私の名前はジロギン。

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【裁判傍聴】娘が刃を握った理由は父への愛か憎しみか

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私の名前はジロギン。

先週に引き続き東京地裁へ行って、裁判傍聴をしてきました。

前々から不定期で裁判傍聴には行っていましたが、最近は週に1度の習慣になりつつあります。

www.g913-jiro.com

今回紹介する裁判は、親子関係について改めて考えさせられる内容でした。

私の家庭と被告人の家庭に共通点が感じられ、事件の内容以上に被告人の親子関係が今後どうなっていくのかが気になりました。

その一部始終を紹介します。

脇差を持って交番に…

罪名は「銃砲刀剣類所持等取締法(銃刀法違反)」

被告人は30代女性

某日昼頃、被告人が駅前にある交番の入口扉に向かって、刃渡り50cm超の脇差(短い日本刀)を複数回振り下ろしているのが発見された。

被告人は自宅で実父と目があった際、嫌そうな顔をされたことと、ため息をつかれたことでムシャクシャし、自宅にあった脇差を持って外出。

家を出てからしばらくは脇差を服の中に隠して歩いていたが、数分経ったところで鞘から抜き、刃をあらわにしたまま歩いたという。

脇差は実父が所有していたものであり、通常はクローゼットの中に入れてカギをかけて保管していたが、この日はカギをかけ忘れていた様子。

被告人は「刃物を持ってうろつけば静かなところ(留置場)に行けると思い、行動に及んだ」と語る。

この事件で被告人が手に怪我を負ったが、死傷者は出なかった。

また、被告人には同様の前科もあるとのこと。

 

この日の裁判で行われたのは、検察官の冒頭陳述から証人尋問と、被告人質問まで。

特に印象に残ったのが、証人質問でした。

 

証人として被告人の父親が法廷に立ち、弁護士から質問を受けました。

事件以前に被告人が暴れることはありましたか?また暴れた時は、どう対処してましたか?

という質問に対して、父親が回答。

ありました。そのときは、まず話を聞いてなだめて…

ウソ言うなよ!!

父親の答えに被せるように、被告人が怒りをあらわにしました。

吹き出しのイラストでは伝わりにくいと思いますが、必死の形相をしていました。

 

裁判長から

あなたの話は後で聞きますから、今は静かにしてください

と注意が入り、被告人が大人しくなったところで弁護士が質問を続けました。

今後、被告人とどのように向き合っていきますか?

改めて、話を真剣に聞いて…

いつ真剣に聞いたんだよっ!?

証人尋問中、被告人は静かに話を聞いているのが一般的です。

しかし今回の被告人は、父親の答えに反論するかのように数回声を荒げました。

父と娘、2人の間には何かの確執があるように思えました。

 

被告人の怒号もあり、証人尋問は裁判長によって半ば強制的に終了となりました。

足早に被告人質問へ移行。

そこでも、被告人が家族への不満をもらす場面が目立ちました。

お父さんは自分の話を聞いてくれない!骨董品のことばかりで、自分のことをいじめている時期もあった!

お母さんは独り言ばかり言っていた!だから静かなところに行きたかった!

傍聴人席からでは質問を受けている被告人の表情は見えませんでしたが、声は涙ぐんでいるように聞こえました。

 

さらに被告人は、犯行の前日に道端で見知らぬ男の人や女の子に「気持ち悪い」「触るな」などと言われたとも供述。

過去に薬物による幻覚を見ていたことがあるようなので、この話が本当かどうかはわかりません。

しかし、精神的に追い詰められた末の犯行だったことは間違いないようです。

 

その根本の原因が家族、特に父親との関係にあるように思えました。

あくまで私が傍聴人席から裁判を見た上での見解です。

被告人が欲しかったのは「家族の愛」か「憎しみを晴らす場」か?

裁判中、証人である父親に強い言葉で怒りを示した被告人。

まさに憎しみをぶつけているかのようでした。

その一方で私は、被告人の言葉の中に「お父さんに自分を見てもらいたい」という願いも含まれていたように思います。

 

被告人質問の中で「父は自分の話を聞いてくれない」と答えていたことからも、父親の注意を引きたくて、今回の行動に出てしまったのかもしれません。

父親が所有していた脇差をわざわざ持ち出したのも、関係があるように感じます。

 

被告人は家族に対する憎しみ、世の中に対する恨みをぶつけるためだけに交番の扉を叩いたのではなく、「家族からの愛情が欲しい」というやり場のない思いをぶつけてしまったのではないでしょうか。

だからといって犯罪をしていい理由にはなりませんが。

これらも私の憶測にすぎません。被告人の言っていること全てが幻覚によるものという可能性もあります。

良好な親子関係を築き、継続することの難しさ

この裁判を見て、被告人の悲痛な叫びを聞いて、私が強く感じたのは「良好な親子関係を築き、継続することは難しいのかもなぁ」ということでした。

 

被告人と父親。

どこかで入った親子関係の亀裂が塞がらないまま子供が大人になり、お互い歩み寄りができずに何年も経ってしまった結果、今回の事件を招いてしまったのかもしれません。

はたして、これから修復できるのかどうか…今回の事件がさらに亀裂を深めてしまった可能性もあります。

 

人生経験のある大人が、幼い子供を言い聞かせるのならそう難しくはないでしょう。

しかし被告人と父親はすでに大人同士で、お互いに言い分もあるはず。

関係を修復、あるいは再構築するハードルはとても高いように思います。

 

おそらく、この親子は氷山の一角。

他にも、子供が小さな時に問題が生まれ、解決できないまま年月を経てしまった家庭が山のようにあるはずです。

実際に、私の家庭も大きな問題を何年も抱えていました。

 

私が中学生くらいの頃、両親がある事情で大げんかし、家庭内別居状態になりました。

それから数年は、両親から八つ当たりのような接し方をさせることが増え、家庭環境は最悪だったと思います。

親から見て、私に足りない点があったのだとも思いますが、やっぱり理不尽に叱られてたことが多かったです。

 

今では私も大人になり「当時のことを親にああだこうだいっても現状は何も変わらない」と割り切り、親とは年に数回ほど顔を合わせる関係に落ち着いています。

しかし、両親を全く恨んでいないかと言われると、素直にYESとは答えられないかもしれません。

たまに、自分が子供に戻り、家族で楽しく会話している夢を見ることがあります。

 

今の私と親の関係がベストかというと、そうは思いません。

親子というよりビジネスライクみたいな付き合いになっています。

それでもここまで戻せたのは、親自身がこれまでやってきたこと(過ちも含めて)と私の現状を認められたから。そして私が当時の親の心情を少し理解し、過去を許すことができたからだと思います。

そのためにグッとこらえたことも多く、気持ちの整理をつけるのには時間がかかり、簡単ではありませんでした。

なんか暗い話になってきてしまったので、そろそろ締めますね。

そんな自分の状況もあり、正直、被告人には少し同情してしまいました。

今回の事件をきっかけにというのは語弊があるかもしれませんが、罪を償ったら、改めて親子が向き合う機会を作ってくれたらいいなと思います。

 

今回の事件、まだ判決は出ていません。

次に裁判所に行ったとき今回の続きがやっていたら、判決まで見届けるつもりです。