をし続けていたとしたらキャリアは十数年ほどになるでしょう。
そんなイルミが、今更仕事で資格が必要になるなんてことがあったのでしょうか。
今回は、イルミが具体的にどんな理由でハンターライセンスを必要としていたのかを考察します。
暗殺者がプロハンターである必要はない
そもそも、暗殺者がプロハンターである必要はありません。
キルアはハンター試験を受験する前から暗殺者として活動していたようですし、イルミ本人もプロハンターではありませんでした。
資格や許可があれば殺人を犯してもいいというのもおかしな話。
もちろん殺人は重罪であり法で禁止されていますが、やろうと思えば誰でもできてしまうことです。キルアやカルトのような子供でも。
イルミおよびゾルディック家の考え方として、プロハンターになることは暗殺の仕事をする上でマストではないと思われます。
ハンターライセンスの効力がイルミにとって重要だった?
以上のことから、イルミにとってハンターライセンスを取得する目的は、純粋に「プロハンターになるため」ではなかったと考えられます。
イルミの言葉に「資格がとりたい」とありますので、ハンターライセンスの効力そのものが重要だったということでしょう。
出典:HUNTER×HUNTER 5巻42P/冨樫義博/集英社
ここからは、作中で言及されたハンターライセンスの主な効力と、それがイルミの仕事に役立つのかどうかを考察します。
公的施設の95%が無料で利用可能
ハンターライセンスを取ることで公的施設の95%は無料で利用可能となります。
この効力がイルミの仕事において重要かというと…少し違うように思います。
「無料で利用できる」という効力であり、公的施設自体はハンターライセンスなしでも利用可能なはず。
この効力のために命の危険もあるハンター試験を受験するリスクはあまりにも大きすぎます。
どうしても利用したい施設があるなら、お金を払った方が早いでしょう。
ゾルディック家は広大な屋敷を構え、多数の使用人を抱える大金持ち。
お金で解決できる問題のために、イルミがハンターライセンスを取る意味はないように思えます。
多額の融資を受けられ、売れば人生7回くらい遊んで暮らせる
銀行から一流企業並みの融資が受けられ、売れば人生7回くらい遊んで暮らせるハンターライセンス。
一回取得すれば、お金に困ることはありません。
先ほどの理由と同様、お金に関する効力はイルミにとって大したメリットにならないでしょう。
もしお金が欲しいだけなら、暗殺の仕事なんてせず取ったハンターライセンスを売れば解決です。
イルミはお金以上にゾルディック家の存続や威厳などを重視していると思われます。
伝説と呼ばれる家系を絶やさないためにも、キルアに過保護すぎるほどの教育を施していたわけです。
お金ではなく、暗殺者として稼働し続けることがゾルディック家において大切だと考えているはず。
つまりイルミは純粋に「暗殺の仕事をする上でのハードル(お金以外)を解消するためにライセンスが必要だった」のではないでしょうか。
入国禁止の国・立入禁止地域の一部に入れる
ライセンスカードがあると、入国禁止の国の90%、立入禁止地域の75%まで入ることが可能となります。
未開の土地を探究するハンターたちにとって、この効力はかなり重要です。
おそらく、イルミもこの効力が必要でハンターライセンスを取得しようと考えたのではないでしょうか。
本来なら入国できない国のターゲットを暗殺する仕事が来たため、ハンターライセンスを取って入国する「資格」を得ようと思った。
イルミの言葉にも当てはまります。
キルアが家出して、仕事をしてくれる人が減ったゾルディック家。
本来断ったり、シルバやゼノが担当していたりした仕事もイルミが対応することになり、今更ながらライセンスが必要になった、なんて考察もできそうです。
ハンター専用のサイトを利用できる
さらにハンターライセンスを取得することのメリットとして、ハンター専用のサイトを利用できるという点があります。
非常に情報量が多く、普通では入手できない情報が出回っていることも。
このサイトなら、例えばほとんど情報が出回っていないターゲットについて調べることが可能な場合もあるでしょう。
例えば幻影旅団のようなターゲットなら、ハンター専用サイトを使いながら情報を集めないと辿り着くことすら難しいはず。
このような未知の部分が多いターゲットを暗殺する仕事を請けたことで、イルミはハンターライセンスが必要になったとも考えられます。
ゾルディック家にはブタくん(ミルキ)という優秀なハッカーがいるので、ライセンスがなくてもハンター専用サイトに入ることは可能でしょう。
実際にミルキも無断侵入できると言っています。
しかし同時に、ネット警察やハッカーハンターを敵に回すリスクについても言及し、やりたくなさそうにしていました。
出典:HUNTER×HUNTER 8巻110P/冨樫義博/集英社
ライセンスさえあれば、ミルキにターゲットの情報収集をさせつつ、イルミは現場で行動できる。
このような連携を取る必要が出てきたため、イルミはハンター試験を受験したのではないでしょうか。
ブタくん自身は長年引きこもってますので、ハンターライセンスは持ってないでしょうね。
イルミがハンターライセンスを必要とした理由のまとめ
では、イルミがハンターライセンスを必要とした理由をまとめます。
私は、以下の2つである可能性が高いと予想しました。
・入国禁止の国、または立入禁止地域のターゲットを暗殺する仕事を請けたから
・ターゲット本人や関連する情報を得るためにハンター専用のサイトを利用する必要があったから
わざわざハンター試験を受けるほどの仕事ということは、ゾルディック家(イルミ)にとってかなり大口のクライアントからの依頼だったんでしょうね。
どのみちイルミがハンターライセンスを取れば、今後も同じような依頼に対応できるので、いつかは取得するつもりでいたとは思います。
イルミがキルアの合格を妨げた理由は?
イルミは「ハンターラインセンスは必要な時期がくればオレが指示する」と言って、キルアの合格を妨げました。
しかしキルアにもハンターライセンスを取らせた方がゾルディック家にとってメリットがありそうです。キルアもできる仕事の幅も広がったのではないかと。
その上で、イルミはキルアを家に帰るよう促せばよかったように思います。
なぜイルミはキルアの合格を妨げたのでしょうか。
それには念能力が関わっているのではないかと思われます。
先述の通り、ハンターライセンスを取得するとハンター専用サイトにアクセスできます。あらゆる情報が載っているサイトです。
もしキルアがライセンスを使ってアクセスしたとしたら、念能力について自力で辿り着いてしまう可能性があります。
ゾルディック家は家族だけでなく執事にも念能力者がいる環境です。そんな環境に育ちながら、キルアは念能力の存在すら知りませんでした。
これはゾルディック家が意図的に、キルアに念能力を隠していたためだと思われます。
もしかしたら、習得させたい念(発)があり、キルアが独自で念の修行をしてしまうのを防ぎたかったのかもしれません。
幼少期の修行でキルアが「天空闘技場の200階まで」到達することを課されていたのも同じ理由だと思います。
200階からは念能力者に接触し、念の存在に気付く可能性があったから直前でリタイアするよう指示したのではないでしょうか(単に念なしで200階に挑むのは危険だという理由も考えられますが)。
あるいは、単にイルミが確実に合格したかっただけ…?
キルアが次の試合で、ボドロかレオリオにギブアップさせる可能性に賭け、脅したのかもしれません。
確実に合格するために弟を追い詰めるとは…ちょっと意地悪なお兄さんですね。
イルミならボドロにもレオリオにも余裕で勝てたでしょうに。