私の名前はジロギン。

HUNTER×HUNTERなどの漫画考察や、怪談・オカルト・都市伝説の考察、短編小説、裁判傍聴のレポートなどを書いている趣味ブログです!

【ハンターハンター 】幻影旅団は悪の集団になるしかなかったのか?

ハンターハンター395話『結成①』から描かれた幻影旅団の過去。

クロロたちは子供の頃に仲間を失ったことで、流星街を狙う悪党が恐れるような、さらなる悪党になる覚悟を決めました。

 

しかし悪党への牽制をするならば、悪人になる以外の方法もあったと思われます。

そこで今回は、幻影旅団は悪の集団になる以外の選択肢はなかったのか?について考えてみます。

※本誌の画像等はありませんがネタバレを含む内容のため、単行本派の方はご承知の上お読みください。

悪の道を進む覚悟を決めた幻影旅団

旅団は元々、流星街の子供たちで結成した、いわゆる劇団でした。

クロロたちがゴミ山から見つけた「清掃戦隊カタヅケンジャー」のビデオを、公用語(ゲルマ語)が分からない流星街の子供たちでも見られるよう吹き替えをしたことがきっかけで、幻影旅団の初期メンバーが合流。

子供たちに人気の劇団になりました。

 

しかしある日、旅団の1人だった女の子、サラサが劇の本番に姿を見せませんでした。

当時の流星街では人攫いが横行しており、行方不明者は年間で数百名。そのうちの7割が子供という悲惨な状況でした。

サラサの身を案じたクロロは、旅団や劇の観客として来ていた子供たちの協力を得て、流星街全域を捜索。

結果、森の中で袋に入れられ、木に吊るされたサラサのバラバラ死体を見つけました。

 

サラサは人攫いをしていた悪党たちの手に落ち、バラバラにされるところを撮影されたとクロロは予想。

さらに今後インターネットの発達によって、その悪党たちは必ずサラサの惨殺映像を公開すると考察し、そのときが来るまでの約3年間を準備期間としました。

 

クロロは旅団メンバーに、3年の準備期間が終わったら多くの人の命を奪い、流星街を狙う小悪党たちが恐れる悪党になることを伝えます。

そのクロロの覚悟を聞き、旅団メンバーはクロロを頭に据えて、幻影旅団を結成しました。

賞金首ハンターや犯罪ハンターもいる

悪党を捕まえたり、殺したりして流星街を狙う連中への抑止力になるのであれば、悪人になるだけが選択肢ではありません。

例えば、ハンターハンターの世界には賞金首を狙う「賞金首ハンター(ブラックリストハンター)」や、犯罪者を取り締まる「犯罪ハンター(クライムハンター)」などがいます。

まぁクラピカ以外に登場した賞金首ハンターは微妙な実力でしたけどね…

いきなり悪堕ちしなくても、こういったハンターになって、合法的に悪党を捕まえて牽制していくことだってできたと思われます。

プロハンターは誰でもなれる

また当時のクロロたちにはサラサを殺した犯人の心当たりがなかったため、広く情報を集める必要があったと思われます。

それならばプロハンターになるのが効果的です。プロハンターならハンター専用サイトを使うことができ、お金さえあれば世界中のあらゆる情報を入手できます。

おそらく通常のインターネットでは辿り着けない情報(ダークウェブやディープウェブにある情報)にもアクセスできたでしょう。

 

しかも、仮に犯罪者であってもハンター試験に合格すれば、プロハンターライセンスを取得できます。

ハンター試験前から殺人鬼として有名だったヒソカも合格しましたし、ビノールトは賞金首ハンターでありながら自身も賞金首という謎っぷりですが、まかり通っています。

そんな「来る者拒まず」なハンター試験は、幻影旅団でももちろん受験可能です。旅団メンバーなら合格できる実力もあると思われます。

 

実際にシャルナークはハンターライセンスを持っていました。クロロもハンター専用サイトを使っていたので、この2人に関してはプロハンターの可能性があります。

しかし2人ともプロハンターとしての活動を行なっている様子はなく、むしろプロハンターに狩られる側である盗賊としての活動をメインにしています。

もしかしたらシャルナークは、ヒルハンターだったかもしれませんが…

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クロロのターゲットは実行犯の裏にいる黒幕?

流星街で人攫いを行っていた連中は、攫った人間を「上納する」と言っていました。

すなわち誰かの指示で動いていた可能性が高いです。

 

仮に人攫いの犯人が捕まったとしても、それは末端の実行犯であり、裏にいる真犯人までは特定できないでしょう。

おそらく何人もの人間が間に入り、実行犯には真のクライアントが誰かすら聞かされていないと思われます。

実行犯を捕まえてもトカゲが尻尾を切り離すようなもの。大元である黒幕を捕まえなければ、別の実行犯が仕立て上げられるだけで、犯行そのものを根絶することはできません。

 

幼少のクロロは流星街で人攫いを行っている実行犯を捕まえたり殺したりするだけでは不十分で、裏側にいる人物こそターゲットにするべきだと既に考えていたのかもしれません。

しかし裏側の人物たちは一見すると何も悪いことをしておらず、法律に従っていたのでは裁くことは難しい人間のはず。

例えば、カキン帝国の第4王子・ツェリードニヒ。彼は表向きは王族ですが、裏では一般人の女性を惨殺している犯罪者です。

その犯行は表に出ておらず、仮に表に出たとしても王族パワーで揉み消されてしまう可能性もあるでしょう。

 

ツェリードニヒのように法をすり抜ける悪人を成敗するには、法律ではなく暴力に直接訴えかける他ないとクロロは考えたのではないでしょうか。

すなわち自身も法に従わない悪党になるということです

法律では裁けない人間への警告・報復する組織が必要だった

今回の考察をまとめると、

クロロひいては幻影旅団がプロハンターになって悪党から流星街を守る選択肢もあった。

しかし真のターゲットは実行犯ではなく、法の抜け穴を利用しながら流星街を狙う黒幕であり、このような人間への警告や報復をするには外法を使う集団になるしかなかった。

といったところでしょうか。

手段を選んでいては真の悪を裁くことはできず、いつまで経っても流星街を守れないとクロロは考えていたのでしょうね。

となると、クロロたち幻影旅団が悪堕ちするのは避けられなかったのかも……

 

クロロはサラサの一件がある前から犠牲者たちのお墓に花を運んでいたので、サラサが殺されようが殺されまいが、何らかの形で自分が悪党たちの抑止力になる決断をしていたでしょう。

でも仲間だったサラサが殺されるというショッキングなことがなければ、暴力に訴えかける組織になる前にブレーキがかかっていたかもしれません。

 

思えば、クラピカは幻影旅団への復讐を果たすために、犯罪組織であるマフィアを利用していました。目的のためなら手段を選ばないという面で、幻影旅団に近い動きをしています。

しかしクラピカは、幻影旅団への復讐にブレーキがかかりました。それはゴン、キルア、レオリオの存在が大きいでしょう。彼らがクラピカを支え、完全に人道を外れてしまわないように思い遣ってくれたことがブレーキになりました(キルアは人殺しまくってますが)。

クロロにもゴンのような存在がいれば、別の道を選べたかもしれません…クロロがあまりにもカリスマ過ぎて、周りのみんなが信奉者になってしまった…