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【テニスの王子様】千石清純の「虎砲」という弱点が多すぎた技

山吹中のエース選手「ラッキー千石」こと千石清純さん。

全国レベルのダブルスが2組ある山吹中は、「ダブルスで2勝し、シングルス3で千石さんが3勝目を上げて団体戦としての勝利を収める」という想定でオーダーを組みます。

つまり千石さんは団体戦の勝利を決定づける要の選手ということです。

 

その実力は高く評価されており、手塚部長の代わりとして全国区プレーヤーたちに混ざって関東Jr.選抜に参加するほど。関東では立海大レギュラー、手塚部長、跡部様の次くらいに強い選手として千石さんの名が上がるでしょう(正直、不二先輩のほうが強いと思いますが)。

 

そんな千石さんの得意技が「虎砲(こほう)」。目にも止まらぬ速度のサーブを打つ技で、サービスエースを量産します。一見すると強そうな「虎砲」ですが、実はかなり弱点の多い技でもあるのです。

そんな「虎砲」が切り札だった千石さんが、全国区プレーヤーたちに比肩する高評価を得ていたのも謎……

 

そこで今回は、千石さんの「虎砲」を分析。その弱点を見極めていこうと思います。

もし千石さんと試合をすることになっても、この記事を読んでおけばバッチリ対策できるでしょう!!

「虎砲」とは?

まず「虎砲」がどんな技なのか見ていきます。

異次元の必殺ショットが飛び交う中学テニス界において、「虎砲」はシンプルかつ現実的な技です。

トスを目一杯高く上げ、千石さんが大ジャンプ。そして高い打点から、相手側のサービスコートのセンター付近にボールを叩き込みます。

高打点から打ち下ろし、かつ自分コートの真ん中から相手サービスコートの真ん中という最短距離を狙う高速サーブ。それが「虎砲」です。

 

速いサーブを打つには、より高い打点が必要になります。そのため、背の高い選手ほど打点が高くなりやすく、サーブの速度も上がりやすいのです。

現実の男子プロテニス界でも、身長が2m近くあるような選手は、時速200kmを優に超えるサーブをポンポン打ちます。

しかし、千石さんの身長は170cm(新テニだと172cm)で、高身長とは言えません。それでも高速サーブを打つべく、ハイジャンプとセンター狙いを組み合わせた「虎砲」を編み出したのでしょう。

 

テニスはサーブを打つ選手のほうが有利とされています。各プレーヤーは自分のサービスゲームを獲得し続け、その中で相手のサービスゲームをブレークするのが基本です。

ただでさえ有利なサービスゲームで一撃必殺の高速サーブを打てれば、相手にブレークされにくくなるでしょう。

攻防一体の戦術を立てる上で、ビッグサーブを習得することは理にかなっていると言えます。

「虎砲」の弱点

ここまで「虎砲」のことを素晴らしい技のように語ってきた手前、大変心苦しいのですが、「虎砲」にはいくつかの弱点が存在しているのです。

その弱点を突かれると、千石さんとしてはタジタジなはず……

ここからは「虎砲」の弱点を見ていきます。

コースが読まれやすい

「虎砲」が高速サーブたる要素の一つが、「自分コートの真ん中から、相手サービスコートのセンターに打つ」こと。単に強くボールを打つだけでなく、ボールの移動距離を短くしているのです。

「虎砲」をワイドに打ってもある程度の速さを実現できるでしょうが、センターに打つよりも距離が伸び、速度は落ちるはず。最高スピードで打つには、やはりセンターを狙う必要があるでしょう。

 

もし千石さんがサービスエースを奪うことにこだわり、「虎砲」をセンターに打ち続けたとしたら……リターナーにコースを読まれ、余裕を持った返球を許してしまいます。

これでは高速サーブを打つ旨みが薄れ、「待ってました」とばかりに打ち返されてしまうでしょう。

しかも、「虎砲」は「トスを普段より高く上げ、大きく飛び上がる」という予備動作が必要です。つまりリターナーは、千石さんが普通のサーブを打とうとしているか、「虎砲」を打とうとしているか、事前に判別できるのです。

「虎砲」ならセンターで待ち構えていれば良し。普通のサーブなら千石さんの身長的に反応できないほどのスピードではないと思われるため、打たれた後に対応すれば良し。

 

作中で千石さんが「虎砲」を初披露した都大会決勝シングルス3。対戦相手の桃ちゃんからサービスエースを3本連続で奪いましたが、4本目はコースを完璧に読まれ、逆にリターンエースを取られてしまいました。センターに連打したことによる代償ですね。

特に桃ちゃんのような頭を使うプレーヤー(都大会の時点で桃ちゃん本人に自覚はありませんでしたが)や、乾くんのようなデータ系選手が相手だと、「虎砲」のコースはあっという間に見切られてしまうでしょう。

リターンに対応できない

「虎砲」を打つ際、千石さんはトスを高く上げ、大きくジャンプするのは先述のとおりです。これは打点を可能な限り高くすることが目的で、「虎砲」のスピードを生むための必須動作。

しかし、この大ジャンプは「虎砲」の弱点も生み出してしまっています。

ジャンプして着地するまでの間、千石さんは身動きが取れません。ただ落下するのを待つのみ。その間にも打ったサーブは突き進み、相手コートに到達します。しかも「虎砲」自体スピードのあるサーブですから、千石さんが着地するまでの間に相手がリターンを始めてしまうかもしれません。

また、着地した直後に機敏に動けるかというと、それも難しいはず。対戦ゲームの「着地狩り」さながら、リターナーがエースを奪う大きな隙が生んでしまうでしょう。

 

つまり「虎砲」は、打った後の隙が大きく、反応が遅れるため、リターンエースを奪われやすいということ。サービスエースを奪えなければ、リターンエースを奪われる……まさに諸刃の剣です。

その上、「最短距離のセンターに打つ」という特性上、コースも読まれやすい。「虎砲」は使い所を考えないと、必殺技としての効力が薄まってしまうでしょう。

千石さんの立場になって考えるなら、「虎砲」は相手にコースを読まれても、スピードに慣れられても、「時すでに遅し」となるタイミング、最終ゲームまで温存しておきたいところですね。文字通り、奥の手といったところでしょう。

テニプリ界における高速サーブの宿命

これは「虎砲」に限った話ではないのですが、テニプリ界の高速サーブは悲しき宿命を背負っております。それが「速度が上がれば上がるほど、相手のリターンも速くなる」問題。

先ほど、千石さんの「虎砲」は着地後に反応できないという弱点があると説明しましたが、仮にジャンプしなくても高速サーブの持ち主はリターンへの反応が課題になってしまうのです。

 

例えば、乾くんの高速サーブ「ウォーターフォール」。これを全国大会決勝ダブルス2で打った際、データテニスを得意とする柳くんにコースを見切られ、乾くんが反応できない速度でリターンされていました。

また、おそらく世界最速のサーブ「マッハ」を打てる、高校生日本代表の越智月光先輩ですら、サーブ後の反応が大きな弱点となっていたほど。

高速サーブとリターンの反応は、表裏一体なのです。

 

乾くんも越智先輩も、弱点への対策として「ダブルス」を選択しています。自分が反応できないリターンへの対処をダブルスパートナーに任せることで、実質的に弱点を解消したのです。

2人と同じく、高速サーブ「スカッドサーブ(ネオスカッドサーブ)」を得意とする氷帝の鳳くんも、作中で言及はありませんでしたが、宍戸さんとダブルスを組むことで恩恵を受けていたはず。宍戸さんは並外れた反応速度でボールに追いつくスピードタイプのプレーヤー。鳳くんの「スカッドサーブ」をリターンされたとしても、宍戸さんが即座に対応できるでしょう。

 

現状、「高速サーブ後のリターンに反応できない問題」の有効な解決策はダブルスを組むこととなります。が、本記事の冒頭に書いたとおり、千石さんは山吹中におけるシングルスの要……シングルスに千石さんがいないと、チームとしての勝率がガクンと下がってしまいます。

しかも、山吹中には既に全国レベルのダブルスが2組。千石さんがダブルス要因として入り込む枠は無し……個人戦なら話は別ですが、団体戦ではやはり千石さんにシングルスをやってもらわなければなりません。

「虎砲」の弱点を解消するには、山吹中というチームそのものの体制から見直す必要があるかもしれませんね。

千石さんの武器は「虎砲」だけじゃない

つらつらと「虎砲」の弱点を書いてきましたが、千石さんの揚げ足をとっているかのようで、あまり良い記事とは言えない出来になりつつあります。

確かに「虎砲」だけを見ると、千石さんのテニスには穴が多いと感じることでしょう。しかし、千石さんは「虎砲」だけの男じゃありません。高速サーブを打てるだけじゃ、関東Jr.選抜に参加なんてできません。「虎砲」以上に強い武器をたくさん持っているのです。

 

ここからは、「虎砲」を除いた千石さんの強みを紹介していきます。

冒頭に「千石さんと戦うときに備えた、弱点を把握できる記事にする」と書きましたが、敵の長所を知るのも弱点を知るのと同じくらい重要!知っておいて損はなし!

抜群の動体視力

動くものを目で捉える力、「動体視力」。ボールの軌道、着地点、回転などを瞬時に把握する必要があるテニス選手にとって、動体視力の高さは有利に働くでしょう。

千石さんはこの動体視力が凄まじい。おそらく中学テニス界でNo.1!どんなスピードボールもコマ送りに見え、確実にラケットの中心にミートさせます。

 

千石さんの動体視力は、スピードボールを見極めることだけに留まりません。関東大会で不動峰の神尾くんと試合をした際は、自称「スピードのエース」である神尾くんが走り出す瞬間に合わせてボールを打ち、自慢のスピードを封じ込めていました。

全国大会へ進む頃には、さらに動体視力が向上。速すぎて足の動きが見えないほどのスピードタイプである聖イカロス学院のリチャード・坂田を封殺。勝利をもぎ取りました。

 

このように、抜群の動体視力を持つ千石さんは、スピードを誇る選手との戦いを得意としています。

豊富な試合経験

千石さんは山吹中のエースとして、かなりの試合経験を積んでいることが予想できます。

作中時間の1年前、2年生の時点で千石さんは山吹中のレギュラー選手だったようで、シングルス3で手塚部長と戦いました(結果は敗北)。当時から山吹中は「全国級のダブルスで2勝し、千石さんが3勝目を上げる」という戦略を確立していたものと思われます。

また都大会と関東大会のレベルを考えると、山吹中は両大会で上位に食い込むであろう強豪校。例えば東京都内では、イレギュラー的に強かった不動峰を除くと、山吹中に確実に勝てそうなのは氷帝と青学くらい。関東まで広げても、その2校に立海大と六角が加わるくらいでしょう。

つまり、山吹中は順当に勝ち上がれれば、都大会・関東大会を勝ち抜いて全国大会の出場枠に滑り込めるはず。作中では敗者復活戦ではありますが、関東大会で勝ち残り全国へ進出していました。1年前の大会でも全国へ行っているかもしれません。その場合、千石さんはシングルス3としてかなりの試合数を、しかも全国クラスの選手との試合をこなしていると考えられます。

 

積み重ねた経験値だけを見ると、千石さんは全国区プレーヤーに近い歴戦の猛者といったところでしょうね。

この試合経験は実戦でも遺憾無く発揮されており、例えば桃ちゃんとの試合では、桃ちゃんの得意技であるダンクスマッシュをそっくりお返しすることで、ポイントを獲得するだけでなく精神的に揺さぶりをかけていました。

このような巧みなゲームメイクは、豊富な経験値によるものでしょう。

豪運

千石さんの強みとして忘れてはならないのが、豪運。「ラッキー千石」の異名通り、幸運を引き寄せる力を持っています。

千石さんの豪運が活かされるのは、試合前にサーブ権を決めるとき(トス)。テニスでは、ラケットを回転させ、表面と裏面のどちらが上になるかを当てることでサーブ権を決めます。

山吹中の2年生・室町くんの話では、千石さんはトスを外したことがないそう。つまり、ファーストゲームのサーブ権を確実に取れるということ。それだけで試合の勝敗が決まるわけではありませんが、相手に主導権を渡さないという意味で、千石さんの豪運は強みとなるでしょう。

 

もちろん、千石さんは運だけで勝ち上がってきた選手ではありません。運はあくまでオマケ。選手としての高い能力値、豊富な試合経験こそ千石さんの真の武器です。

新技「龍砲」

新テニスの王子様で千石さんは、日本代表から外された亜久津くんの代わりとして、追加メンバーに選ばれています。これだけでも、日本代表のコーチ陣から千石さんが高く評価されていたことが分かりますよね。

その評価に値する……かどうかは微妙ですが、千石さんは自身のテニスを進化させていました。その一つが新技として会得した「龍砲(りゅうほう)」。スペイン戦のメンバー決定戦でリョーマを相手に使用しました。

この「龍砲」はスマッシュ系の技と思われ、リョーマの十八番である「ドライブB」で高くバウンドしたボールを打ち返しました。

 

具体的にどんな技でどんな効果があるのかは、作中で明言されていません。が、U-17W杯を勝ち抜くための技としては火力不足感が否めない。案の定、リョーマにも1-6で負けてしまいました。千石さん、力及ばず……

けれど、こうして進化し続けようとしている姿勢、前向きさは、千石さんの強みと言って良いでしょう。亜久津くんと一緒に飛行機でオーストラリアから日本に帰った直後、追加メンバーに選ばれて蜻蛉返りすることになっても笑顔でしたからね、千石さん。超前向きです。

ボクシングテニス

「進化」という観点で千石さんを見るならば、「ボクシングテニス」についても取り上げたい……これはアニメオリジナルの描写ですが、千石さんは関東大会終了後、ボクシングジムに通い始めます。

テニスプレーヤーからボクサーに転向したわけではなく、ボクシングの技術をテニスに取り入れるためです。

 

素早いパンチを見切るボクサーは、テニスプレーヤー以上に高い動体視力が求められるでしょう。千石さんはボクシングに励むことで、元々高かった動体視力をさらに向上。

加えて、トレーニングにより肉体を改造。これまでにないパワーとスタミナを身につけました。

そして、1ゲームを約3分で終わらせるスピードプレーを習得。ボクシングの1ラウンドの時間である3分というリズムで試合を進め、相手を自分のペースに持ち込めるようになりました。

 

千石さんが新たに習得した「ボクシングテニス」で、関東Jr.選抜内で存在感を示し、アメリカ代表チームとの団体戦ではシングルス3に選ばれました。跡部様や真田副部長という全国区プレーヤーたちを差し置いてのシングルス3ですからね。「ボクシングテニス」を習得した千石さんは、中学トップクラスに上り詰めたと言って良いのではないでしょうか。

 

ただし、「ボクシングテニス」は地上波アニメの世界線での千石さんが身につけた技術。全国大会やU-17合宿などではなかったことにされています。

テニプリはアニメからの逆輸入も多いんですけどね……「ボクシングテニス」は税関に引っかかってしまいました。

「虎砲」は千石さんの武器の一つに過ぎない

弱点の多い「虎砲」ですが、千石さんの武器の一つに過ぎず、「虎砲」を攻略できたとしても彼に勝てる確証はありません。

「虎砲」に頼らなくても、千石さんは関東・全国クラスの猛者と戦えるテニススキルを持っています。

そしてスピードボールを見抜く動体視力、相手を精神的に揺さぶるゲームメイク、豪運……これらに太刀打ちできなければ、千石さんに勝利することは難しいのです。

やはり名門・山吹中のエースは伊達じゃない……作中では負け描写が多いものの、千石さんは間違いなく強豪プレーヤー!