クラピカの話では、一流のハンターは人と自然の秩序を重視し、貴重な動植物や文化遺産を見つけた場合は保護を優先するとのこと。
生き物や宝をハントして金を稼ごうとするのは、二流以下だそうです。
実際に作中でも、お金になるならないに関わらず、専門分野の研究に熱心なハンターが活躍していますね。
そんな中で異色のプロハンターがいます。
あのツェズゲラさんです。
ツェズゲラは「懸賞金(マネー)ハンター」であり、ハントは全て金のためと言い切っています。
しかし、二流以下のハンターではなく、プロハンターの中でも上位の星持ちハンターです。
出典:HUNTER×HUNTER 13巻151P/冨樫義博/集英社
そんなツェズゲラを見て思うことがあります。
お金が欲しいなら、ハントなんてせずにハンターライセンスを売ればいいのではないか?
と…
そこで今回は、ツェズゲラがハンターライセンスを売らない理由を考察しました。
ツェズゲラとは
グリードアイランド編で登場したプロハンターの男性です。
大富豪・バッテラ氏に雇われており、作中ではグリードアイランドのクリアを目的に活動していました。
ツェズゲラは「仕事(ハント)は全て金のため」と公言している「懸賞金(マネー)ハンター」で、その功績が認められ一ッ星(シングル)ハンターの称号を得ています。
特技は垂直跳び。ベストは16m80cm。
ゴン、キルアがツェズゲラと初めて会ったとき、すでに彼はグリードアイランドを8割型クリアしており、ベテラン気取りでした。
バッテラ氏に雇ってもらおうとするゴン・キルアに「『練』を見せろ」と言って、上から目線で実力を測ろうとしたツェズゲラ。
しかし、言葉の真の意味すら理解しておらず、そのまま「練」をやってみせた2人を「グリードアイランドに行っても逃げ回って死ぬのがオチ」と評価しました。
そんなツェズゲラの特技は垂直跳び。ベストは16m80cm。
よほどの悪人以外に怒りを見せることのないゴンですが、ツェズゲラの態度にはブチギレ。
怒りを数日間引きずるほどでした。
読者からしても、ツェズゲラの最初の印象はあまり良くなかったのではないでしょうか。
その後、グリードアイランドのプレイ中にツェズゲラと再開したゴン、キルア。
この頃の2人はビスケの修行を受けて、急成長を遂げていました。
その成長具合は、垂直跳びを見れば明らか。ゴンとキルアは、最高16m80cmの高さまで跳べるツェズゲラのはるか上までジャンプしたのです。
さらに、レイザーとのドッジボール対決でも最後まで食らいついていたゴンとキルアを見て、ツェズゲラは2人の実力を認めることに。
垂直跳びのベスト16m80cmでイキっていたおじさんが、心をあらためた瞬間でした。
その後は、ゴンたちと爆弾魔(ボマー)一味が戦うまでの時間稼ぎに協力したツェズゲラ。
一時的な協力関係ではありましたが、ツェズゲラもゴンとキルアの仲間の一人と言っても良いでしょう。
ハンターライセンスを売ると…
ハンター試験に合格することで得られるのが、プロハンターの証であるハンターライセンス。
一見すると地味で小さなカードですが、偽造防止のためあらゆる最高技術が施されてます。
出典:HUNTER×HUNTER 5巻42P/冨樫義博/集英社
ライセンスカードは、公的機関の95%がタダで利用でき、銀行から一流企業並みの融資が受けられるなど、持っているだけで生活に困らなくなる代物です。
さらに、売れば人生7回くらい遊んで暮らせるほどのお金になるという超高級品でもあります。
作中ではハンターライセンスを売ったキャラクターは登場しませんでしたが(ゴンは借金の担保にしました)、マーメン=ビーンズの話では「ハンター試験合格者の5人に1人は何らかの形でライセンスカードを失っている」とのこと。
この中には、ハンターライセンスを売却している人も含まれると予想できます。
試験にさえ合格できれば生活に不自由しないということを考えると「プロハンターになることではなくハンターライセンスそのものが欲しい」と思っている受験生も少なくはないのでしょう。
ツェズゲラがハンターライセンスを売らない理由を考察
では本題に入ります。
「ハントの目的は金である」と公言しているツェズゲラ。
お金が欲しいなら、ちまちまハンター活動をやらなくてもハンターライセンスを売れば、相当な額が楽に手に入るはず。
それでもツェズゲラがハンターラインセンスを売らない理由は何なのでしょうか?
私は、次の2つではないかと考えました
結果的にプロハンターの方が稼げるから?
ツェズゲラは、いろいろ計算した上で「ハンターライセンスを売るより、プロハンターとして活動していた方が儲かる」と考えたのかもしれません。
持っていれば公的機関の95%がタダになるハンターライセンス。これだけでも、生活にかかるコストを大幅に削減可能です。
ライセンスを売ればお金は入りますが、こういった権限は一切失われてしまうと思われます。
つまりツェズゲラは、人生のコストを考えたときに、ハンターライセンスを持っていた方がメリットがあると考えたのではないでしょうか。
さらに作中では、プロハンターの収入が桁違いであることが判明しています。
レオリオの話では、ハンターハンターの世界の大富豪ランキングベスト100には、プロハンターが60人も名を連ねているとのこと。
現実の世界の大富豪は、数千億〜数兆円ほどの資産を持っているとされています。
ハンターハンターの世界と現実ではお金の稼ぎやすさや価値は異なるかもしれませんが、もし同じような価値基準だとしたら、プロハンターの中でも上位層は数兆ジェニーもの資産があるのかも?
実際にトッププロハンターの資産の異常さが描かれたシーンもあります。
ゴンの父親であるジンが、ビヨンド=ネテロの組織のナンバー2であるパリストンからその座を奪うために、巨額を投じるシーンです。
ジンはビヨンドの部下たち全員に、ビヨンドが提示した報酬の倍額を、暗黒大陸に行くための前金として支払うと宣言。
出典:HUNTER×HUNTER 33巻71P/冨樫義博/集英社
ジンの読みでは、ビヨンドの組織は全体で200名前後、そのうち暗黒大陸に乗り込む実行部隊は25名と予想。この数字は概ね当たっていると思われます。
そして、ビヨンドは報酬として実行部隊に15億ジェニー、その他の待機要員にも2億ジェニー支払うと約束しているそう。
その倍額を、しかも前金で支払うというジン…うらやましいほどの大金持ちです。
また、もともとジンは息子を成長させるために、島1つをグリードアイランドにするなど、やることが異常です。
これまでにも、考えられないほどのお金を使ってきていると思われます。
ジンのようなトッププロハンターになれれば、湯水のように使えるほどのお金が手に入るのでしょう。
しかも、お金にあまり執着がなさそうなジンですらこれですから、お金稼ぎを目的に仕事などを選べばもっと稼げる可能性も…?
ハンターライセンスを売ると具体的にいくらになるかは不明ですが、プロハンターとして活動して続けることの方が、結果的に稼げる金額は多いのかもしれません。
ツェズゲラは、ハンターライセンスを売るよりもさらに「上」を目指しているのでしょう。
実は金が目的ではない?
確かにプロハンターとして活動すれば、巨額の大金が手に入るかもしれませんが、それは仕事を続けていればの話です。
プロハンターの仕事の中には、命懸けのものもあるでしょう。
お金になるといっても命のリスクが常に付きまとうのであれば、割りに合わない気がします。
ハンター試験でさえ命懸けなのだから、試験をクリアしてライセンスを手に入れた段階で売ってしまう方がコスパがいいですよね。
しかし、そうしないツェズゲラ。
果たしてツェズゲラがプロハンターになった目的、プロハンターとして活動し続ける理由は、本当にお金のためだけなのでしょうか?
もしかしたら、もっと大切な理由があるのかもしれません。
そもそもツェズゲラは何のためにお金を集めるのでしょう?
ただお金持ちになりたいだけなら、わざわざハンターの活動なんてやる必要はないはず。
ライセンスを売れば遊んで暮らしても余るほどのお金が入ってくるのなら、それで充分だと思われます。
そうではないツェズゲラには、お金を集めて何かやりたいことがあるのではないでしょうか?
そう、レオリオがハンター試験を受けた理由と同じような感じです。
レオリオは初登場時、お金のためにプロハンターになりたいと言っていました。
しかし本当の目的は、高額な手術費を払えず病で死んでしまった友人と同じ病気に悩む子どもたちをタダで治療できる医者になること。
そのために、医大の受験費用や学費が免除になるハンターライセンスの取得を目指していました。
ツェズゲラもお金を使って何か達成したい目標があるのかも。
その目標がレオリオのように多くの人を支援し、助けるようなことであれば、一人の人間が人生を7回遊んで暮らせるだけのお金では足りないでしょう。
作中でツェズゲラに関する深掘りはありませんでしたが、もしかしたらツェズゲラには、プロハンターを目指すきっかけとなった悲しい過去と、絶対に達成したい大きな目標があるのかもしれません。
それを隠すために「金が目的」なんて嘘の公言をしているのだとしたら…なんて漢なんだ…
結論:ツェズゲラにはプロハンターとして達成したい目標がある
今回の考察をまとめます。
お金目的で活動するマネーハンターのツェズゲラが、ハンターライセンスを売らない理由は、
ハンターライセンスを売って得たお金があっても達成できない目標があるから、よりお金が稼げるプロハンターとして活動している
と考えました。
最初こそ印象の悪かったツェズゲラさんですが、あれは表の顔、強がっている顔であり、実は人情味あふれる男だったのかもしれませんね…
あの垂直跳びも、きっと何か悲しい理由があって極めた技なのかも…なんて深読みしてしまいます。
……とかいって、実はツェズゲラの目標が「人生7回じゃなくて70回分遊びたい!プロハンター肩書きを使って女の子にモテたい!」とかだったら、別の意味で悲しいですね…