3年11ヶ月ぶりに少年ジャンプで連載再開となったハンターハンター。
掲載された391話『衝突②』では、シュウ=ウ一家の若頭・ヒンリギ=ビガンダフノの戦闘が描かれました。
実際に読んでみて、私が思った感想は
ヒンリギの念能力「てのひらを太陽に(バイオハザード)」が制約の軽さの割に強すぎない?
ということ。
今回は391話で明らかになった範囲でヒンリギの能力について考察していきます。
※本誌の画像等はありませんがネタバレを含む内容のため、単行本派の方はご承知の上お読みください。
ヒンリギ=ビガンダフノとは?
約4年もの期間が空いてしまったので、まずは本考察のメインとなるヒンリギ=ビガンダフノについて簡単におさらいします。
ヒンリギはカキン帝国第3王子・チョウライがケツモチをしているマフィア、シュウ=ウ一家の若頭です。
ブラックホエール1号内では、カキン帝国国王の子孫であるものの正当な王位継承者ではない「二線者」と呼ばれる組長が組織する3つのマフィアが動き始めています。
- シュウ=ウ一家(組長:オニオール=ロンポウ、ケツモチ:第3王子・チョウライ)
- エイ=イ一家(組長:モレナ=プルード、ケツモチ:第4王子・ツェリードニヒ)
- シャ=ア一家(組長:ブロッコ=リー、ケツモチ:第7王子・ルズールス)
ヒンリギは現在、ヒソカの捜索及びモレナの能力「恋のエチュード(サイキンオセン)」によって念能力者になっているエイ=イ一家構成員の処理にあたっています。
現状まだ謎が多いヒンリギですが、ヒソカを探し出すことに対して自信満々な発言をしていることから、相当腕は立つのだと思われます。
念能力「てのひらを太陽に(バイオハザード)」
ヒンリギの念能力は「てのひらを太陽に(バイオハザード)」。
触れた機械や武器を、その性能を維持したまま生き物に変えて操作する具現化系の能力であることが明らかになっています。
390話と今回の391話で、ヒンリギは能力を発動し、
- 自動小銃→ヘビ(兵士を銃殺)
- ビデオカメラ→ネコ(監視カメラとして活用)
- 手錠→ハト(エイ=イ一家の構成員・パドイユを拘束)
に変化(具現化)させました。
ジョジョ5部の主人公であるジョルノ・ジョバーナの「ゴールド・エクスペリエンス」に少し似てますね。
「てのひらを太陽に(バイオハザード)」の制約が軽すぎる
作中での「てのひらを太陽に(バイオハザード)」の能力を見る限り、ヒンリギが機械や武器に触れさえすれば、あらゆる生き物に変えることが可能な様子。
それ以外の制約は特に言及されていません。
……制約、軽すぎません?
しかもヒンリギが具現化した生き物たちは生命を持っており、ヒンリギの指示に従って行動しています。
これまでのに登場した具現化系の能力とは一線を画すレベルの高さではないでしょうか?
そう感じた理由を整理します。
自律した多様な生き物を具現化している
ヒンリギと同じく具現化系の能力者であるクラピカは、鎖を具現化するためにイメージ修行として鎖で遊んだり、絵を描いたり、舐めたりしていました。
それらを長期間続けたことで、ようやく鎖の具現化を実現しています。
一方でヒンリギは、作中で登場しただけでも「ヘビ」「ネコ」「ハト」の3種類を具現化。クラピカより長い期間の修行を経たとしても、これだけ多くの動物を具現化するまでにどれだけの時間がかかることか……想像に難くありません。
ただ、1人の能力者が多様なものを具現化しているケースはないわけではありません。
例えばヒソカの「薄っぺらな嘘(ドッキリテクスチャー)」は、さまざまな質感を再現できますし、コルトピの「神の左手悪魔の右手(ギャラリーフェイク)」は左手で触れたものなら何でもコピーできます。
「てのひらを太陽に(バイオハザード)」はコルトピの能力に近いでしょうか。
しかし「神の左手悪魔の右手(ギャラリーフェイク)」は生き物(人間)はコピーできても命はなく、コピー元の人形を作るだけでした。
「てのひらを太陽に(バイオハザード)」は生き物に具現化できるものが機械・武器に限定されるようですが、命を持って自律した動物に変えています。
人間とそれ以外の生き物では作りに大きな差はあると思いますが、生命を作り出していると考えると、「てのひらを太陽に(バイオハザード)」はもはや神の能力といってもいいかもしれません。
クラピカの言った「人間の能力を超えたものは具現化できない」とは何だったのか……
自律する念獣を具現化した事例としてはゴレイヌの「白の賢人(ホワイトゴレイヌ)」「黒の賢人(ブラックゴレイヌ)」もありますが、ゴレイヌが具現化できるのは作中描写を見る限りゴリラのみ。
他にも念獣を具現化する能力者はいますが、概ね1種類に限定されている傾向が見られます。
ヒンリギほど多様な生き物を具現化することは、本来かなり難しいのではないでしょうか?(あるいは相当強い制約がないと不可能)
もしヒンリギが動物を飼育しまくってるとしても、全部を具現化できるほど触れ合い、愛でられるものなのか……
機械の性能を維持できる
「てのひらを太陽に(バイオハザード)」は実物の機械・武器を媒体にして発動する能力であり、先述のゴレイヌの「白の賢人(ホワイトゴレイヌ)」「黒の賢人(ブラックゴレイヌ)」のように無から生き物を具現化しているわけではありません。
すなわち「機械・武器がなければ生き物を具現化できない」という点が制約の1つとなっていると考えられます。
とはいえ、生き物に変えた機械の性能を維持できるのは制約に対してお釣りが来るといいますか……良い意味で割に合っていない気がします。
例えば、ヒンリギが時限式の爆弾をヤドクガエルに変えられるとしたら、カエルに触った相手を毒殺、できなければ爆殺なんてことも可能なわけで……
さすがにゴレイヌのような「自身とゴリラ(対象者)の場所を瞬時に入れ替える」みたいな現実離れした能力を生き物に付与することはできないとしても、攻撃にも補助にも応用できる汎用性の高い能力だと考えられます。
能力のコスパがめちゃくちゃ良い
ヒンリギは複数体の生き物を同時に具現化し、操ることができるようです。
391話では、ビデオカメラをネコに変えて録画しつつ、ハトに変えた手錠を複数操っていました。
しかも、その状態でエイ=イ一家の構成員であるクオロールとデヴェラレスの銃撃をオーラでガードしています。
複数の生き物を具現化しつつ、銃弾を防げるだけのオーラの余力も残しているなんて……能力のコスパ良すぎぃっ!!
念能力者に対して銃撃が有効打になり得ることはクラピカの言及や、実際に銃撃を受けたビル、ヒュリコフの反応からも明らか。
それを完全に防ぎ切っているヒンリギ……強すぎやしませんか?
さらにヒンリギは周囲5mほどの「円」まで展開している模様。
ヒンリギの得意系統が具現化系で、それにマッチした能力だから効率良く発動できているのでしょうが、自分の分身1体を作り出してオーラの容量がいっぱいになっていたカストロさん涙目ですよこれは……
しかも能力を見る限りヒンリギは、具現化だけでなく操作・放出も応用してそうですからね。具現化系にとってやや苦手な系統まで高いレベルで扱っています。
ヒンリギの念能力には他にも制約があるのでは?
390話、391話の描写だけでも充分にブッ壊れ能力であることが分かるヒンリギの「てのひらを太陽に(バイオハザード)」。
強すぎるので、今後別の制約も明らかになるのではないか……?というのが私の考察です。
例えば、
- 生き物を具現化できる数に制限がある
- 生き物を具現化できる時間に制限がある
- 具現化できる生き物の種類に制限がある
- ある一定の大きさ以上の機械・武器は生き物に変えられない
- 元となる機械・武器より大きな生き物は具現化できない
- 能力を発動するたびにヒンリギの心身に負担がかかる
- 具現化した生き物の知能によってはヒンリギの言うことを聞かない
- 具現化した生き物の数が増えるほど1体ずつの精密操作が難しくなる
- ヒンリギ自身の所持品を生き物に変えることはできない
- ヒンリギが知っている(実際に触れたことのある)生き物しか具現化できない
- 空想の生き物は具現化できない
など……?
ハンターハンターの世界には、現実世界に住む生き物だけでなく魔獣なんかもいますからね。
「生き物」を拡大解釈して魔獣や人型のキメラアントまで含められるのだとしたら、恐ろしい能力です。
もしヒンリギとヒソカが戦うことになるとしたら「てのひらを太陽に(バイオハザード)」に何らかのデバフがかからないと、さすがにヒソカが不利すぎますね。
391話『衝突②』全体的な感想
最後に391話『衝突②』を読んでの全体的な感想を書いて締めくくりたいと思います。
「391話ではあまりストーリーに進展は見られなかったなぁ」というのが正直なところです。
ヒンリギとエイ=イ一家の末端構成員とのバトルでほぼ1話使ってしまいましたからね。
モレナから能力を授かった(感染した)エイ=イ一家の構成員は22人。
ヒンリギが1人始末して残りは21人ですが、1人倒すのに1話使っていたら果てしなさすぎるな……と感じます。
やはり王位継承戦の主軸となっているクラピカパートか、ヒソカを探している幻影旅団パートで進展がないと、暗黒大陸到着まではまだまだかなりの話数がかかりそうですね。
次回はクラピカか旅団の動きを描いてくれるとうれしいな……なんて思っています。
でもまぁ、とりあえず連載再開ということで、それだけでも喜ばしいことですね!(冨樫信者脳)