沖縄県代表の比嘉中は、全国大会1回戦で六角中を相手に5タテを決め、青学の前に立ちはだかりました。
初戦シングルス3に登場したのが田仁志 彗(たにし けい)くん。リョーマと激闘を繰り広げますが、惜しくも敗北します。
負けた後の田仁志くんは「比嘉中の恐ろしさはこれからやさぁ」と咬ませ犬のような発言をしたり、チームメイトの平古場くんに「あんねーるデブ使うなって言ったろー」と罵られたりと散々。
この扱いだけ見ると比嘉中では戦力と見なされていなさそうな田仁志くんですが、作中の描写を見る限りではかなり強い選手ではないかと思えるのです。
そこで本記事では、田仁志くんが強いと思える理由を挙げていきます。
田仁志 彗(たにし けい)とは
比嘉中テニス部の3年生。テニプリの世界では珍しい、ぽっちゃり体型の中学生です。
いや、ぽっちゃりなんて可愛らしい言葉で表現するのは田仁志くんに失礼かもしれません。身長は190cmを超え、体重は100kgオーバー。ぽっちゃりではなくフィジカルエリートと表現するほうが適切でしょう。プロレスラーやアメフト選手としてもやっていけそうな体格をしています。
作中では全国大会2回戦で青学と対戦。シングルス3に出場し、比嘉中の先鋒としてリョーマと戦いました。
大きくジャンプし、巨体を使って打ち下ろす必殺サーブ「ビッグバン」でサービスエースを量産。リョーマを苦しめます。一方リョーマも自身のサービスゲームをキープし対抗。キープ合戦が続きます。
互角の勝負が繰り広げられる中で、リョーマはとある罠を仕掛けていました。それは、試合終盤までラケットが吹き飛ばされるフリをし、「ビッグバン」の威力が落ちていないように見せかけ田仁志くんを油断させる作戦。この作戦が上手くいき、終盤で「ビッグバン」を返球。リターンエースをもぎ取ります。
最後はリョーマのCOOLドライブが田仁志くんの顔面に直撃し、ゲームセットとなりました。
全国大会準決勝の後、比嘉中は焼肉屋さんで青学などライバル校と再会。大食い対決隣、田仁志くんは肉をトングでまとめて食べる「トング食い」を披露。他校と大差をつけます。
が、チームメイトの甲斐くんが「海賊の角笛(バイキングホーン)」のスイングで網を変えようとし、その拍子に網の上のアツアツ肉が比嘉中面々の脳天を直火焼き。あまりの熱さに田仁志くん含め全員がリタイアとなりました。
全国大会では一触即発な雰囲気だった田仁志くんとリョーマ。しかしU-17日本代表合宿で同じ負け組になった2人は、四天宝寺中の謙也さんと共に三船監督の酒を盗みに行くミッションで協力。なんやかんや仲良くやっていました。
文字通り同じ釜の飯を食ったことで意気投合したのかもしれません。
田仁志くんが強いと思える理由
では本題。作中の描写から田仁志くんが強豪選手だと思える理由を挙げていきます。
一撃必殺のビッグサーブを持っている
田仁志くんの代名詞と言える必殺サーブ「ビッグバン」。これが非常に強力で、田仁志くんが試合をする上でとても有利に働いています。
スピードと重量を兼ね備えた「ビッグバン」をまともに打ち返すのはほぼ不可能。ほとんどの選手が体ごと吹き飛ばされてしまいます。怪我をして棄権した選手もたくさんいることでしょう。
これだけでも充分強力なのですが、「ビッグバン」にはさらなる利点があります。それは最小限の運動量でポイントを獲得できることです。
サーブはラリーと異なりコートを走りながら打つ必要がなく、自分の好きな場所・タイミングで打てます。そのためサーブでポイントを獲れれば、体力の消費を最小限に抑えがら試合を進められるのです。
テニスの試合では、ラリーを100回続けて獲った1ポイントも、サーブ1本で獲った1ポイントも同じものとして扱われます。ならばサーブだけでポイントを獲ったほうが効率的。
田仁志くんの「ビッグバン」のようなビッグサーブを持つ選手は、体力消費を抑えながら効率良く試合を進めることができます。長期戦になっても戦い続けられるため、試合全体を通して有利に立ち回れるのです。
パワープレーヤーとも打ち合えそう
田仁志くんの持ち味はやはりパワー。「ビッグバン」はもちろん、ストロークもインパクトの瞬間に「波動球」のようなエフェクトが出ており、相当重量のある打球だと予想できます。おそらく他校のパワープレーヤーとも問題なく打ち合えるでしょう。
テニプリ界のパワープレーヤーはかなり危険な存在で、同じパワープレーヤーでなければボールを打ち合っただけで怪我をしてしまいます。そのためパワープレーヤーに対抗できる選手はかなり貴重なのです。
細身な選手が多い比嘉中で、田仁志くんはパワープレーヤー枠として重要な選手だったと言えるでしょう。
四天宝寺の銀さんの「波動球」はさすがに耐えられないと思いますが……
縮地法による高い機動力
重量のあるパワープレーヤーの弱点となるのが機動力の低さ。体が重い分、素早く動くことを苦手としている選手が多いようです(現実だと短距離選手などは筋肉モリモリなので、単に体重があると動きが遅くなるとは言い切れません)。
作中では青学のパワープレーヤーであるタカさんが樺地くんにドロップショットからのロブで前後に走らされ、ポイントを獲られていました。
また「波動球」のようなパワーショットを打つにはタメが必要で、コートを走り回されてタメが作れないと放つことができません。
これもタカさんのケースですが、比嘉中とのダブルスで左右に走らされ「波動球」を封じられてしまいました。
パワーがある分スピードはイマイチ。これがパワープレーヤーの運命……なのかと思いきや、田仁志くんには当てはまりません。
田仁志くんは沖縄武術秘伝の「縮地法」でサービスラインからネットまで1歩で近づくことができます。つまり田仁志くんは機動力も兼ね備えたパワープレーヤーなのです。
「ビッグバン」でサービスゲームをキープしつつ、リターンゲームになってもパワーストロークと縮地法でラリーを有利に進められる……隙がない……
ただ、縮地法は前後の動きにしか対応できず、左右や斜めの動きができるのは比嘉中の中でも部長の木手くんだけ。田仁志くんとしては前後に動かされる分には問題なくても、左右に動かされるのは厳しいと感じるかもしれません。
技巧派な面もある
体格や粗暴な性格を見ると、初対面の人からは言葉は悪いですが「脳筋っぽい」印象を抱かれそう田仁志くん。テニスもさぞ大胆で「細かいことはパワーで解決」みたいな感じなのかと思いきや、技巧派な面もあります。
リョーマとの試合、田仁志くんは初球からツイストサーブを打たれました。リョーマのツイストサーブは異常な回転量で、相手選手の顔面に向かって跳ね上がる危険かつリターンが難しい打球です。
初見なら顔面直撃は避けられないリョーマのツイストサーブですが、田仁志くんは瞬時に見切り、対応策の一つであるキャリオカステップを駆使して難なくリターンしてみませした。
他にもドライブA、ドライブBも返球しましたし、COOLドライブもラケットに当てることはできていました(顔面にも当たりましたが)。
相手の技を見抜く力、それに対処できる技術力。パワーだけが田仁志くんの取り柄ではないのです。
意外とバランスの良い田仁志くん
ビッグサーブにパワーストローク、縮地法による高い機動力、相手のショットに対応する小技……作中の描写だけ見ても田仁志くんはバランスの良い選手です。
特にテニプリ界では両立が難しいパワーとテクニックを兼ね備えている点で、唯一無二の強さを誇っていると言えます。
弱点があるとすれば、制球力の低さでしょうか。リョーマ戦では何度かアウトしているシーンがありました。打球にパワーを込めて打つ分、コントロールは疎かになってしまうのかもしれません。
田仁志くんとラリーを続け、ミスを連発させれば勝機はあるでしょう。が……あの巨体から繰り出されるパワーストロークに対抗しつつ自分のサービスゲームをキープし、田仁志くんの「ビッグバン」を破ってブレークするのはかなりキツイ……試合を6-4や7-5で決めることが多いリョーマでさえ、タイブレークまで長引いてしまうわけです。
そんな田仁志くん、やっぱり強くないですか?