私の名前はジロギン。
公衆電話は、基本的に相手と1対1で通話するものです。
しかし世の中には、3人で同時に通話することを可能にした公衆電話『デュエットホン』なるものがあります。
1990年にNTT100年記念として作られた、ちょっと遊び心あふれる公衆電話で、国内のごく限られた場所にしかありません。
実際にデュエットホンを見たことがある、使ったことがある方は、とても少ないのではないでしょうか?
私も見たことも、使ったこともありません。
しかし、最近は通話用のスマートフォンアプリを使えば、3人どころかそれ以上の人数でも通話が可能です。記念品として作られたデュエットホンですが、現在はほとんど存在意義がない代物といっても過言ではないでしょう。
もしかしたら、将来的にデュエットホンは不要品とみなされ、完全に撤去されてしまうかもしれません。
その前に一目見ておきたい……
そう考え、現在もデュエットホンが設置されている場所を調べ、向かいました。
参考にさせてもらったのは、ロケットニュースさんのこちらの記事。
東急東横線などが通る『武蔵小杉駅』から徒歩5〜6分ほどの場所にある、川崎市中原区役所。
ここの敷地内にデュエットホンが設置されているとのこと。
一見すると電話BOXらしきものは見当たりません。
画像の左下に、人工的に作られた怪しげな木があるくらいです。
よく見たらこの木、木に擬態した電話BOXでした。
危うく見逃して、
中原区役所にデュエットホンがあると言ったな。あれはウソだ。
と、記事にしてしまうところでした。
BOXの上部を見ると、風雨により削られ刻まれ、経年劣化し存在が消えかかっている「ロシーちゃん」「たぬきくん」「うさぎちゃん」の3匹が笑顔でお出迎え。
シロクマ?のロシーちゃんの名前は何とか捻り出せたけど、たぬきとうさぎは断念した製作者の苦悩が見える、とても良いイラストですね。
外観の紹介はここらへんにして、中に入ってみます。
あった。
これが幻のデュエットホン。
機体の劣化具合が、歴史を感じさせます。
使用者から見て左側に受話器。
これは一般的な公衆電話と同じです。
異形なのは、向かって右の受話器。
これは本来存在しないはずの受話器です。
この右の受話器が付いていることが、デュエットホンである所以。電話をかけた相手と左右の受話器を持つ2人の、合計3人での会話を可能にしているのです。
そのための右手
もちろん普通の公衆電話として使うこともできます。
せっかくだからデュエットホンを使い、3人通話を体験してみましょう。
とはいえ私は1人で来ており、電話をかける相手も特にいないので、自分のスマホに電話をかけ、左右の受話器を使って自分の声がどのように聞こえるか試しました。
まず左の受話器を持ち上げる。
次に右の受話器を持ち上げ、お金を入れる。
電話番号をプッシュし、電話をかける。
これでOK!
どこで使い方を習った?
説明書を読んだのよ
両方の受話器を耳に当て、邪馬台国の人みたいになりながら電話。
けれど、悲しいかな、私には耳が2つ、腕も2本しかないため、1人でデュエットホンとスマホを使って上手いこと通話をすることはできませんでした。
あれこれやってるうちに制限時間が来てしまう……ケチって10円しか入れなかったからね、しょうがないね。
デュエットホンを扱うには、本来の使い方通り、3人いないと難しいかもしれません。
もし1人でデュエットホンを使いこなせる人がいるとしたら、あの人以外考えられない……
????「オレが3人分になる…」
出典:HUNTER×HUNTER16巻155P/冨樫義博/集英社
外観も機体も珍しい、中原区役所前にあるデュエットホン。
私のような公衆電話愛好者でなくても、珍妙さにワクワクできるのではないでしょうか?
中原区役所に立ち寄った際や、3人で通話したいときは、ぜひデュエットホンを使って……みなくても大丈夫です。スマホがあれば事足りますから。