バコバコに攻撃するプレーヤーが目立つ『新テニスの王子様』ですが、その中で地味に輝くのが守備的なプレーを得意とする選手たち。
- 高い機動力
- ハイレベルなコートカバーリング力(返球される場所を予想して守備位置につく力)
- 自分からはミスをせず、相手のミスを誘う粘り強いラリー
- 攻守を一手でこなせるカウンター
これらの能力で、堅実に勝利していきます。
U-17世界最強のボルクプロもカウンターを主体とした守備的なプレーヤー。守備力の高さこそ、世界の頂点を獲る鍵と言っても過言ではないでしょう。
そこで本記事では、守備力の高い中学生プレーヤーをランキング形式で10人紹介します(相手の能力をコピーする系のプレーヤーは除いています)。
- 第10位:丸井ブン太
- 第9位:宍戸亮
- 第8位:跡部景吾
- 第7位:ジャッカル桑原
- 第6位:木手永四郎
- 第5位:エルマー・ジークフリート
- 第4位:真田弦一郎
- 第3位:不二周助
- 第2位:幸村精市
- 第1位:手塚国光
- 守備こそテニスの基本であり極意である
第10位:丸井ブン太
第10位は、立海大が誇るボレーの天才・丸井ブン太くん!
ブン太くんといえば、ジャッカル桑原くんとのダブルスにおける攻撃役というイメージを持っている読者が多いでしょう。確かに全国大会までのブン太くんは、守備をジャッカルくんに任せ、自身は得意のボレーで攻めまくるプレースタイルでした。
しかしU-17日本代表合宿中に、守備的なネットプレーである「ワンダーキャッスル」を取得したブン太くん。「ワンダーキャッスル」は、ブン太くんがボールを全てネット前で返球する鉄壁の守備技。ブン太くんがU-17日本代表に選ばれた要因の一つは、間違いなく「ワンダーキャッスル」の守備力がコーチ陣に高く評価されたからでしょう。
ただし、「ワンダーキャッスル」はブン太くんの身長では届かないロブを打たれると返球できないという、決定的な弱点があります。ブン太くんの守備は鉄壁と呼ばれてはいるものの、抜け穴があることから第10位としました。
第9位:宍戸亮
第9位は、努力で氷帝正レギュラーに復帰した男・宍戸亮さん!
宍戸さんは後輩である鳳くんの超高速サーブ「スカッドサーブ」を至近距離でキャッチする特訓を積み、ボールへの反応速度を高めることに成功。以前より1歩目の出だしが速くなり、コート上のあらゆるボールに追いつく「瞬間移動(ダッシュ)」を身に付けました。
宍戸さんの足の速さは、守備力の高さに直結していると言って良いでしょう。
また宍戸さんの強みは、速さだけではありません。得意のカウンターライジングで、相手ショットの威力を利用した返球が可能。相手に打ち込まれても、その威力を使って攻撃に転じることができるのです。
冒頭で触れた高い機動力とコートカバーリング力、カウンターなどを備えている宍戸さんは、中学生の中でも高い守備力の持ち主といえるでしょう。
第8位:跡部景吾
第8位は、持久戦が大好きなキング・跡部景吾様!
跡部様は鉄壁の守備で相手の弱点を突きまくり、時には持久戦で相手を完全に破壊します。そのプレースタイルで、中学テニス界のトップである全国区プレーヤーに数えられています。
跡部様の守備力もとい持久力は、疲労回復メソッドに用いられるIAP呼吸法という特殊な呼吸法によるもので、本人も無自覚に実践していたようです。
弱点を見抜いて突きまくるスタイルは、跡部様がイギリスにいた頃、同世代で格上のプレーヤーたちに勝つべく身に付けた戦い方。
このような守備的なプレースタイルで中学生トップクラスに位置する跡部様ですが、本来のプレースタイルは超攻撃型。守備に回るプレーや持久戦は、相手を平伏させるため、ゲーム感覚でやっていたに過ぎないのです。
実際に跡部様の必殺技を見ると、相手のラケットを弾き確実に2打目のスマッシュを決める「破滅への輪舞曲(ロンド)」シリーズや、全く跳ねない「タンホイザーサーブ」、相手の死角を突く「氷の世界」、骨格的に反応できない絶対死角を突く「跡部王国(キングダム)」など、攻撃的なものばかり。真の跡部様は守備的なプレーヤーではありません。そのため、今回のランキングでは第8位とさせてもらいました。
第7位:ジャッカル桑原
第7位は、守備といったら彼を思い浮かべる読者が多いでしょう。4つの肺を持つ男・ジャッカル桑原くん!
その異名通り、ジャッカルくんは常人離れした肺活量とスタミナで、超人的な守備力を発揮します。ブン太くんとのダブルスでは、ジャッカルくんが守備のほとんどを担当。本来ならブン太くんがボレーするべきボールを避けても、ジャッカルくんは楽々カバーします。
長期戦になることを考え、体力を温存しながら戦うことが基本であるテニスですが、ジャッカルくんは序盤から飛ばしても終盤までハイレベルなプレーを維持できるスタミナを持っているのです。
スタミナという面では、タフなタイブレークを何度も経験している跡部様に軍配が上がりそうですが、守備的なプレーのプロフェッショナルという点ではジャッカルくんの方が、遊び感覚で守備をしている跡部様を上回ると感じ、第7位にしました。この辺の順位は、ランキングを作る人によって変わってくるでしょう。
第6位:木手永四郎
ここからは、完全に人間をやめた人たちがランクインしてきます。
第6位は、沖縄代表・比嘉中を全国に導いた木手永四郎くん!
比嘉中の部員は全員が沖縄武術の経験者で、武術に用いられる「縮地法」という移動技をテニスに取り入れています。「縮地法」を使うと、コートのサービスラインからネットまで1歩で近づくことが可能。後ろに下がることもできます。
バランス感覚が常人離れしている木手くんは、前後だけでなく全方向への「縮地法」が可能。つまり1歩でコート上のどこへでも移動できるということです。宍戸さんの「瞬間移動(ダッシュ)」は脚が速いという領域ですが、木手くんの移動はスピードという概念で測れるものではありません。文字通り瞬間移動・ワープしているのです。
木手くんの守備力の高さは、U-17日本代表合宿に参加した中学生全員が認めるほど。ブン太くんとのダブルスでは、途中裏切り行為などがありましたが、木手くんが後衛で守備を担当することでブン太くんのネットプレーとシナジーを生み出していました。
第5位:エルマー・ジークフリート
第5位は、世界最強ドイツの中学生代表、エルマー・ジークフリートくん!
ジークフリートくんは高い才能を評価されていた選手でしたが、どの大会に出場しても結果は2位。頂点を獲れない自分にヤキモキしていました。
しかし同郷の先輩であるビスマルクくんに、2位になれる素質を評価されたことをきっかけに改めて自分と向き合い、ライバルたちに挑み続けることで、ドイツ版天衣無縫の極みである「矜持の光(シュトルツシュトラール)」を発現します。
元々、守備力の高さに定評があったジークフリートくん。ドイツに渡り、ボルクプロのトレーニングを受けて超絶強化され、世界最強中学生となった手塚くんですら「お前の守備力には毎回手を焼く」と言うほど。そんな彼の守備力が、作中最強のバフ状態である「矜持の光(シュトルツシュトラール)」により格段にレベルアップしたのです。
日本戦ダブルス1の1セット目、ジークフリートくんと切原赤也くんとの変則シングルスになり、ジークフリートくんは「矜持の光(シュトルツシュトラール)」状態での守備を徹底。天衣無縫の極みを狩るために赤也くんがたどり着いた「集中爆発(バースト)」が10秒しか保たないという欠点を突きまくります。
その後、赤也くんは悪魔(デビル)化もしましたが、ジークフリートくんが7-5で抑えました。
天衣無縫の極みをメタる「集中爆発(バースト)」をジークフリートくんが上回ったのは、卓越した素の守備力があってのことでしょう。
第4位:真田弦一郎
第4位は、立海大の副部長、皇帝・真田弦一郎くん!
圧倒的な攻撃力で相手選手をねじ伏せるイメージが強い真田くんですが、守備に関しても一級品。得意の「風林火陰山雷(嵐森炎峰)」には、守備に特化したものもあるのです。
「山(峰)」は、鉄壁のディフェンスで戦う奥義。詳細は不明ですが、跡部様でも突破できなかった守備力を発揮できる技のようです。
「林(森)」は、相手が打ったショットの回転を和らげ、無力化する奥義。作中では「手塚ファントム」の対抗策として使われ、ファントムの強烈な回転を無にしていました。
「雷」は光速での移動が可能な超人技。コートのどこにでも光の速度で真田くんが現れるため、返せない打球はまずありません。木手くんの全方位縮地法以上のコートカバーリング力です。しかも「雷」の打球は直角に曲がる剛球で、打ち返そうとするとガットが焦げて穴が空きます。攻守を一手で行える、真田くんにとって最強の奥義と言えるでしょう。
「陰」は、「才気煥発の極み」や精神攻撃の類を跳ね除けます。テニスはメンタルが非常に重要なスポーツですから、自身の心も防御する技を持っている真田くんは、さすがですね。
ただし、「風林火陰山雷」は『テニスの王子様』時代に披露されたもの。『新テニスの王子様』の環境だと、トップ層には通用しない可能性があると考え、第4位としました。真田くんの本領は、やはり攻撃にて発揮されるというのも、この順位にした理由です。
第3位:不二周助
第3位は、青学の天才・不二周助くん!
「三種の返し球(トリプルカウンター)」による強力なカウンター技を得意とする不二くんですが、U-17日本代表合宿やW杯を経験する中でさらに強力な技を会得し、世界クラスの猛者に匹敵するレベルへと成長しました。
全国大会までに開発していたカウンター技は以下の通り(「白鯨」「白龍」「百腕巨人の門番(ヘカトンケイルのもんばん)」は相手のショットをトリガーに発動する技ではないため割愛)。
- 「つばめ返し」「鳳凰返し」→相手のトップスピンボールに対し逆回転のスライスをかけることで、着弾後に全く弾まないショットを打つカウンター
- 「羆落とし」「麒麟落とし」→体を半回転させながら相手のスマッシュの威力を吸収し、コートの後方にロブを打ち上げるカウンター
- 「蜻蛉包み」→回転がかかった相手のショットを無力化し、相手が届かない場所に返球するカウンター
- 「星花火」→コードボールを上空に打ち上げ、すり鉢上の会場に吹く風を利用して相手コートに叩き込み、バウンドしたボールが観客席まで飛んでいくカウンター
これだけでも十分強力なのですが、不二くんはさらに「風の攻撃技(クリティカルウィンド)」を3つ開発。「攻撃技」と銘打たれていますが、そのうち2つは守備としても鬼強いのです。
「葵吹雪」は相手のスマッシュをスマッシュで返球する技。「羆落とし」をより攻撃的にした形です。
「光風」は不二くんが自身の反応速度を極限まで高めることにより到達した状態で、どれだけ速いボールでもスローモーションに感じることができます。W杯決勝前のリョーマ戦では、「光風」で実質的に時を止められる状態にまで到達した不二くん。天衣無縫の極みにも対抗できる、最強クラスの技になりました。
時を止めて相手のショットを停止させ、打球に応じたカウンターを打てる不二くんは、守備力に関していえばジーニアス10クラスかもしれません。
第2位:幸村精市
第2位は、王者立海大の部長、神の子・幸村精市くん!
幸村くんには不二くんのような防御やカウンターに特化した技は無いのですが、そもそものテニススキルが高すぎて、中学生レベルの必殺技は効きません。
全国大会決勝のリョーマ戦では、ツイストサーブやドライブA、COOLドライブ、サムライドライブなど、リョーマの必殺技をことごとく打ち返した幸村くん。さらに、リョーマが無我の境地状態で使用した、全国クラスの選手の技も無効化していました。
- ビッグバン→パワーはあるけど打球が単純すぎる
- 円卓ショット→ボールは分身などしない…常に1つだよ(新テニプリではしれっとボールを増やすのが当たり前になった)
- 神隠し→ボールは決して消えたりなどしない
このように幸村くんは、「ほとんどの技が通用しない」という意味で、圧倒的な守備力を持っているのです。
しかも幸村くんと試合をしている選手は、全ての技を返されるイメージが脳裏に焼き付き、恐怖心が生まれ、五感を失いイップスに陥ってしまいます。五感を失った状態では、テニスを続けることすら不可能。そのまま自滅してしまうのです。「攻撃は最大の防御」という言葉がありますが、幸村くんはその逆をいっています。
五感を失った状態から立ち直るには、真田くんばりの強靭な精神力を発揮するか、天衣無縫の極みを発動するくらいしか方法がありません。その上で、幸村くんは天衣無縫の極みに対抗できる「零感のテニス」も会得しているので、本当に隙が無いプレーヤーです。
第1位:手塚国光
栄光の第1位は、やはりこの男・手塚国光!
手塚くんの必殺技こそ、テニプリ界最強の防御技と言って良いでしょう。
まずは「手塚ゾーン」。相手の回転を予想し、手塚くんの元へ打球が吸い寄せられる回転をかける超奥義です。「手塚ゾーン」を発動すると、手塚くんはその場から1歩も動かずに全ての打球を返球できます。守備という面でこれほど強力な技は他にないでしょう。
「手塚ゾーン」は無我の境地でもコピーすることはできず、多くの試合経験を積み、自力で会得しなければならない超高度な技術。プロでも「手塚ゾーン」を使いこなせる人はまずいません(でもなぜか樺地くんはコピーできる模様)。
さらに「手塚ファントム」。「手塚ゾーン」の6割り増しの回転をかけることで、相手の打球を全てコート外に弾き出す、こちらもまた守備における究極奥義。手塚くんはボールを打ち返さずともポイントが取れる領域にまで達しているのです。
ボールがコートに入らなければ、どれだけ回転がかかっていようが、パワーがあろうが、スピードがあろうが、ガットを突き破ろうが、打ち返すと腕が麻痺しようが、無意味。
そして手塚くんはU-17W杯の幸村くんとの試合の中で、「手塚ゾーン」と「手塚ファントム」両方の効果を一度のショットで実現する「至高のゾーン(アルティメットゾーン)」を完成させました。「手塚ゾーン」と「手塚ファントム」を同時に実現する複合回転をかけることで、「手塚ゾーン」を無効化しようとすると「手塚ファントム」により打球がアウトになる。「手塚ファントム」を無効化しようとすると「手塚ゾーン」でボールが手塚くんに引き寄せられるという、もうどうしようもない技です。
プロでも難しい「手塚ゾーン」と「手塚ファントム」を融合させた技まで編み出した手塚くん。そしてこれらをノーリスクで扱える点も考慮すると、手塚くんは世界最強中学生の肩書きにふさわしい、群を抜いた守備力の持ち主と考えるべきでしょう。
守備こそテニスの基本であり極意である
アニメ版の『テニスの王子様』で、テニスのことを「相手より1球多く、相手コートに打ち返すスポーツ」と表現するシーンがありました。まさにその通りで、テニスはあらゆるボールに追いつき、弱くてもボールを打ち返し、自分からミスしないことこそ、試合に勝つ基本です。特に初心者同士の試合ほど、ミスが少ない方が勝つ傾向があります。
今回紹介した守備力の高い中学生プレーヤーたちは、そんなテニスの基礎を極めた選手たちといえるでしょう。そしてメンツを見てお分かりの通り、作中全選手を見ても上位に食い込むであろう面々です。
守備こそテニスの基礎であり極意である。この記事を書いていて、そんなことを改めて思いました。