私の名前はジロギン。

HUNTER×HUNTERなどの漫画考察や、怪談・オカルト・都市伝説の考察、短編小説、ウォーキング(散歩)の記録などを書いている趣味ブログです!

【ハンターハンター】No.408『交渉②』の感想!カキンのえげつねぇ因習と特質系の新情報

ハンターハンター408話『交渉②』では、交渉ゲームがスタート。ゲームを通してモレナの素性とエイ=イ一家の目的、カキン帝国の恐るべき因習が明らかになりました。

さらに特質系の新事実も判明。これまでの特質系に関する理解をアップデートする必要がありそうな、重要な情報でしたね……!

今回はNo.408『交渉②』の感想を書いていきます。

※ジャンプ本紙の画像は貼っておりませんがネタバレを含みますので、ぜひ本紙を先にお読みください。

モレナは「祭孤児」であり偽物

交渉ゲームは子供であるボークセンのターンからスタート。最初にモレナの手元にある「目的」のカードを指定しました。子供が「目的」のカードが指定した場合、親(モレナ)は自身の目的(エイ=イの目的)を答えます。

モレナの目的とは「カキンの滅亡。その後、人類の滅亡まで頑張る」こと。これはモレナ初登場時から示唆されていましたね。世界を破壊したいと。

 

モレナが答えた「目的」にイマイチ納得できないボークセン。そりゃそうですよね。突然「国と人類を滅ぼしたい」なんて言われても、突拍子がなさ過ぎます。

そこでモレナは、なぜカキンと人類を滅ぼそうとしているのか、その背景として自身の生まれについて語り始めました。

 

モレナは現在、「二線者」と言われる、国王ナスビ=ホイコーロの婚外子を名乗っています。しかし彼女は偽物のモレナ=プルードであり、本物のモレナ=プルードはすでに墓の中とのこと。この「墓の中」という表現はさまざまな解釈ができそうですが、言葉通りに捉えるなら、

本物のモレナはすでに死亡しており、ボークセンの目の前にいる女性がモレナに成り代わっている。

本物のモレナが殺されたのか事故死・病死したのかはわかりませんが、彼女の死を利用してモレナと名乗る別人が、現在のエイ=イを仕切ってるということですね。

たぶん殺したんだろうなぁ……怒りに駆られているモレナ(偽物)ならやりかねませんよね……

 

ではこのモレナ(偽物)が誰なのかというと、「祭孤児」と呼ばれる人間の一人なのだそう。「祭孤児」は408話で初めて登場した概念ですね。

「祭孤児」、そしてモレナ(偽物)の出自を知るには、カキン帝国で古くから続く「謝肉祭」と「不敬罪」という、因習と法律について知る必要があります。

これが実におぞましい……ゴレイヌさんの言葉を借りるなら、えげつねぇのです。

カキン帝国の「謝肉祭」と「不敬罪」

「謝肉祭」と「不敬罪」について、408話ではそれぞれ以下のように説明されました。

  • 謝肉祭:数年に一度行われるというカキン王族の祭。ランダムに選ばれた村落へ王族一行がお忍びで赴き「宴」を催す。選ばれた村人は全員その場で「持て成す者」と「その他」に選別される。
  • 不敬罪:王族を蔑ろにする一切の行為を禁じ、これに抵触した者を極刑に処す。近代以前は下級官の直言や平民の直視も死罪とされ、民主化が進む現在でも王族相手の避妊・堕胎・遺伝子鑑定等は王族の子孫繁栄に対する反逆・不敬行為として即刻死刑となる。

カキン王族とその関係者が国内の村で不敬罪を利用して行う子孫繁栄(建前)の極秘イベント、謝肉祭。ここでは書けないことが行われているようです。それにモレナ(偽物)の母が巻き込まれ「持て成す者」となり、不敬罪により避妊も堕胎もできず結果生まれたのがモレナを名乗る女性。

しかも、その母は子供を身ごもったことも、出産したことも知らず死亡してしまったようです。何があったのかは想像したくありません……

このような、謝肉祭なんて名ばかりの恐ろしい因習がカキンには存在しているのです。非常に胸糞悪くなりますよ……

 

自称モレナが2歳のときに母親は死亡。その後、自称モレナは謝肉祭によって生まれた「祭孤児」として扱われ、顔に2本の数を入れられ、エイ=イが運営する孤児院へ。

孤児院というのは表向きのもので、その実態はエイ=イが運営・管理している人身売買組織のアジトでした。自称モレナたち祭孤児は国王の血を継いでいる「二線者」とそれ以外の「肉」に識別され、「肉」となった者は……とにかく酷い扱いをされたようです。

 

自称モレナ(以下、モレナ)も「肉」だったそうですが、何やかんやあって20年ほどかけてエイ=イの組長に。何やかんやという言葉でだいぶ端折られてますが、相当なことをやらかしてるはず……作中で描写があった限りでは、モレナの前の組長やその部下である組員を全員殺してるようですからね。血に塗れた過去があることは想像に難くありません。

 

エイ=イが管理していた組織による人身売買……かつて流星街で人狩りが行われていましたが、何か関係がありそうな匂いがします。

作中で描かれた流星街の過去、すなわちクロロたちの過去は彼が11歳のころの出来事でしたから、現在のクロロの年齢(28歳前後)から考えると17年ほど前のこと。モレナが「肉」として扱われていた期間と重複します。もしかしたら流星街で行われていた人狩りにエイ=イが絡んでいたかもしれませんね。

単に流星街のような地域がカキンにもあり、人狩りに近いことが行われていただけの可能性もあります。が、もしエイ=イも流星外での人狩り・人身売買を行っていたとしたら……かつてのエイ=イ組員を殺害してメンバーを一新したモレナと幻影旅団が協力してしまう可能性が微レ存?

 

冨樫先生により突如お出しされた、少年誌ではまず描写できないであろう過去を持つと思われるモレナ。得体の知れない彼女のバックボーンを知り、胸が締め付けられるような思いをした読者も多いのではないでしょうか。

私もそうで、「とりあえず自称モレナとエイ=イの組員たちには、カキン王族への報復をやらせてあげていいんじゃない?」と思ってしまいました。

本当にえげつなさすぎますよ、カキンの因習。

モレナ(エイ=イ一家)の目的はカキン帝国および人類の滅亡

モレナは「肉」として生きる中で、自身に念能力の素養があることに気づきます。生まれながらに念が使えるタイプだったようですね。

念を鍛えたモレナは、その力を使ってカキンそして人類の滅亡を企てるように。以来20年、牙を研ぎ続けてきました。

 

モレナがここまで復讐に駆られている理由は、謝肉祭が一昨年まで行われていたため。つまりカキンは民主化を謳いながら昔から続く謝肉祭をやめることはなく、王族が理不尽なほどに権力を振るっている状態が続いているのです。この事実を知ったモレナは、「滅亡」という判断を下しました。

古来から何も変わらないカキンの内情そのものに強い憎しみを向けている。その憎しみはカキンを放っておいたままの人類にまで及んでいる……といった感じでしょうか。

 

復讐の方法に是非はあれど、モレナの出自を考えると怒りを抱えてしまうのも仕方ない、と私は思いました。

私が交渉ゲームを仕掛けられたら、イエスと答えたくなってしまうかも……これだけツライ過去を背負いながらフランクに話し、気丈に振る舞っているモレナを見るとその気持ちに拍車がかかります……

エイ=イの組員の中にも、モレナへの同情から組に入る決断をした者もいるのではないでしょうか?

 

ただし、カキンを滅亡させるというのはあくまでモレナ個人の目標であり、組員は個別に目標を持って行動しているそう。その裏で組員たちに共通しているのは、目標達成の手段が全員「殺人(直接・間接問わず)」であること。大なり小なり目的のためなら殺人を厭わない人間がモレナに協力しているということですね。

モレナへの同情だけで殺人というリスクを背負えるのだろうか……モレナの気持ちはわかりますが、それだけで殺人を選択できるかというと正直難しいですね。少なくともエイ=イの組員のように快楽半分で殺戮するのは無理かなと。

そうなると組員たちは単にモレナに共感したから殺人をしているわけではなく、彼らも個々にカキンに対する恨みを抱えている可能性が高いのかなと思います。

思い描いていた日常を破壊されたくないボークセン

復讐のために仲間(組員)を集めているモレナ。カキンという大国ひいては人類を滅亡させるのは、たとえモレナといえど一人ではまず不可能でしょう。もちろん仲間を集めても少人数では負け戦になってしまいます。

そこでモレナは特別な力を持っている仲間(念能力を開花させた仲間)を大量に求めているのです。

念能力者は、基本の四大行を習得しただけでも超人的な力を発揮できますし、「発」まで身に付ければ文字通り超能力者になれます。こんな仲間が何百、何千と揃ったなら、一国を滅ぼしうる脅威になるでしょう。

 

そんなモレナの目的を叶えるために開発されたのが「恋のエチュード(サイキンオセン)」だったというわけですね。特定の条件(殺人)を満たすことで他人に念を開花させるという、仲間集めに打ってつけの能力です。

本来年単位でかかる念の修行時間をスキップできるのも大きなメリットといえるでしょう。

そしてモレナの目的達成に必要な、超重要な能力者(候補)として目をつけられたのがボークセン。後述しますが、ボークセンは鍛えれば特質系の能力者になれるそう。特質系の能力者は数が非常に少なく、モレナの能力をもってしてもポンポンと生み出せるわけではないので、仲間としてほしがっているのです。

 

一方でボークセンは「そんなこと知らんがな」という感じ。モレナとボークセンは面識がありませんから、仲間になる筋合いはありません。それに、エイ=イを暴走させてケツモチの第4王子ツェリードニヒすら制御不能にさせたモレナは、第4王子私設兵のボークセンにとって敵。仲間になるなんて論外でしょう。

 

そもそもボークセンは暗黒大陸へ向かう船に乗って王子を護衛したり、マフィアの抗争に巻き込まれるたりするような異常事態(非日常)すら望んでいないとのこと。彼女は振り幅の小さい人生を送りたかったのに、波乱の渦中にいる。そんな現在の状況すら嫌なのです。

モレナの出自を聞き同情こそすれど、国の滅亡を目的として殺人を犯しているエイ=イに協力しようとは到底思えないボークセン……超わかる。わかるよボークセンさん。私も嫌だもん、自分の思い描いていた日常を他人の事情で邪魔されるの。

派手なことはせず、ある程度満たされていて、最高ではないけれど不満はない。そんな人生、送りたいよね……

ボークセンが拉致された理由

先ほど少し触れましたが、ボークセンがエイ=イの組員ドッグマンとソドムに拉致された理由は、彼女が特質系念能力者になるから。モレナは特質系の能力者に発現(開発)してほしい能力があり、その候補者としてボークセンが選ばれたのです。

単にツェリードニヒの動向を探るために第4王子私設兵を攫ったわけではなく、モレナの目的達成に欠かせない能力者としてボークセンを攫ったということですね。

 

ボークセンを拉致した方法についても一部開示されました。

匂いで対象者の得意系統や、念を習得しているか否かを判別できるドッグマンが、第3層で第9王子ハルケンブルグの葬儀のため警備していたボークセンを発見。そしてソドムの拉致能力で攫ったのでしょう。

 

特質系に目覚める者を探すドッグマンの様子が描かれましたが、お子様たちからかなり人気が高いようですね。プロレスラーとして表社会では有名なのでしょう。「ドッグポーズして」という要求にも笑顔で答えるファンサっぷり……一応彼、マフィアなんですけどね。子供のお願いに応えてあげる良いマフィア()ってところでしょうか。

特質系、超レア&当たり系統

念についてほとんど知識がないボークセン。「アナタは特質系」なんて言われても「何言っとんじゃお前?」という感じでしょう。

そこでモレナの口から念の系統および特質系の特徴について語られました。

 

私たち読者はすでに知っている部分もあったかと思います。なのでここでは、モレナから明かされた、私たち読者にとしても新しい特質系の情報についてのみまとめました。

  1. 特質系はレア系統で、モレナの調べでは3000人に1人くらいの割合(0.033%)
  2. 特質系は、他の系統についても実践的制約なく、満遍なく習得できる(苦手系統がない)
  3. 特質系あるある、特質系なのを知らずに別系統を極めてしまって後で後悔する
  4. あらかじめ特質系であることがわかれば、発現・行使に複数系統の習得が必要な能力や、他の系統に当てはまらない能力を生み出すことも可能

キメラアント編では特質系だと思われる能力者がバンバン出てきましたし、幻影旅団13人のうち2人(クロロとパクノダ)が特質系だったこともあって感覚が麻痺していましたが、特質系がかなり貴重な存在であることは作中でも前々から示唆されていましたよね。

モレナ調べではあるものの、具体的に3000人に1人くらいという数字まで出てきました。相当少ない割合ですね。私が今まで会った人を全て足しても、特質系に目覚める人はいないでしょう(陰キャ感)。

 

そして重要なのは、「特質系は苦手系統がない」という情報。これにより、私の中で特質系に対する理解が大きく変わりました。「他の5系統に当てはまらない能力者=特質系」だと思っていたのですが、それだけではなく「他の5系統どれも高水準で習得できる能力者=特質系」でもあるということですね。

つまり特質系はクラピカの「絶対時間(エンペラータイム)」を素で扱えるようなものかと(この認識で合ってますか……?)。もちろん修行は必要だと思います。「特質系は他の系統も高い精度まで鍛え上げられる」という認識です。

 

そうなると、

「クラピカの『絶対時間(エンペラータイム)』ってそんなに特別な能力でもないんじゃね?」

と思えてしまいます。が、クラピカは修行することなく瞬間的にどの系統も(現在のクラピカが可能な範囲内で)100%の精度で扱えるようになるのがメリットなのかなと思います。

 

クラピカを例に出したので、彼の能力とモレナの話とを照らし合わせて特質系について考えてみましょう。

クラピカの能力の1つ「律する小指の鎖(ジャッジメントチェーン)」は具現化・操作・放出を組み合わせて発動するため、「絶対時間(エンペラータイム)」で特質系にならないと使えないと言っていました。特に具現化系は放出系を苦手としているため、クラピカの手元から鎖が離れると具現化を維持できなくなってしまいます。この欠点を解消するために「絶対時間(エンペラータイム)」(=全ての系統を100%の精度で扱えるようになること)が必要になるのです。

「律する小指の鎖(ジャッジメントチェーン)」はモレナの理論で言うところの「特質系は苦手系統がないため複数の能力を高精度で習得できる。だから複数系統をハイレベルで組み合わせた能力を開発できる」というケースそのものでしょう。

 

一方で、例えばパクノダの「触れた人物の記憶を読む能力」は他の系統の組み合わせなのかというと微妙なところ。モレナが言及した「他の系統に当てはまらない能力」に当たるのでしょう。

つまり特質系の能力には「複数の系統を高い水準で習得、組み合わせることで開発したもの」と、「どの系統にも当てはまらないイレギュラーなもの」の2種類があるのかなと思います。

 

モレナがボークセンに求めている能力がこの2つのどちらに該当するのか……それはボークセンがモレナの「YES?」のカードを指定した場合に明かしてくれるそう。どちらにせよ、やっぱり特質系は便利というか応用性が高いですね。

もし特質系に生まれたら、将来性SSSランクじゃないですか!

ドッグマン、クロロにも接近

特質系がいかにレアか理解したボークセン、そして私たち読者。探そうにもそう簡単に見つかる存在ではないので、モレナが時間をかけてボークセンを懐柔させようとしているのにも納得がいきます。

ですが、ブラックホエール1号に乗船している人間の数は20万人。ボークセン以外にも特質系は少ないながらいるはず。そのためモレナとしては、仮にボークセンが仲間にならなかったとしても他に特質系の人間を探してまた交渉ゲームをし、懐柔させればOK。ボークセンを仲間にすることはマストではないのです。

 

これがどういうことを表しているかというと、ボークセンが「仲間にならない」と回答した場合、ボークセンはモレナにとってどうでもいい存在になるということ。いや、自分の能力やエイ=イの目的を知った危険人物になります。ならばアジトから生きて帰すことはできない……そう、殺すしかなくなるわけです。

もし交渉ゲームを進めた結果、ボークセンの回答が「NO」ならば、待っているのは死ということですね。モレナは直接にではありませんが、ボークセンに対して死をちらつかせました。

現にドッグマンはボークセン以外にも特質系の能力者を探しています。ボークセンが早く回答を出さないと、ドッグマンが新しい候補者を見つけてきてしまう。その候補者がモレナに賛同すればボークセンは要らない子になってしまうのです。

 

ドッグマンは捜索中にクロロにも接近した様子。クロロも特質系ですね。

ただドッグマンは系統うんぬん以上に天空闘技場のフロアマスターという、格闘技界の超有名人であるクロロを見つけたことで興奮していたようです。

ドッグマン的に、ガチガチの殺し合いをしている格闘家のメッカ天空闘技場にて最強と呼ばれるフロアマスターは、憧れの存在なのでしょう。

残念ながらクロロは念能力を開発済みのためソドムの能力で拉致できませんし、エイ=イのアジトに幻影旅団の頭を連れて来るなんて危険なことはできません。そのため、おそらくドッグマンはクロロを見つけただけで接触はしていないと思われます……ファンとしてサインをもらうくらいはやってるかもしれませんが。

 

クロロと同じくフロアマスターのヒソカがカキン王子の招待客として第1層に乗っていることを含め、改めて天空闘技場のフロアマスターってすごい人なんだなと実感しました。

もしカストロさんがフロアマスターになっていたら……ブラックホエール1号に乗っていたかも?

特殊戒厳令、発令

交渉ゲームを進めるモレナとボークセン。ボークセンはモレナのカードのうち「目的」「力」「NO?」を選択することで、以下の情報を引き出すことができました(読者も知りたかったことです……ボークセン、どうもありがとう)。

  • モレナとエイ=イの目的(モレナの素性)
  • 特質系について
  • ボークセンが「NO」と答えた場合のモレナ側の対応

さらにボークセンの手元に「X」(ゲームを無効にしてボークセンを解放し、ボークセンおよび関係者に接触しない)が残った場合の、モレナ側のメリットも明らかになりました。

それは「念能力がより強く働くためのリスクになること」

モレナが自身の念に関する情報を話したままボークセンを解放する。そのリスクを負うことこそが制約と誓約になり、「恋のエチュード(サイキンオセン)」がより強く作用する。能力が割れる危険性こそあれど、能力を強めるための手段としてモレナは「X」のカードを用意していたようです。

 

そして現在ボークセンの手元に残っているのは「NO」と「R(リターン)」の2枚。最後に残った1枚が「NO」なら死。「R」なら墓場から「X」を戻して解放される選択ができます。

ボークセンにとって生きるか死ぬかの賭け。この状況は、もしボークセン(子供)が仲間になる場合に重要で、モレナの仲間になって「恋のエチュード(サイキンオセン)」に感染すると、死というリスクを超えたことで能力がより強く作用することになります。

もちろんボークセンが「R」→「X」を選べば関係のない要素ですが、現在のボークセンの状況はどちらに転んでもモレナ側にメリットをもたらすのです。

 

どうなるボークセン……といったところで船内に緊急アナウンスが流れます。「特殊戒厳令」が発令されたとのこと。特殊戒厳令が発令されると、司法局が持っている権限を軍部が掌握することに。つまり軍部が罪人を裁く権利を得ることになります。

この特殊戒厳令を発令できるのは軍事最高副顧問である第1王子ベンジャミン。もしベンジャミンが特殊戒厳令を発令すると彼が司法局を動かせるようになり、反逆者と見なした者を次々に極刑にできてしまうのです。王子やその護衛たちも処せます。

 

ベンジャミンは、バルサミルコが「第9王子の暗殺失敗しちゃった」と言って戻ってきた場合、特殊戒厳令を発令してバルサミルコおよび第9王子が共謀しているとみなし処分すると言っていました。

またバルサミコがベンジャミンへの連絡無く司法局を出た場合にも同様の措置をするつもりだった様子。

しかしバルサミルコ(第9王子が乗り移っている)は暗殺を遂行し、今まさに第9王子の葬儀が行われています。そして暗殺が成功した連絡もしっかり入れていました。これでベンジャミンが特殊戒厳令を発令すると言っていた条件は全て回避できたことになります。

それでも発令されたということは、ベンジャミンに何かあったのでしょう。

考えられるのは、

  • バルサミルコが第9王子に操られていることにベンジャミンが気付いた
  • 第9王子がベンジャミンに成り代わって発令した
  • 第9王子には別の作戦があり、バルサミルコの体を操ったままベンジャミンに特殊戒厳令を発令するよう進言した
  • 第9王子とは別件でベンジャミンが特殊戒厳令を発令できる大義名分を得た

などでしょうか。正直、いろんな可能性があって予想するのは難しいですね。

ただ、特殊戒厳令が発令されたのであればベンジャミンにとって追い風となるのは間違いなし。危険な行動を起こす人物を片っ端から極刑にできます。

ベンジャミンの独裁体制になってしまうのか、あるいはすべて第9王子の策略なのでしょうか……腐りきったカキンの内情を考えると、実直な第9王子が勝てるような状況になっていると良いのですが……はたして。

モレナやエイ=イを壊滅したところでカキンの危機は変わらないのでは?

408話を読んで私が最も強く感じたことは、「モレナ以外にもカキンに対して強い怨念を抱いている国民が大勢いるのではないか。そしてカキンがその者たちを駆逐することなど不可能ではないか」ということです。

 

二線者、詛贄者、不可持民、そして謝肉祭の会場に選ばれた村の人々……王族から虐げられてきた者たちの数は計り知れません。その一人がモレナであり、仲間を集めてテロ活動をしているわけですが、彼女たちは王族を恨む人間のごく一部。仮にカキンの王族側が総力を上げてモレナ、そしてエイ=イを壊滅できたとしても、第二・第三のモレナ=プルードが生まれ、カキンに対して再びテロを行うだけではないでしょうか。

 

カキンに報復を望む「持たぬ者」たちにとって強力な武器となり得る念。その存在は隠匿することが世界的な暗黙の了解でした。が、モレナはむしろ公にし、望む者を念能力者に仕立て上げようとしています。攻撃する手段を持っていないけれど強い復讐心を持つ者に武器を配っているようなものです。

モレナの「恋のエチュード(サイキンオセン)」に感染したことで、カキンへの恨みを念の力で晴らそうとする者が続々と発生する……かも。

そのような、カキンにとっての反乱分子を完全に消し去るには王族が今までやってきたことをやめねばなりません。階層社会、謝肉祭など、王族が好き勝手やったことを全て改めなければ、反乱分子は生まれ続けるでしょう。

それを王族たちができるのかどうか……次に王になる王子次第ですが、非常に難しいことだと思います。「一度上げた生活水準を下げるのは難しい」なんて言葉を聞きますが、同じように王族も、これまでの自分たちの生活を変えることなんてできないのではないでしょうか。しかも自分たちが見下してきた国民のために……できそうなのは第9王子ハルケンブルグ以下の下位王子くらいですかね?

 

モレナが明かしたカキンの内情から、国としての危うさを感じた一話でした。