ハンターハンター397話『結成③』では、現在の幻影旅団が生まれたきっかけともいえる事件が発生。
クロロをはじめとする旅団員たちは、人生を捧げ悪党として生きる覚悟を決めました。
今回は397話の感想と考察をまとめます。
※本誌の画像等はありませんがネタバレを含む内容のため、単行本派の方はご承知の上お読みください。
- バラバラ死体となって見つかったサラサ
- マチはエンバーミングをきっかけに念を習得?
- ネットに強いシャルナーク
- シーラは幻影旅団に加入しなかった?
- しれっとサムライと化したノブナガ
- フィンクスがいない?
- 397話の全体的な感想
バラバラ死体となって見つかったサラサ
396話で、カタヅケンジャーの続きのビデオを探すため、単独行動を始めたサラサ。
しかしそれ以降、サラサが姿を見せなくなったのを心配したクロロたち旅団は、急遽カタヅケンジャーの定期集会を中止し、サラサを探すことにしました。
集会に来た子供たちにサラサが行方不明になったことと謝罪の言葉を伝えるクロロ。
子供たちは残念がるどころか、クロロに協力する姿勢を示し、旅団員と一緒にサラサの捜索に乗り出しました。
その後、森の中で木に吊るされた黒い袋を発見したクロロたち。
クロロが中身を確認すると、袋にはバラバラにされたサラサの遺体が入っていました。
流星街で横行していた人狩りに巻き込まれてしまったのでしょう。
後述しますが、人狩りを行っていた連中はさらった者を殺害し、その様子を録画して「作品」として公開あるいは販売していたのだと思われます。
サラサの遺体とともに、犯人による何らかのメッセージが書かれた紙も残されていました。
クロロしか理解できない言語(ゲルマ語かジャンナ語?)で書かれており、ウボォーが内容を教えるようクロロに詰め寄りますが、クロロは「絶対に口にしない!死んでもッ!」「知りたいなら自分で調べろ!」と反論。
口にするのも憚られるような、おぞましい言葉が書かれていたのでしょう。
犯人がサラサの遺体を袋に入れて木に吊るした理由や、メッセージを残した理由にはやや謎が残ります。
死体を処理するにしても杜撰な方法ですし、わざと発見されるようにしたとさえ思えます。
メッセージの内容が分かればその理由も見えてきそうですが、分かるのは後にクロロが言っていた「顕示欲の強いメッセージ」ということだけ。
このことから考えると、犯人は単に映像を撮っただけでなく、サラサの死体を見つけた人物に対しても自分たちの犯行・残虐性を自慢する目的で死体を吊るしたり、メッセージを残したりしたのかもしれません。
吐き気を催すほどの邪悪
マチはエンバーミングをきっかけに念を習得?
サラサの遺体を抱えたマチは「痛かったよね」「怖かったよね」「ごめんね」と、サラサを悼む言葉を口にします。
ずっとぶっきらぼうな感じの幼少マチでしたが、優しさを見せました。
ヒソカとクロロが戦った後、ヒソカの死体を修復しようとしたマチに対してシャルナークが「マチは優しい」と言っていましたが、こういう部分を見ていたからでしょう。
サラサの遺体は回収され、レンコという女性によるエンバーミングで生前に近い状態まで復元されました。
その後、マチはレンコに自分もエンバーミングを習得できるか質問。
レンコはマチに単なる技術ではなく特殊能力(念)によって行っているため、できないと説明します。
しかし、当時のマチはすでにオーラを見ることができていたようで、レンコの体を包むオーラを見抜いていました。
マチは修行せずとも念を扱える、先天的なタイプだったようですね。
マチはオーラを系に変えて自在に操る念能力者です。
その念糸によって、切断されたヒソカの腕をつなぎ合わせたシーンが印象に残っています。
マチの念はレンコに教わって習得したのでしょう。クロロと戦ったヒソカの死体を修復しようとしていた点も、この説の裏付けになると思います。
ネットに強いシャルナーク
サラサを殺害した人物への復讐を誓うウボォーギンは、すぐにでも行動を起こし犯人を見つけ出そうとしていました。
クロロも同じ気持ちでしたが、ウボォーよりも冷静に状況を見ており、行動を起こすまで3年の準備期間が欲しいと持ちかけました(当時のクロロは11歳で14歳になるまで)。
その理由は、今後犯人がサラサを殺害した映像をインターネット上で公開する可能性があり、犯人が特定しやすくなるため。
当時は通信技術が劇的に進歩している時代であることをクロロは知っており、後にインターネットが発達することを予想していました(すごい)。
サラサの映像を撮影したであろう人物が強い顕示欲を持っていることを見抜いたクロロは、インターネットの普及により犯人が映像を多くの人に見られるようネット上に映像を公開することまで推測。そのタイミングを見計らって犯人を特定し、仇討ちをしようと考えていたのです。
そのために、犯人が映像を公開しやすそうな場所をネット上に作り出し、誘き出そうというのがクロロの作戦。
ウボォーには少し難しい話だったようですが、シャルナークはクロロの意図をすぐに理解し、自分も協力したい旨を申し出ます。
幻影旅団では情報処理を担当し、ハンターサイトでの情報収集や自身の念能力に携帯電話を用いていたシャルナーク。子供のころからインターネットに強いタイプだったのでしょう。
シーラは幻影旅団に加入しなかった?
クロロの提案に乗ったのはウボォーとシャルナークだけではありません。
ノブナガ、パクノダ、マチ、フィンクス、フェイタン、フランクリンも合流。
3年の間で犯人を見つけるための道具を用意したり、犯人と渡り合うための力をつけたりすることを決めます。
主人公のゴンもカイトと出会った3年後にハンター試験を受験していましたね。ちょっと似ています
さらにクロロは、流星街でサラサのような犠牲者を出さないよう悪党になる覚悟を決めます。
すなわち多くの人間を殺し、悪党どもが震え上がり流星街に近寄らなくなるほどの、さらなる悪党になる覚悟を決めたのです。
このような方法を、死んだサラサが望んでいないことをクロロも理解しています。
しかし今のままでは流星街の犠牲者が減らないことから、クロロは新しいシステムとして後の幻影旅団につながる活動を開始する決心をしたのでした。
クロロはそのリーダーとしてウボォーを指名。
しかしウボォーは「クロロが頭をやるなら死ぬまでついていく」と言って、クロロをリーダーに推薦します。
他の団員たちも満場一致で、クロロがリーダーをやることに同意しました。
冨樫先生が言っていた、クロロは自分から団長になったわけじゃないという話がここで回収されましたね
旅団員たちがサラサの復讐に動く中、シーラは参加しませんでした。
このタイミングで旅団を脱退してしまったようです。
シーラも他の団員と同じく、サラサの死を悲しんでいました。
しかしシーラは劇団としての旅団が好きなのであり、復讐には後ろ向きだったのかもしれません。
あるいはサラサの死にシーラが関わっていて、旅団として活動をすることに後ろめたさを感じていたのか……
またはハンターになるという自分の夢を捨てきれず、復讐に動く旅団には賛同できなかったのか……
この後にシーラはクラピカの過去にも絡んできます。シーラに関してはまだ秘密が隠されていそうです。
しれっとサムライと化したノブナガ
397話の最後では3年?の月日が経ち、ついに旅団が活動を開始します。
最後のコマが、114話のパクノダの回想シーンにつながりました。
当時のクロロが14歳だとすると、ヨークシン編でクロロが登場したときの年齢が26歳だったので、それまでに約12年間活動していたことになりますね。
成長した旅団メンバーですが、まだ昔の面影を残しています。
そんな中、ノブナガはちょんまげ&着物のサムライになっていました。
114話の回想でもすでにサムライ化したノブナガが描かれていましたが、きっかけは謎のままですね……
子供の頃のノブナガはサムライの感じなどなかったのですが、3年のうちにサムライに憧れ、すっかりサムライ化してしまったようです。
なぜノブナガがサムライになったのか…明かされる日が来る…のだろうか?
フィンクスがいない?
397話のラストのコマ、よく見ると創設メンバーの1人であるはずのフィンクスがいません。
子供の頃は確かに旅団としてクロロの下につくことを誓っていたフィンクスですが、その3年後のシーンでいないのは謎ですね……
114話の回想シーンでもフィンクスはいないのですが、クロロの吹き出しに隠れているだけかと思っていました。
描き忘れ……?あるいはこのときだけフィンクスはお出かけしていた……?
または、フィンクスは旅団創設初期にはおらず、何らかの理由で一度脱退。別のタイミングで改めて合流したのでしょうか?
397話の全体的な感想
397話で、旅団の過去編がひと段落した形かなと思います。
幻影旅団は子供たちの劇団から始まり、後に流星街を悪人から守るための組織になったということですね。
ノブナガ言っていた「諦めと怒りが原動力」というのは、サラサの事件のことを指していたのでしょう。
「諦め」ということは、結局サラサを殺害した犯人は見つからなかったのかな?
395〜397話は、個人的にここ数年のハンターハンターでもとても面白いシリーズでした。
マチがエンバーミングを学んだり、シャルナークが情強だったり、フェイタンがずっとチャンバラをして剣術を磨いていたり、ノブナガとフランクリンの遅刻にウボォーが怒ったりなど、大人になった幻影旅団につながる描写が多かったのも良かったです!
ただ幻影旅団の謎が全て解明されたかというと、そうではありません。
気になるところとしては、
- サラサを殺した犯人への復讐は成功したのか?
- 旅団メンバーはどうやって念能力を習得したのか?
- なぜ盗賊になったのか?
- メンバーが13人になったのはいつからか?
- シズクとヒソカの前任者はどんな人物か?
- シーラが旅団に加入しなかった理由は?その後の旅団との関係性は?
- なぜ旅団はクルタ族を襲撃した?
- 旅団が流星街とマフィアンコミュニティーの関係を断つような行動をした理由は?
- クロロがマフィアンコミュニティーを襲撃するタイミングを決めた理由は?
などですかね。
今回の回想に入る前、ノブナガは「旅団は行き当たりばったりだった」とも言っていたので、盗賊になった理由やメンバーが13人になった理由などは特になく、流れで決まっただけかもしれません。
397話で旅団の過去編は終わりなのか、次回も続くのか……
正直、まだまだ旅団の掘り下げをやってほしいところです。
あと50話くらい使って徹底的に回想やってくれ!冨樫先生!