私の名前はジロギン。

HUNTER×HUNTERなどの漫画考察や、怪談・オカルト・都市伝説の考察、短編小説、裁判傍聴のレポートなどを書いている趣味ブログです!

ちょっと怖い話「海辺を歩く女性」

私が高校生の頃の話。2年生の時だったと思う。

とある事情があって私は母親と2人で、母親の地元へ行くことになった。1泊2日で出かけた。
母親に頼まれて、付き添う形で向かうことになったため、母親は私に気を遣い、窓から海が見える、少しおしゃれなホテルの部屋を確保してくれた。

母親は、夜は地元の知り合いと飲み会をするとのことで、私一人部屋として宿泊することになった。



正直、私は海が見える部屋に泊まったところで喜びを感じるような人間でもない。
特に高校生の頃なんてひねくれていたから、感動も何もなかったと記憶している。

ただ、「夜の海」にはどこか魅力を感じる。
魅力と言っても、あまり良い意味ではない。
何か引き込まれてしまうような。そのまま海から抜けられなくなってしまうような。ゴキブリがゴギブリホイホイに誘われるような、そんな危険な魅力だ。

しかし夜も遅くなり、外に出るのも面倒だったので、窓から海を眺めるだけで止めたておいた。私の部屋はホテルの7階。海は果てまで見渡せる。



ぼんやりと海を眺めていると、浜辺を人が歩いている。おそらく女性。若そう。20代くらい。白地に花柄のようなワンピースを着ていた。髪は黒くて長い。腰まで伸びていた。
時刻は23時少し前。
こんな時間から海で遊ぶのか?でも一人だし。
ただ歩いているだけ。

私はその女性が何をするかしばらく窓から眺めていた。すると女性は夜の海に足が浸かるくらいのところまで歩いた。

やっぱり海で遊ぶのか?いやそれとも入水自殺でも考えているのか?
私は少し不安になった。しかし次の瞬間だった。


こっちを見てる


女性がこっちを見てる。私が見ているのに気がついた。遠くで正確に確認できなかったが、おそらくこちらに顔を向けている。

私は急いでカーテンを閉めて、ベッドに入り込んだ。

ばれたか?でも外から部屋を見ただけでは、階数はわかっても、部屋番号まではわかるまい。
大丈夫だろう。さっきの女性が私を見ていたとも限らないし。他の部屋の人もあの女性を見ていたかもしれない。大丈夫。何もない。

そう自分に言い聞かせていた10分後

コンコン

と部屋の扉がノックされた。
絶対に開けてはダメだ。
外にいるのはあの女性だから。

コンコン

本当に要件がある人なら、扉の外から私を呼びかけるはず。

コンコン

絶対に開けてはダメだ。
そう言い聞かせ、私はそれから1時間続いたノックの音に身を震わせていた。



この話、嘘か誠か確かめる術はなし。