私の名前はジロギン。
「公衆電話」といったら、何色の電話機を思い浮かべますか?
おそらく、みどり色を思い浮かべる人が多いと思います。
実際に街中で見かける公衆電話のほとんどがみどり色ですよね。
今回調査したのは、公衆電話の色が関係する都市伝説。
「東京都の四谷には1つだけ『金色の公衆電話』が存在し、その電話機に昭和26年のギザ10を入れて片思いの相手に電話すると恋が実る」
というウワサの真相に迫りました。
『金色の公衆電話』のウワサ
平成5年(1993年)の6月に、当時の皇太子陛下と雅子様のご成婚パレードが行われました。
皇居から赤坂御用池までの約4.25kmのパレードで、そのコースの沿道(付近など諸説あり)にある公衆電話が金色に塗られたそう。
都市伝説では、当時の『金色の公衆電話』が1つだけ残されていて、その場所がパレードのコースの一部だった四谷なのではないかといわれています。
そして『金色の公衆電話』から昭和26年のギザ10(硬貨の淵がギザギザになっている珍しい10円玉)を使って片思いの相手に電話をすると、恋が実るというのです。
なぜ昭和26年のギザ10なのかというと、この年に製造されたギザ10円には微量の金が含まれているからだとされています。
『金が含まれる珍しい10円玉』と『金色の公衆電話』
これらの「なんかレアな要素が満載でラッキーなことが起こりそう」ということから、語られている都市伝説……なのかもしれません。
実際に『金色の公衆電話』はあったのか?
まず、本当に『金色の公衆電話』はあったのか?を確かめる必要がありそうです。
『金色の公衆電話』が存在したという事実がなければ、この都市伝説は調べるまでもないただのデマ情報になってしまいます。
恋が実るなんてのは100%ウソです。検証不要です。オカルトに愛だの恋だのは必要ないのです
私が実際に、当時のパレードの場にいて『金色の公衆電話』をこの目で見ていれば即解決だったのですが……当時の私は0歳9ヶ月。
仮に『金色の公衆電話』の現物を見ていたとしても、記憶に残っていないでしょう。
ということで、まずはインターネットを使って情報を集めてみました。
結果として『金色の公衆電話』は四谷に実在していた可能性が高いです。
根拠は2つ。
1つ目はYahoo!知恵袋で「当時の皇太子陛下のご成婚の際、金色の公衆電話を見た」という回答を複数見つけたことです。
2つ目は、2019年にタカラトミーから「NTT東日本 公衆電話ガチャコレクション」が発売されており、1993年の『金色の公衆電話』を模した景品が含まれていることです。
ガチャの開発には公衆電話を管理しているNTT東日本が協力していることから、公式が『金色の公衆電話』の存在を認めていると考えていいでしょう。
これらの情報から『金色の公衆電話』は実在していた可能性が高いと思われます。
『金色の公衆電話』は今もあるのか?四谷周辺を探索
もし都市伝説が本当ならば、四谷あたりに『金色の公衆電話』が今も1つだけで残されているはず……
ということで1993年6月の新聞で皇太子陛下と雅子様のご成婚パレードのルートを調査し、実際にそのルートを歩いて沿道の公衆電話の色を見てみることにしました。
朝6時50分に四谷着。オカルト調査員の朝は早い
ない……
ないよ……
全部みどり……
さらに捜索範囲を広げ、青山一丁目、外苑前、国立競技場あたりも歩き回りました。
計41台の公衆電話を調べましたが、残念なことに『金色の公衆電話』は1つもありませんでした……
大通りを中心に探したので、細い通りや建物の中は未捜索です…でもそこまで探したら私が歩き死ぬぅ
見逃した可能性もありますが、『金色の公衆電話』をわざわざ1つだけ残すなら、人目につかない場所を選ぶとは考えにくいです。
結果、私が調査した範囲ではありますが、現在の四谷とその周辺に『金色の公衆電話』は存在していない可能性が高いと判断しました。
『金色のアレ』を見つけた…
ちなみに、調査のために歩き回って国立競技場にたどり着いたとき、こんなものを見つけました。
金色のポスト!!
公衆電話じゃないけど見事に金色!
これを見つけた瞬間、私のテンションは爆上がりしました!
「金色のポストがあるなら『金色の公衆電話』があっても不思議じゃない!」と……
しかし『金色の公衆電話』は見つからず…現実はそう甘くないんじゃ…
この金色のポストは2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催を記念して作られたものだそうです。
1993年のご成婚パレードとは関係のないものですね。
『金色の公衆電話』の現在
『金色の公衆電話』は存在しない可能性が高い……
ほぼ確信に近い感情を抱きながらも、念のため私は調査を続けました。
すると、ある施設の情報を手に入れました。
NTTの歴史をまとめた『NTT技術史料館』という場所があるそう。
館内には電話やパソコンに関するさまざまな機械が多数展示されているとのこと。
もちろん、公衆電話も。
ここなら『金色の公衆電話』の実物が展示されているのでは?
そしてスタッフの方なら『金色の公衆電話』に関する情報を知っているのでは?
そう考え、私は早速『NTT技術史料館』に足を運んでみることにしました。
最初からここに行けば四谷を歩き回る必要はなかったけれど…あえて道草を楽しんだのさ、ハンターらしく
『NTT技術史料館』は、東京の三鷹駅から徒歩約30分ほどの場所にあります。
けっこう歩くので、もし行く場合はバスかタクシーを使った方が良いですね。
館内は地下1階から地上3階まであり、全ての階に展示物が配置されています。
わぁ〜すっごいでっかい機械(語彙力)
素人の私には、こういった機械を見ても何が何だか……
圧倒されながらも、まずは館内に『金色の公衆電話』が展示されているか調べてみることにしました。
1階で公衆電話の群れを発見。
黄色の公衆電話はありましたが、金色はありませんでした。
お目当てのブツを見つけられないまま数分が経過。
キョロキョロしながら施設内をうろつく挙動不審な私に、スタッフのおじさんが声をかけてくださいました。
不審者を捕まえに来たわけではありませんよ。電話の歴史や技術を私に解説するために来てくれたのです。
電話についてものすごく詳しい方だったので、これはチャンスだと思った私。
勇気を出しておじさんに質問してみることにしました。
あ、あの…ビョ、ボク、こ、公衆電話についてし、調べてまして…昔『金色の公衆電話』があったそうなんですが、な、何かご存知のことは…ないでしゅか?
おじさんは知らないとのことでしたが、親切にも別のスタッフの方に『金色の公衆電話』について聞いてくださいました。
その方のお話の要点をまとめると、以下のとおりです。
- 皇太子陛下のご成婚を祝した『金色の公衆電話』があったのは事実
- 『金色の公衆電話』は普通の公衆電話を金色に塗ったのではなく、金色の電話機を作って機械ごと交換したもの
- 今は路上に『金色の公衆電話』は存在していない
- NTT技術史料館にも実物は置いていない
- 現在『金色の公衆電話』はNTTの社内で管理しているが、その場所は不明
スタッフの方の口ぶりからすると『金色の公衆電話』は現在、一般公開されていない様子。
「NTT社内で管理しているが、その場所は不明」というのが更なる謎を生んでいる気がしますが、さすがにNTTさんに乗り込んで確認するわけもいきませんので、調査はここで止めることにしました。
『金色の公衆電話』の実物を見ることはできませんでしたが、貴重な情報を得ることができたのは大きな成果です!
しかもNTTの方の話なので、信憑性は抜群でしょう!
わざわざお答えいただき、ありがとうございました!
ちなみに、先ほど少し触れた「NTT東日本 公衆電話ガチャ」がNTT技術史料館にもあったそうですが、めちゃくちゃ好評であっという間に売り切れてしまったとのこと。
現在は史料館の入口あたりにガチャの景品が飾られており、ここで小さい『金色の公衆電話』なら見ることができます。
2023年3月4日追記
公衆電話ガチャが再販され、回してきました!
ガチャに付属している説明書でも、金色の公衆電話は現在設置されていないと記載されています。
正直、NTT技術史料館で『金色の公衆電話』の有無が確認できたらすぐに帰ろうと思っていました。
しかし、普段目にすることのない機械がいくつも展示されており、予想以上に楽しむことができました!
スタッフの方が丁寧に説明してくださったのも、とてもありがたかったです。
公衆電話について興味がわいてきました。
木曜日と金曜日しか開館していないそうですが、無料&予約なしで入れるので、おすすめです!
オカルト「考察」要素が入ってないやん!
『金色の公衆電話』は現在、NTTの社内で管理している。つまり四谷に『金色の公衆電話』は存在していない
という、ほぼほぼ間違いない答えが出てしまいました……
記事にオカルト「考察」要素が入ってないやん!
と思う方もいらっしゃると思います。ご期待に添えず、すみません。
まさか私も、答えが出てしまうとは思わず……
最初は、もっと少ない情報からいろいろと考察していく流れになると考えていましたが、NTTの方のお話まで聞けた今、この都市伝説について考察の余地はほぼないのかなと……
当ブログのルールに乗っ取り「オカルト考察」というタイトルにしていますが、今回は答えの方が先に出てしまったということで、ご容赦いただけると幸いです。
まぁたまには、こういう回があってもいいですよね…?