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【テニスの王子様】アクロバティックプレーの存在意義を考える

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青学の菊丸英二(きくまるえいじ)くんや、氷帝の向日岳人(むかひがくと)くんの代名詞といえる「アクロバティックプレー」。

コートを縦横無尽に移動してボールを打ち返すプレーは、観客を魅了します。

 

そんなアクロバティックプレーですが、デメリットが大きく「あまりやらない方がいいんじゃないの……?」と思えてしまうのです。

そこで今回は、アクロバティックプレーのメリット・デメリットを踏まえ、その存在意義を考えていこうと思います。

アクロバティックプレーとは?

まるで体操選手のようにコートを飛び回ってラリーをするプレースタイルのことです。

高い跳躍力や瞬発力、体の柔軟性などが求められるため、できる選手は限られています。

 

『テニスの王子様』の作中で描かれたアクロバティックプレーには、ボールに飛びつくように返球する「ダイビングボレー」や、相手に背を向けた状態で股間にラケットを通して返球する「股抜きショット」、宙返りしながら返球する「月面宙返り(ムーンサルト)殺法」などがありました。

英二くんが関東大会準決勝で披露した「菊丸印のステップ」は2カ所(または3カ所)を瞬時に往復することで残像を生み出して分身するという、アクロバティックを超えた超人技でしたね。

全国大会では、この菊丸印のステップを使って「1人ダブルス」をやるという、意味の分からない領域に達していました。

 

英二くん、岳人くんは2人ともネットプレーヤー(サーブ&ボレーヤー)だったため、ボレーでのアクロバティックプレーが主体でしたが、ボレーでなくても可能です。

現実にもアクロバティックなプレーをする選手はいる

英二くんや岳人くんばりの動きを現実でやることは難しいですが、アクロバティックなプレーが持ち味のプロテニス選手がいるのは事実。

 

例えば、ダスティン・ブラウン選手や、ガエル・モンフィス選手のプレーはもはや超人、いや鳥人というべきでしょう。

彼らの変幻自在なプレースタイルを見たら、テニスのルールを知らない人でも「スゲェーッ!!」と口にしてしまうと思います。

 

アクロバティックプレーのメリット

では本題に入りましょう。

優れた身体能力から繰り出されるアクロバティックプレーですが、テニスの基本となる打ち方からは大きく離れています。

わざわざ基本のフォームを崩してまでアクロバティックプレーをすることには、どのようなメリットがあるのでしょうか?

 

まず考えられるのは、相手の意表をつけることです。

アクロバティックなプレーを見て、どんな打球がどの方向に返ってくるか予測するのは非常に難しいと思われます。

ごく短い時間で相手の打ってくるコースを判断し、体勢を整える必要があるテニスにおいて「打球の種類やコースを読ませない」というのは効果的でしょう。

相手の裏をかけることは、アクロバティックプレーの醍醐味といえます。

 

また基本のフォームでは取れないであろう打球に追いつける場合があるのも、メリットでしょう。

例えば、もう少しで届きそうな距離に打たれたボールにダイビングすることでリーチを伸ばし、返球できる場合があります。英二くんが得意とする「ダイビングボレー」がまさにこの例えのとおりですね。

あともう少しで届きそう、でも普通に打ったのでは届かないボールに対し、アクロバティックプレーをすることで自分の守備範囲を広げられるという効果があります。

 

あとは「魅せプ(魅せプレイ)」ができることもメリットでしょうか。

アクロバティックプレーで、試合を見てる人たちを盛り上げ、会場の雰囲気を自分のものにできるでしょう。

ただ、ブラウン選手やモンフィス選手のように、数百人もの観客の前でプレーするプロなら魅せプをするメリットは大きいでしょうが、中学生の試合でやるメリットは小さいかも……?

アクロバティックプレーのデメリット

アクロバティックプレーには、ここまで紹介してきたメリットを全て打ち消してしまうほど致命的なデメリットがあるのです。このデメリットについては、『テニスの王子様』の作中でも、繰り返し描かれてきました。

それは、体力を激しく消耗してしまうこと!

アクロバティックプレーは、必要以上に飛んだり跳ねたりするため、普通のプレーよりも運動量が増えます。試合の序盤からアクロバティックプレーで飛ばし過ぎると、後半にスタミナ切れを起こしてしまいやすいのです。

 

英二くんも岳人くんも、試合中にスタミナ不足を起こしてしまうことが課題でした。

テニスは普通にプレーするだけでもかなり体力を使うのに、高くジャンプしたり、くるくる回ったりしながらプレーしたら、そりゃ疲れます。

英二くんは全国大会前に酸素を薄くした持久力トレーニングで、アクロバティックプレーを試合終盤まで続けられるスタミナをつけ、体力面の課題を克服しました。

しかし、岳人くんは描写があった関東・全国の青学戦両方とも、スタミナ切れで試合終盤にはプレーができないほど疲労していましたね。

岳人くんのアクロバティックは英二くんの上をいくそうですが、おそらくその分無駄な動き……失礼、運動量も多くなるのでしょう。しかも、岳人くんは相手がサーブを打つまでの間にピョンピョン飛び跳ねてしまう癖があるようで、これも体力消耗に影響していると思われます。

 

スタミナがなくなれば、アクロバティックプレーどころか、普通のプレーすらおぼつかなくなります。相手に持久戦を挑まれたら、アクロバティックプレーヤーは自滅してしまうでしょう。

全国大会準々決勝の青学VS氷帝ダブルス2はまさに、短期決戦向きなアクロバティックプレー最大の弱点が露呈した試合でしたね。

アクロバティックプレーの存在意義

試合序盤からアクロバティックプレーをすれば、後半にはほぼ間違いなくスタミナ切れを起こすでしょう。正直、アクロバティックプレーは無駄な動きが多く、ポイントをとっても自分も消耗していく、割りに合わない戦い方というのが個人的な意見です。

 

ただ全く無意味ではないとも思います。ギリギリ届かなそうなボールに対し、アクロバティックなプレーで守備範囲を広げることは、先ほど例に挙げたブラウン選手やモンフィス選手以外もやるので、緊急回避の手段として効果的でしょう。

英二くんや岳人くんのように、終始アクロバティックプレーにこだわるのは自滅行為に等しいかもしれません。マジレスすると、顧問の先生から「無駄に体力を消耗するプレーはやめろ」と言われてしまいます(竜崎先生も榊先生も寛大ですね)。が、「どうしてもこのポイントは落としたくない」というタイミングでなら、体力を消耗してでもアクロバティックなプレーをする意義はあると思います。

 

アクロバティックプレーは、プレーの主体とするのではなく、あくまでも一時的な緊急回避の手段として用いるべきではないか、というのが私の意見です。

英二くんと岳人くんのアクロバティックプレーは、ダブルスで、しかも頼れる後衛がいてようやくできる戦い方でしょう。

全国比嘉中戦の英二くんシングルス起用は、ギャンブル過ぎっすよ竜崎先生……

U-17W杯では分身が当たり前に行われる

ちなみに、『新テニスの王子様』で開催中のU-17W杯では、何の前触れもなく分身する選手が多数……

10球打ちをする鬼先輩や金ちゃん、リョーマ。

「無没識」「阿頼耶識」が覚醒した亜久津くん、お頭。

そしてボルクプロなど……

菊丸印のステップは、すでに過去の技となっています。トッププレーヤーは、分身してナンボです。

 

彼らも一種のアクロバティックプレーをしていることになりますが、彼らのスタミナは化け物じみていますので、英二くんや岳人くんのようにガス欠することはありません。

やはりスタミナがないと、アクロバティックを使いこなすことは難しい……