未成年喫煙に暴力……お坊ちゃんが多い『テニスの王子様』の中で、不良街道を歩む亜久津仁くん。
亜久津くんの素行だけを見ると、ろくに勉強もせず、学校にも行かず、成績はダメダメなのだろうなと感じてしまうでしょう。が、よく考えるとむしろかなり勉強ができる子なのではないかと思えてくるのです。
今回は、亜久津仁、実はけっこう勉強できる説について考えていきます。
亜久津仁(あくつじん)とは
亜久津くんは山吹中に通う中学3年生。トサカのように長い銀髪と鋭い目つきが特徴的な男子です。
一見すると不良っぽい亜久津くんは、見た目通りの不良。
作中では、テニスコート外でも悪行を働いていました(テニスコート内なら悪いことをしても良いわけではありません)。
- 銀華中テニス部の部室に忍び込んで部員の金銭を盗む
- その場で止めようとした銀華中テニス部員をボコボコにする
- 青学に忍び込み喫煙
- 喫煙を注意した荒井先輩をボコボコにする
- 先生を呼びに行こうとしたカチローにサーブでボールをぶつける
- 助けに来たリョーマに石をぶつける
- ファミレスでタカさんに飲み物をぶっかける
明らかになっているだけでも、これだけの不良っぷりをみせています。
しかし、亜久津くんがただの不良かというと、そうではありません。実は凄まじい運動神経の持ち主で、どんなスポーツでも頂点を狙える素質を持っています。
山吹中テニス部顧問の伴田先生(伴爺)曰く、10年に1人の逸材。亜久津くんがサーブを一球打っただけでその才能に惚れ、テニス部に勧誘しました。
亜久津くん自身、小学生の頃にテニススクールに通っており、当時からその才能を発揮していた様子。
準優勝2回、ベスト4 3回(どんな規模の大会か不明)の実績を持つ実力者・白玉さんをシングルスでボコボコに叩きのめしました。
そんな才能がありながら不良な亜久津くんは、テニス部に入部した後も真面目に練習していなかったようです。それでも都大会決勝では、リョーマと互角に渡り合えるほどのポテンシャルの高さを見せました。
亜久津くんの才能が真に発揮されたのは、『新テニスの王子様』U-17W杯予選のスイス戦シングルス3でしょう。
日本がダブルス2敗で迎えたシングルス3。スイスからは主将でありプロでもあるアマデウスが出場。対する日本は亜久津くんが参戦。序盤から「デストラクション」などの大技で攻める亜久津くんでしたが、相手はプロ。圧倒的な実力差で意識を失う寸前まで追い込まれます。
極限まで追い込まれたことで、亜久津くんは第八の意識「無没識」に覚醒。打球を打つ直前まで複数の攻撃パターンを展開することで、相手にプレーを読ませない超人技でアマデウスプロから1ゲーム取り返してみせます。
「無没識」は脳から筋肉への指令伝達速度が常人の3倍以上でなければ到達できない領域とのこと。亜久津くんの身体能力があってこそ実現できたということです。
一時的とはいえプロと互角に打ち合った亜久津くん。その実力は中学生トップクラスと見て間違いありません。
亜久津くん優秀説
ここからが本題。
亜久津くん、実はかなり勉強できる説の根拠になる要素をまとめていきます。
中学受験をしている
公立の小学校から公立中学に進学するのであれば受験は不要ですが、亜久津くんが通う山吹中は私立中学。つまり中学受験をしなければ入学できないはずです。
となると、亜久津くんは小学生の頃に山吹中を受験し、合格していることになります。
小学生の頃にはテニススクールで大人をボコボコにするなど、すでに不良だった亜久津くん。しかし、ちゃんと勉強して中学受験をしていると思われるのです。
山吹中の学力がどれほどなのかは分かりませんが、受験をする以上、そこらの小学生レベルの知能・勉強量で合格するのは難しいでしょう。
亜久津くんは、少なくとも小学校までは中学受験できるくらいの学力があったと考えられます。
一方、スポーツ推薦だった可能性も否めません。亜久津くんは小学生からテニススクールに通っていましたし、空手もやっていました。テニス、あるいは空手で素晴らしい成績を残し、スポーツ推薦枠で山吹中に入ったのかも。
ですが、テニス部に入る前の亜久津くんは帰宅部だった様子。スポーツ推薦で入部したのにそのスポーツの部に入らなければ、入学を取り消されてしまうことも考えられます。やはり一般受験で入学したと考えるのが自然ではないでしょうか。
勉強も脳という体の一部を使う作業であるなら、10年に1人の身体能力を持つ亜久津くんならとんでもない能力を発揮できた可能性がありますね
留年・退学になっていない
公立中学とは異なり、私立中学には留年・退学制度があります。出席日数不足や規定の成績に達していない場合、留年、最悪の場合は退学になる恐れもあるのです。
亜久津くんは15歳で中学3年生。つまり留年していません、もちろん退学もしていません。ということは、きちんと出席日数を満たす程度には学校に通い、テストもそこそこ頑張っているのでしょう。
喫煙や暴行が学校に伝われば即退学でしょうが、亜久津くんはうまいこと陰に隠れてこれらのことをやっており、明るみになっていないのだと思われます。
もしくは亜久津くんの才能を活用しようと考えた伴爺が、亜久津くんの不祥事をもみ消して……いや何でもありません。教育者がそんなことするわけありませんよね。
アマデウスの英語を理解している
U-17W杯予選でスイスと対戦した日本、先述の通り亜久津くんはシングルスでアマデウスプロと対戦。序盤はプロの力に圧倒されましたが「無没識」に達したことで1ゲームを奪いました。
最終的に亜久津くんは「無没識」の反動で気絶し、試合には敗北。しかしアマデウスプロは亜久津くんの強さを認め、試合後に「You will definitely become a good tennis player(お前はきっといいテニス選手になる)」と激励しました。
そんなアマデウスプロに対し亜久津くんは「何訳わかんねぇ事言ってんだテメェ!」とブチギレ。一見するとアマデウスプロの英語を理解できなかったのか?と思ってしまうかもしれませんが、その後のシーンで亜久津くんは「この俺が“テニス選手”…笑わせるぜ!」と言っています。ということは、しっかり聞き取り、理解していたのでしょう。
実は亜久津くん、伴爺に勧められたテニス留学の話を承諾し、短い期間ではありますがアメリカへ留学しているのです。そこである程度英語にも慣れたのでしょう。
元々、私立中学で留年しない程度には英語力があり、英語の本場アメリカにも留学したとあれば、亜久津くんは英語力も中学生でトップクラスかもしれません。
不良であることと勉強ができないことは別
冒頭でも書きましたが、不良に対する世間一般のイメージは「学校にほとんど行っておらず、勉強ができない」というものではないでしょうか。
しかし、必ずしも「不良=勉強ができない」というわけではないと思うのです。
タバコを吸ったり、ケンカをしたりするけれども、学校にはちゃんと行って授業をしっかり受けている不良も世の中にいると思います。
亜久津くんもこのような「インテリ不良」なのではないでしょうか。
作中の亜久津くんの言動を見ると、勉強ができないという印象は抱きません。後輩の壇くんや友人のタカさんに適切なアドバイスを送る姿には、むしろ他人の本質を見抜く賢ささえ感じます。
また亜久津くんは素行こそ悪いものの、不登校だとは言われてません。何やかんや学校にはしっかり行き、勉強もやっているのでしょう。
同じ学校で同学年の千石さんに聞いたら「亜久津?アイツはテストで毎回学年トップだよ」とか普通に言いそうです
私立中学に通わせている母・ゆうきちゃんも超人
少し話はそれますが、亜久津くんは母子家庭であり、お母さんのゆうきちゃんは33歳とめちゃくちゃ若い。亜久津くんの年齢を考えると、ゆうきちゃんは18歳くらいで出産していることになります。
まだ若い上にシングルマザーのゆうきちゃんですが、不良息子を私立中学に通わせている敏腕ママです。
「オレに指図するな」が口癖の息子を私立中学に入学させた教育力はもちろん、公立中学とは比較にならないほど高額な学費を賄えている収入も凄まじい。33歳という年齢では、それほど高い収入の職に就くのも難しいと思われます。
もしかしたら亜久津くんは、ゆうきちゃんが頑張って学費や生活費を稼いでいることを知っていて「学校にはちゃんと行って、卒業はしよう」と考えているのかも?
未成年喫煙をしたり、他校生をボコボコにしたりと、だいぶ遠回りをしていますが、亜久津くんなりにゆうきちゃんを気遣っている可能性もありそうです
またアニメオリジナルのシーンですが、亜久津くんと壇くんが2人で、ゆうきちゃんが働く(おそらくアルバイト)カフェで食事をしているシーンがありました。
カフェのアルバイトだけで、私立中学に通う息子を養うことはできないと思いますが……あるいはゆうきちゃんも「無没識」を使って、5〜10人に分身してその分の時給をもらっているのかもしれません……亜久津くんの身体能力はお母さん譲りだった?!