関東大会直前。テニス雑誌『月刊プロテニス』の記者・井上さんと芝さんから取材を受けた、立海大附属中の真田弦一郎くん。
取材の中で真田くんは、
「我々立海の全国3連覇に死角はない!」
と豪語しました。
そんな真田くんの発言を受けて芝さんは、
「でも、手塚くん率いる青学もスーパールーキーを引っ下げ関東に乗り込んでくるし……」
と、青学について言及。
しかし、真田くんは「総合力では青学より氷帝の方が上」と評価し、芝さんの発言を一蹴しています。
実際のところ、青学と氷帝は関東・全国大会で2度戦い、2回とも青学の勝利。
この結果だけ見ると「真田くん、評価間違ってない?」と思えてしまいます。
真田くんの言うように、氷帝は総合力で青学より上といえるのでしょうか?
考察していきます。
- 全国常連の氷帝と、全国ではほぼ無名の青学
- 部員数は氷帝が圧倒的に多い
- 赤也くんと良い勝負をした日吉くんが氷帝の準レギュラー
- 怪我で全力が出せない青学部長・手塚くん
- 実績や選手層の厚さを考えると氷帝の方が警戒するべき
全国常連の氷帝と、全国ではほぼ無名の青学
氷帝は全国大会の常連校です。
『新テニスの王子様』の1軍シャッフルマッチの際、氷帝のOBである越智月光先輩が氷帝の知名度を全国区まで押し上げたと、跡部様自身が言及していました。
越智先輩は現在高校3年生で、氷帝学園中等部を卒業したのは約3年前。越智先輩を筆頭に氷帝が全国大会出場を果たしたとすると、短くとも3年、長ければ越智先輩が中1だった5年前から全国に進出していると思われます。
作中から1年前の氷帝は都大会優勝、関東大会準優勝、全国大会ベスト16。
実績を見ても、間違いなく全国クラスの強豪校ですね。
一方の青学は、長年全国大会に出場できずにいました。
手塚くんが1年生の時、大石くんと「青学は都大会止まり」という話をしているため、手塚くんたちが入部する2年前よりさらに前から、青学は全国どころか関東大会にも進めない状況が続いていたのでしょう。
氷帝は直近数年にわたって全国大会出場。
青学は手塚くんたちが入学してようやく都大会を勝ち抜けるレベルになった。
この実績を比較すると、真田くんの言うとおり、氷帝の方が青学よりも強いと評価するべきでしょう。
部員数は氷帝が圧倒的に多い
青学と氷帝は、部員数にも大きな開きがあります。青学の部員数は33人、一方氷帝の部員数は215人。
団体戦に出場できるメンバーは7人(補欠含めて8人)ですが、33人から選抜されるのと215人から選抜されるのでは、ハードルの高さが違います。
氷帝は、団体戦では選りすぐりのメンバーが出場している考えられるでしょう。
この部員数の差からも、真田くんは「総合力では氷帝の方が上」と評価したのではないでしょうか。
赤也くんと良い勝負をした日吉くんが氷帝の準レギュラー
レギュラー全員が全国区の立海で、2年生エースと呼ばれる切原赤也くん。
そんな赤也くんと新人戦で良い勝負をしたらしい、氷帝の日吉若くん。
宍戸さんが不動峰の橘さんに負けて正レギュラーから外れ、同じく正レギュラーだった滝くんを部内戦で倒すまで、日吉くんは準レギュラーでした。
氷帝には100名以上の準レギュラーがおり、日吉くんはその中に埋れ、正レギュラーになれずにいたのです。
そんな日吉くんが、王者・立海でレギュラーの座を勝ち取った赤也くんと良い勝負をしたと考えると、氷帝の選手層は非常に厚いといえます。
特に立海の選手からしたら、期待の2年生エースと氷帝の無名準レギュラーが互角に渡り合ったという事実は、驚嘆に値するでしょう。
赤也くんを評価している真田くんだからこそ、日吉くんひいては氷帝の高評価にもつながったと考えられそうです。
怪我で全力が出せない青学部長・手塚くん
真田くんが立海に入学する以前、野良試合で手塚くんにボロ負けしています。
後に「皇帝」と呼ばれる真田くんが、6-1、6-0とストレート負けしているのです。
当時の手塚くんは、「無我の境地」のさらに奥の扉である「百錬自得の極み」の原型を完成させており、真田くんはまるで歯が立ちませんでいた。
その後、手塚くんは青学の部内戦で、自分とレベル差がある先輩相手に利き腕を使わないという気遣い(舐めプ)をしていたことがバレ、激昂した先輩にラケットで腕を殴られ、怪我を負ってしまいます。
怪我自体はすぐに治ったようですが、手塚くんのハードな練習や零式ドロップショットなどの超人技が腕に負担をかけ、怪我が再発。
しかも怪我をした直後より深刻な状態になってしまったようで、治療に長い時間がかかりました。
怪我の再発により、手塚くんは百錬自得の極みを封印せざるを得なくなります。
さらに、青学部員のほとんどが零式ドロップショットの存在すら知らなかったようなので、手塚くんは腕の負担を減らすため、百錬自得以外にも多くの技を封印したのでしょう。
手塚くんが百錬自得の極みを使えることを知っていた真田くんからしたら、技を封印した手塚くんは以前より弱体化したといえます。
しかし、そんな弱々モードの手塚くんが青学のNo.1を張っていることを考えると、真田くんからしたら「青学たるんどる!」なんでしょうね。
「怪我をした手塚にすら勝てん連中、敵じゃないわ!キェェェェッ!」みたいな。
実績や選手層の厚さを考えると氷帝の方が警戒するべき
では、今回の考察をまとめます。
真田くんの「青学より氷帝の方が総合力では上」という評価は、氷帝の実績や選手層の厚さを考えると妥当というのが、私の意見です。
真田くんは、作中で跡部様が単身立海に乗り込んできた際「全国に行けぬお前がオレに勝てるわけがない」的なことを言っていました。
この発言からも真田くんの中では、全国大会に出場できる学校の選手かどうかが、実力を判断する一つの基準になっているように感じます。
真田くんは中学1年生の頃から全国大会で優勝した立海レギュラーの1人でしたから、そういう価値観が生まれるのも仕方ないでしょう。
このような真田くんの価値観を踏まえると、全国常連校である氷帝の方が、全国では無名の青学より警戒するべき対象になるのかもしれません。
部員数も、青学と氷帝では7倍近く差がありますからね。客観的に見れば、氷帝の方が上だと評価したくなります。
青学に花を持たせるなら、真田くんは「総合力では」氷帝が上と言っていることでしょうか。
手塚くんや不二くんなど、個人では氷帝の選手を上回るプレーヤーが青学にいるものの、シングルス・ダブルスで複数の勝利を上げなければ勝ち進めない団体戦では、個々に強いプレーヤーがいても、平均値で上回るチームの方が勝ち進める可能性は高いです。
実際に手塚くん、不二くん擁する青学が、1年前まで全国に行けてなかったことも、総合力の低さ、すなわち団体戦での脆さを物語っています。
ゴールデンペア以外にダブルス向きな選手が長らくいなかった点も、青学にとってネックでしたね。
真田くんに誤算があるとすれば、スーパールーキー・越前リョーマくんの存在。
日本中学でほぼ無名だったリョーマくん。彼の実力を1年目の段階で正しく判断するのは難しかったと思います。